今回は、化粧品で有名なポーラ・オルビスHDを分析していきます。
グループ会社で展開しているTHREEはオーガニックコンセプトでかっこいいですよね。
ポーラ・オルビスHD(4927)の概要
最近はオーガニック系化粧品ブランドであるTHREEの躍進などが印象的なポーラ・オルビスHDですが、イメージ通り売上のほとんどが化粧品関連事業になります。
事業領域は大きく2つに分かれています。
- ビューティーケア事業
- 不動産・その他事業
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ビューティーケア事業
美と健康に関わる事業を展開しており、ポーラ、オルビス製品の他、THREEやオーガニックコスメのJurliqueなどもこの事業領域に含まれています。
ビューティーケア事業の売上は2,311億円とポーラ・オルビスHDの売上の93%を構成しています。
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不動産事業
オフィスビルの賃貸とビルメンテナンスの事業です。
売上は174億円と全体の7%を構成しておりメインとは言えない領域となっています。
※ 事業概要はポーラ・オルビスホールディングス株主通信より管理人作成
次に業績推移と分析を行なっていきます。
ポーラオルビスHD(4927)の業績推移と分析
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業績推移
ポーラ・オルビスHDの過去の財務データを並べ、業績推移を見てみます。
参考:ポーラ・オルビスホールディングス決算資料より管理人作成
純利益は順調に伸びていることがわかりますが、直近の2018年12月期は減損処理が原因で業績が大きく後退しています。
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業績分析
ROEはこの10年で大きく改善されており、経営の効率化が進んでいる状況と言えそうです。
2012年の業績後退は東日本大震災ですが、2018年に特別損失(M&A後の減損処理)によって業績を大きく後退させており、今後も同様の減損が起こらないか注意が必要そうです。
ポーラ・オルビスHD(4927)の業績分析と株価予想
現在までの業績推移を元にポーラ・オルビスHDの業績を予測していきます。
まずは過去の業績推移をまとめて分析してみます。
現在までの業績を100%反映しているのが【妥当】で、【妥当】×80%したものが【保守的】の数値になっています。
※株価は9月13日時点の終値(2,515円)を用いています。
平均ROEはあまり高いとは言えませんが業績推移を見ると直近では高い数値が続き、経営改善がなされているように見えます。
PBR・PERはこの高い成長率を理由に高めの数値になっていることがわかります。
これらのEPS成長率、現在の配当金などが今後も維持・成長するという前提を元に株価予想と収益予想を行っていきます。
上表の通りとなりますが、 現在から8年後、【妥当】レベルで▲8%、【保守的】レベルで▲32%となっており、投資すべきでないという結果となりました。
この予測株価におけるPBRは【妥当】レベルで0.9倍、【保守的】レベルでは0.7倍となっており、現在の2.95倍という数値よりは現実的な値となっています。
ポーラオルビスHDは2018年期で大きな特損を出していることが影響し、このような株価予想となりましたが、
この特損の影響が非常に大きいので、『この特損が発生しなかった場合の業績推移』を元に株価予想をしてみます。
ポーラオルビスHD(4927)の株価予想【特損がなかった場合】
まずは、2018年度の特損額がなかった場合の経常利益を算出します。
特損は『229.2億円』とかなりの額ですが、仮にこの減損がない場合の経常利益は『389.8億円』と2017年度とほぼ同額となります。
2018年度も2017年度と同額の利益を出したという補正を行なった場合、業績推移は下記のようになります。
この業績推移を元にポーラオルビスHDを再分析てみると以下のようになります。
補正した結果、平均ROEが6.0%から6.9%と1%近く改善されました。
特別損失が頻繁に発生しないのであれば、こちらの方が実力値を反映していると言えそうです。
補正後の業績分析結果を元に株価予想をしてみます。
【妥当】レベルでPBRが1.0倍の場合でも146%弱の投資利回り、【保守的】レベルでも56.0%の投資利回りを確保できそうという予想となり、保有を考えてもいい魅力的な銘柄と言えそうです。
結論
ポーラ・オルビスHD(4927)は業績を注視すべき銘柄
今後M&Aなどによる減損が無さそうであれば保有したいですが、減損リスクを考えると注視銘柄と言えそうです。
事業の根幹として、ポーラ・オルビスHDは売上の9割以上がビューティーケア関連であり、中でもPOLA製品、オルビス製品が売上シェアの87%を占めます。
これらの主力商品の競争力はもちろん、育成ブランドの進展で業績が大きく変わりそうなので、ブランドや価格が維持できているかなどを常に確認する必要がありそうです。
育成ブランドであるTHREEやITRIMなどは、今後もブランドの成長可能性も楽しみなところです。
次に、大きな業績変化の原因となりうるM&Aに関してですが、ポーラオルビスHDの中長期計画をみていると『M&A』や『海外事業の黒字化』というワードもあり、今後も大規模なM&Aがある可能性もありそうです。
このM&Aの成否は不明なので、プラスにもマイナスにもなりそうなバッファーと考えるべきです。
2018年12月期のJurliqueの減損のようなM&Aの失敗を繰り返すようであれば、その場合は株を保有しない・売却するという判断をすべきだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ポーラ・オルビスHDは、とにかく既存事業であるPOLA製品、オルビス製品のブランド維持が前提条件で成り立っている企業と言えると思います。
逆に言えば、前提条件が成立していないときはかなりのピンチと言えると思うので、
化粧品売り場で、価格帯が維持できているか?人がたくさんいるか?売り場の位置が変わっていないか?などを定期的に見てもいいかもしれません。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。
また、今回は定性分析は行なっていませんが、定性分析をする際はこのような手法で行うことが多いです。
>> 企業の定性分析 〜定性分析の手法:3つのフレームワークで分析してみる〜
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