化粧品、化粧品業界の分析

【株価分析】化粧品会社と言えば!資生堂(4911)の分析と株価予想

今回は国内で圧倒的な認知度を誇る化粧品メーカーである資生堂について分析していきます。

資生堂のCMは結構好きです。

 

資生堂(4911)の事業概要

資生堂は国内では圧倒的なシェアを持つ『化粧品の雄』ですが、世界的にみても第7位の地位を築いており、海外でも知名度は非常に高いです。

資生堂は大きく2つの事業領域から成り立っています。

  • 化粧品事業
  • その他事業

化粧品事業、その他事業

化粧品事業

最初は調剤薬局から始まった資生堂ですが、現在は売上の多くを化粧品事業が占めています。

化粧品事業は大きく6種類の領域から成り立っています。

  • プレステージ
  • フレグランス
  • コスメティクス
  • パーソナルケア
  • プロフェッショナル
  • ヘルスケア

 

プレステージ

デパートや化粧品専門店で取り扱う商品領域です。

主に美容部員のカウンセリングを通して販売しており、高価格・高付加価値の商品群で、『SHISEIDO』『IPSA』『NARS』『LAURA MERUCIER』『クレ・ド・ポー ボーテ』『ベアミネラル』『ベネウィーク』『ディシラ』の8ブランドが含まれています。

 

フレグランス

デパートやパフューマリーで展開されるフレグランス事業は『DOLCE&GABBANA』『ELIE SAAB』『イッセイ ミヤケ』『ナルシソ ロドリゲス』『セルジュ・ルタンス』『ザディグ エ ヴォルテール』など知名度の高い高級ブランドが6つが含まれています。

 

コスメティクス

様々な店舗で見かける中価格帯の化粧品ブランドで、よく見かける16ブランドが含まれています。

かなり多いので列挙はしませんが、代表的なのは『ANESSA』『HAKU』『INTEGRATE』『マキアージュ』『エリクシール』などです。

 

パーソナルケア

主にドラッグストアや量販店で見かけるリーズナブルな化粧品部門で、『エージーデオ24』(AG)や『TSUBAKI』『UNO』など7ブランドが含まれています。

 

プロフェッショナル

ヘアケア商品、スタイリング商品、ヘアカラー剤、パーマ剤などをサロン専用ブランドである『資生堂プロフェッショナル』として提供しており、海外展開も行なっています。

 

ヘルスケア

『IHADA』などの肌トラブルを解消する医薬品、『ザ・コラーゲン』などのサプリメントブランドを展開している事業領域です。

 

その他事業

その他事業では、フルーツパフェで有名な資生堂パーラーなどのレストラン運営や小売店運営などを行なっています。

資生堂のその他事業では、フルーツパフェで有名な資生堂パーラーなどのレストラン運営や小売店運営などを行なっています

注目すべきは、【その他事業】という括りにも関わらず、医科向け化粧品の製造・販売・アミノ酸の分析受託などを行うフロンティアサイエンス事業を行なっていたり、学校法人資生堂学園(非グループ会社)などとも密接に連携していたりと美容領域を囲った事業を行なっていることが挙げられます。

※ 事業概要は資生堂事業案内より管理人作成

 

次に、資生堂の業績推移を見ていきます。

 

資生堂(4911)の業績推移

10年間の業績推移は下記のようになっています。

資生堂の業績推移を分析

参考:資生堂決算短信より管理人作成

 

2010年3月期から2013年3月期まではジワジワと業績が下がっており、一進一退のビジネスをしてきましたが、最近はインバウンドなどを背景に業績が伸び続けています。

 

また、各領域別の売上・営業利益は以下の通りになっています。

資生堂のセグメント別業績(売上・営業利益)分析

参考:資生堂決算短信より管理人作成

 

米国と欧州は赤字ですが、トラベルリテール部門の売上が思いの外大きく、利益率も高いのが印象的です。

全体として利益率が高く、さすがは化粧品の雄という感じですね。

 

資生堂(4911)の今後の戦略

資生堂は中長期ビジョンとして様々な戦略を描いていますが、その中でも特徴的なものを紹介していきます。

 

  • 研究開発への継続投資により競争力を醸成

資生堂 研究開発 皮膚

「セカンドスキン」という人工皮膚の特許技術や、「ステムラン173」という肌の若返りに有効な新規有用成分を世界で初めて開発したりと、同業他社との差別化により競争力を維持していると言えそうです。

また、2019年4月に新研究開発拠点である「資生堂グローバルイノベーションセンター」を稼働させており、研究開発を推進していくという企業姿勢が見て取れます。

 

  • 海外事業展開の加速

2018年12月期の売上高のうち50%弱が海外事業になっており(トラベルリテール、プロフェッショナルを除く)海外事業は資生堂の柱の一つになっています。

また、今後もさらに海外事業展開を加速させていく方針を打ち出しており、4月にはアリババグループとの戦略的業務提携、5月には世界最大のドラッグチェーンであるワトソンズグループとの戦略的業務提携も締結しています。

 

  • プレステージファースト戦略

化粧品、プレステージ市場

プレステージ市場(高級化粧品市場)でスキンケア商品と関連市場(メイクアップ、フレグランス)に注力していくという戦略を置いており、具体的にはクロスボーダーマーケティングやM&A、デジタライゼーション(ECやIoT)など、様々な施策を用いて世界3位以内のポジションを目指しています。

ちなみに、プレステージブランドには『SHISEIDO』『IPSA』『NARS』『Dolce&Gabbana』『クレ・ド・ポー ボーテ』などが含まれています。

 

  • 資生堂の強み・戦略のまとめ

まとめると、研究開発で製品自体の競争力を維持し、クロスボーダーマーケティングや他社との提携により海外での流通やブランド競争力を上げ、海外でのプレゼンスを向上していくという方針のようです。

 

資生堂(4911)の業績分析と株価予想

今までの株価分析や戦略分析などから資生堂の株価を予測していきます。

まずは定量的な財務分析を行なっていきます。

資生堂の業績分析、財務分析

平均EPS成長率はまずまずという状況ですが、平均ROEは6.1%と低めの数値です。

また一株あたり純資産が1,123円にも関わらず、株価が8,737円になっており、PBRが7.8倍と非常に高くなっています。(2019年9月21日時点の株価:8,738円より算出)

 

今後もこのような成長率が維持できるという仮定のもと、将来の株価を予想していきます。

資生堂の株価予測、株価予想

 

上表の通りとなりますが、 現在の成長率を維持していくと【妥当】レベルで▲54%、【保守的】レベルで▲69%の投資リターンが望める予想となっており、資生堂には投資すべきでないという結果となりました。(※ PER:20倍にて算出)

この予測株価におけるPBRは【妥当】レベルで1.2倍、【保守的】レベルでは1.0倍となっており、現在の7.78倍という数値よりはだいぶ現実的な値となっています。

 

仮にPERが50倍程度を維持するとした時のリターンの予測は下記のようになりました。

資生堂の株価予測、株価予想(PER50倍の場合)

【妥当】レベルで5%弱、【保守的】レベルで▲29%の投資リターン予想となっており、PER20倍よりは多少改善されたものの、リターンが小さいもしくマイナス予想はという結論になりました。(※ PER:50倍にて算出)

この予測株価におけるPBRは【妥当】レベルで3.0倍、【保守的】レベルでは2.4倍となっており、現在の7.78倍という数値よりは現実的ですが、少し高い値となっています。

 

結論

資生堂(4911)は今は買うべきではない銘柄

現在の資生堂の株価は、研究開発やブランド力といった成長性を見込まれた株価になっているため、PERやPBRの指標を見ても非常に高く、正直なところ投資しづらいといった印象です。

市場が暴落すると共に資生堂の株価がある程度下がったら、高成長の可能性のある優良企業を適切な価格で買うことになり、非常に魅力的な銘柄になると言えると思います。

したがって、業績を常にチェックし、株価が下落したタイミングや、大きな成長の兆しが見えたような良いタイミングで投資をするにはありだと考えています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

資生堂は何といっても研究開発やM&Aによる新機能商品での競争力と、その信頼性によるブランド力が印象的です。

セカンドスキン市場(市場規模は1兆円以上)で特許技術を持っていたり、中国では漢字3文字で『資生堂』として圧倒的な認知度を誇っていたり、リソースをプレステージ市場に集中したりと、経営やマーケティングが上手な企業という印象です。

管理人は『TSUBAKI』のCMが非常に印象的で、一時期TUBAKIブームが訪れたタイミングで資生堂に興味を持ちましたが、個人的にも好きな企業なので、ぜひ高成長して世界的な企業となって欲しいですね!

(今でもCM曲を空で歌える人も多いのではないでしょうか?笑)

 

どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。

今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。

>> 金融知識を学ぶ【企業分析】

>> 財務分析の方法 〜基礎編&実践編〜 

 

また、今回は定性分析は行なっていませんが、定性分析をする際はこのような手法で行うことが多いです。

>> 企業の定性分析 〜定性分析の手法:3つのフレームワークで分析してみる〜 

分析や投資判断の参考にして頂ければ嬉しいです!

 

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