昨今は米中貿易摩擦やEUからのイギリス離脱など不確定要素が多いですね。
いつ不況になるかは相場次第なので基本的には予想はできません。
しかし、自分の資産を守ったり、不況時に仕込んで高配当収益率を達成する投資チャンスとすることは可能です。
今回は不景気時に、暴落してるかもしれないけど、ビジネスモデルの強さが魅力的な銘柄5つを選んでみました。
銘柄を選ぶ基準
まず大前提として、不況でも安定的な収益を上げられる企業は、人々の生活基盤となっている企業が多く挙げられます。
また、長期で存続していく企業は、概して成長中のビジネス領域で事業を行なっていたり、競争力が強い商品や仕組みを構築している企業が多いです。
したがって今回の不景気でも買いたい銘柄5選は
- 安定的(強固)なビジネスモデルを構築している、もしくは生活に必要なビジネスをしていること
- 10年後も変わらず存在しそうなビジネスであること、もしくは今後成長しそうなビジネスであること
- 不景気時に倒産していない強い財務体質であること
という目線で選んでみました。
No.1総合商社 三菱商事(8058)
言わずと知れた総合商社の雄です。
総合商社のビジネスエリアは多岐にわたっており、カップラーメンから宇宙ロケットまでと言われるほどです。
現在、多くの総合商社ではトレーディング領域の収益よりも投資収益の方が大きくなっています。
投資会社へと変貌を遂げた商社では、リスク管理が非常に大切になっていますが、商社の中では、三菱商事はリスク管理に秀でていると言われています。
詳しくはこちらもどうぞ。
商社というビジネスモデルは日本特有のものと言われ、海外の投資家から理解されにくいと聞いたことがありますが、 今回は商社の中でも『総合商社の雄』である三菱商事について分析してみようと思います。 三菱商事(8058)[…]
まずは、三菱商事の業績推移を見ていきます。
売上と利益の推移は下記の通りです。
参考:三菱商事 IRライブラリー より作成
業績が順調に拡大しているのが分かります。
なお、2016年に赤字に陥りましたが、これは創業以来初の赤字ということで、リスク管理の上手さが伺えますね。
また、ROEとEPSは下記のように推移しています。
参考:三菱商事 IRライブラリー より作成
ROEは安定的に8%を超えており、収益性は比較的高いと言えそうです。
なお、現在の配当金は125円ですが、会社発表の予想配当は132円で、この時の配当利回りは4.62%とかなりの高配当銘柄です。(2019年11月17日時点)
商社は景気敏感株なので、不景気時には株価が大きく下落すると考えられます。
その際に商社は投資チャンスを迎えますが、特に三菱商事は
- ビジネス規模が大きく、ビジネス内容自体の市場も分散されている
- 財務基盤が安定している
- リスク管理が上手
という3つのポイントで他商社より魅力的になりやすいと思い、三菱商事を選出しました。
総合人材企業 リクルートホールディングス(6098)
総合人材企業として有名なリクルートホールディングスは現在、人材領域だけでなく、結婚や住まいなどの生活領域にも大きく進出し多角化してきています。
リクルートホールディングスの事業領域は大きく3つに分かれています。
- HRテクノロジー
月間2億人の訪問があるindeedの運営
- メディア&ソリューションズ
リクナビなどの人材系メディアや、SUUMO、ゼクシィなどの生活関連メディアなどの運営
- 人材派遣
国内外の人材派遣サービスを運営
かなり手広く大きなメディア事業を運営していることが分かりますね。
詳しくはこちらもどうぞ。
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次にリクルートホールディングスの業績推移を見ていきます。
ます、売上と利益の推移は下記の通りです。
参考:リクルートホールディングス決算短信 より作成
売上・利益ともに順調に伸びているのがよく分かります。
この業績の伸びは、現在好景気であることや、転職がかなり一般的になってきたという背景もあるかもしれませんね。
また、ROEとEPSは下記のように推移しています。
参考:リクルートホールディングス決算短信 より作成
- リクルートHDの今後を考える
現在は働き方が柔軟になったり転職者が多くなってきていますが、まだまだ過渡期といったところです。
そう考えるとHRテクノロジー領域や人材派遣、人材系メディアはまだまだ伸び代がありそうですね。
また、リクルートの文化として新しいことに挑戦することを良しとする文化があります。
そのため社内起業や新規事業が盛んに行われており、これは競争力を持続させるという意味で非常に有効だと思われます。
今回はリクルートHDの
- 今後伸び代がありそうな業界で大手
- 財務基盤は安定している
- チャレンジする会社
という3つのポイントを評価し、選出しました。
グローバルM&A企業 GCA株式会社(2174)
こちらは先日紹介もさせていただきましたが、グローバルにフィナンシャルサービスを提供する日本発企業です。
GCAは、主に大型M&A案件を一気通貫でサポートするコンサルティングサービスを提供しています。
日本企業の海外M&A、国内企業同士でのM&Aなどが最近増加していますが、M&Aブームの影響もあり、業績は急拡大しています。
なお、株主還元を100%する方針で、株主還元実績も128%となっています。
詳しくはこちらもどうぞ。
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まずは、GCA の業績推移を見ていきます。
売上と利益の推移は下記の通りです。
参考:GCA 決算短信より作成
2014年〜2018年の5年間で売上が2倍近くに急拡大しているのが印象的です。
また、2017年度以外は比較的安定して利益が確保できており、財務基盤も安定しているので、経営の心配はなさそうです。
次に、ROEとEPSを見ていくと下記のように推移しています。
参考:GCA 決算短信より作成
M&Aビジネスという高付加価値サービスなので、ROEが高水準で確保できているのが分かります。
また配当も安定しており、今後も100%株主還元をしていく方針ということで、株主からすれば安心で楽しみな企業と言えそうです。
GCAはビジネスモデル上、M&Aが発生しないと売上が立ちません。
したがって、不況時にはおそらく業績がかなり下がりそうで、安定的企業とは言い難いです。
しかし、GCAには
- 好況時の株価の戻りがすごいM&A市場でビジネスを展開
- 財務基盤はしっかり
- 株主還元100%方針
の3つの強みがあり、企業として非常に魅力的に感じれるため、今回の選出対象としました。
この企業がない世界を想像できない Google(GOOG/GOOGL)
言わずもがなの企業ですね。
ちなみに、会社名はGoogleではなくAlphabet Inc.が正式名です。
ビジネス内容としては広告が主ですが、広告を展開しているチャネルが秀逸です。
Googleはもちろん、GmailやGoogle Map、YouTubeなど生活で触れないことはないですよね。
いまから10年後にGoogleがなくなっている世界は全く想像できません。
むしろAIなどの技術をより進化させて今より大きくなっていそうですが、ビジネスモデルは今でも堅固なものに見えます。
詳しくはこちらもどうぞ。
世界的な大企業で、みんな大好きGoogleを運営しているAlphabet Inc. について分析してみました。 「ググれカス」は流行語になってもよかったと思ってます。 Google(Alphabet Inc.)の[…]
まずは、Alphabetの業績推移を見ていきます。
売上と利益の推移は下記の通りです。(百万ドル表記)
参考:Alphabet Investor Relations より作成
2014年時点でも660億ドルの売上規模があったのに、現在は売上高が1,370億ドルと急拡大しています。
こんなにも巨大企業であるのに高い成長率を達成できており、Alphabet Inc. の強さが透けて見えますね。
また、ROEとEPSは下記のよう推移しています。
参考:Alphabet Investor Relations より作成
予想通りですが、ROEを高水準でキープし利益をどんどんと伸ばしていっています。
ビジネスモデルを考えても、今後の業績が伸びないイメージが全く湧きません。
巨大企業ながら高い成長率を高い利益率を誇るGoogle(Alphabet)は今後のビジネスも安泰そうな印象しかありません。
- 世界中の人の情報インフラ
- 財務基盤は安定
- 成長が止まらない業績
- 新たなサービスに常にチャレンジしている
の4つのポイントで、Alphabetを選出しました。
- Alphabet Inc. の業績への懸念点
現在も欧州で散々あったりしますが、個人情報などに関わる各国の規制や法律ができた場合、人々がGoogleのプラットフォームを使わなくなる可能性があります。
その場合は広告を展開できるチャネルが小さくなり、ビジネスが大きく制限される可能性があるので、こういったニュースには注意が必要そうです。
世界最大の小売 Amazon(AMZN)
世界最大のECであるAmazonも10年後になくなっていることが想像できない企業です。
ジェフ・ベゾスが一代で築き上げた最強に使いやすいECサイトです。
本のECから始まったはずが、あっという間に他商品市場にも触手を伸ばし、もはやAmazonにないものは買えないと思えるほどの品揃えを誇っています。
AmazonもAmazon Primeも一度使ったら病みつきになりますよね。
最近では『AWS』という社内改善から生まれたクラウドコンピューティングサービスが著しく伸びています。
詳しくはこちらもどうぞ。
世界最大の書店作りから始まり、現在ではAmazon PrimeやAmazon Web Servicesなど多彩な事業を展開するAmazon(AMZN)の企業分析と株価分析をしてみました。 管理人の休日の8割はAmazon Primeで[…]
まずは、Amazonの業績推移を見ていきます。
売上と利益の推移は下記の通りです。(百万ドル表記)
参考:Amazon IR情報 より作成
売上は順調に拡大していっています。
利益面は2014年度は赤字なのに対し、2018年度は100億ドル以上の利益を確保できているのが素晴らしいと思います。
また、ROEとEPSは下記のように推移しています。
参考:Amazon IR情報 より作成
2014年度のROEはマイナスですが、2018年度のROEは非常に高いです。
Amazonの主流事業であるEC事業は利益率が薄いですが、AWS事業の利益率は20%超ということもあり、今後、AWS事業が伸びていくにつれてROEが高い水準で安定しそうです。
AmazonもGoogleと同様に人々の生活の中に溶け込んでいるサービスと言えます。
管理人もそうですが、ECサイトではとりあえずAmazonから探しますし、サイトの使いやすさは世界一といっても過言ではありません。
ジェフ・ベゾスが創業当初から大事にしているユーザーエクスペリエンス(UX)がAmazonのサイトの価値と、Amazon自身の企業価値を高めているのがよく分かります。
したがって、Amazonには
- 世界中の人のインフラになっている
- ユーザーファーストの企業文化
- AWS領域の伸び代
- 利益拡大傾向
という4つのポイント(強み)があり、今後も安定して事業拡大していきそうですので、不景気でも魅力的な投資対象になると言えそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は5つの銘柄を紹介しましたが、どの企業も強力なビジネスモデルや強固な財務基盤をもっている会社です。
今後も業績が伸びていくかはもちろんわかりませんが、他企業に比べて強固な強みがあったり安定性があったりするので、個人的には安くなったタイミングで仕込めればかなり面白い銘柄じゃないかと思っています。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。
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