PDFドキュメントは仕事をしていく上で必須のツールになっています。
同じように「Photoshop」もWEB系やデザイン系の仕事をしている人にはお馴染みのツールだと思います。
今回は、みんなの日常に溶け込むサービスを展開する Adobe Inc.(アドビ)を分析していきます。
Marketo が Adobe の傘下になっているのは知りませんでした。
Adobe(アドビ)の概要
Adobe Inc.(アドビ)は画像編集ソフトの『Photoshop』やPDF編集を可能にする『Acrobat』シリーズなどのアプリケーションを開発・販売している米国企業です。
最近では、CloudシリーズによるSaaSビジネスへの転換や、『AI Sensei』という機械学習製品も発表するなど、ビジネス的にもどんどんと進化を続けている面白い企業です。
アドビシステムズの事業セグメントは大きく3つに分かれています。
- Digital Media
- Digital Experience
- Publishing
- Digital Media
Digital Mediaには2つのサービス(Creative Cloud、Document Cloud)が分類されています。
◆ Creative Cloud
Photoshopやillstratorなど写真編集やデザインを行えるアプリやサービスを提供しています。
webデザインなどする時には必須と言ってもいいサービスですね。
◆ Document Cloud
PDFの編集などを可能にするAcrobatや電子契約、電子サインのAdobe Signなどを提供しています。
PDFなどは世界的に普及しており、Acrobatの威力を思い知らされますね。
Digital Media領域の2019年度の売上は前年比で22%増加しており、順調に伸びていると言えます。
- Digital Experience
主にExperience Cloud製品がDigital Experienceセグメントに含まれています。
Experience Cloud製品には、web分析ソフトのAdobe Analytics、広告配信のAdobe Advertising Cloud、MAツールであるMarketo Engage などのサービスがあります。
Digital Experience領域の2019年度の売上は前年比で31%増加しており、こちらも順調に伸びていると言えます。
- Publishing
10-Kでもあまり言及がないセグメントです。
売上の構成も全体の2〜3%を占めているだけです。
Publishing領域の2019年度の売上は前年比で1%減少しています。
上記のように様々なサービスを展開するAdobe(アドビシステムズ)ですが、以前はAcrobatやPhotoshopなどのソフトを売り切って販売していたものの、年を追うごとにサービスをサブスクリプション型に転換しています。
サブスクリプション型のサービスを始めたためサービス構成は以下の3種類に増えました。
- Subscription
- Product
- Services and support
2019年度のサブスクリプション売上は前年比で26%も増加しています。
全体に占める売上割合も年々増加しており、このまま上昇を続けそうですね。
アドビ(Adobe)の業績推移
アドビ(Adobe)の過去10年間の業績推移は以下のようになっています。
参考:Adobe Inc. Investor Relations SEC Filings より管理人作成
表の通り、長期では右肩上がりに成長しています。
一時期業績が低迷しているのはAdobeがサブスクリプションサービスに移行していたからだと予想されます。
2019年度の売上は1兆円を突破しているような大企業ですが、年間の伸び率が非常に大きいです。
営業利益も5年間で5倍弱まで成長しており、創業30年超であるのに成長著しいのが驚きです。
次にセグメント別の業績推移を見てみましょう。
上述した3つのセグメントの業績推移は以下のようになっています。
参考:Adobe Inc. Investor Relations SEC Filings より管理人作成
『Digital Media』『Digital Experience』はともに順調に伸びているのが確認できます。
以前に比べてIT系サービスの増加やフリーランスの増加、データマーケティングの浸透などが『Digital』セグメントが伸びている要因だと考えられますね。
また、この強い潮流は今後も続いていきそうに思われます。
次に、販売形態別の売上推移をみていきます。
アドビ(Adobe)は近年、サブスクリプション型のビジネスモデルへの切り替えを積極的に行っており、こちらもアドビの大きな特徴です。
販売形態別の業績推移は以下の通りになっています。
参考:Adobe Inc. Investor Relations SEC Filings より管理人作成
『Subscription』(サブスクリプション)の占有率・伸び率ともに非常に大きく、サブスク型ビジネスへの転換は大成功と言えそうです。
最後に、地域別の業績推移を見ていきます。
参考:Adobe Inc. Investor Relations SEC Filings より管理人作成
全世界で20%前後の伸びを見せており、バランスよく成長しています。
全世界でAdobe製品が受け入られれていると考えて良さそうです。
アドビ(Adobe)の業績分析と株価予想
過去10年間の業績推移を元に分析を行ってみます。
平均ROEは14.1%と高い水準をキープしていること、平均EPS成長率も23.59%と非常に高い成長率を維持しています。
一方で、PER、PBRは非常に高くなってしまっています。
アドビ(Adobe)の強みは、競合がほとんどいない市場で大きなシェアを持っていることです。
したがって、今後もドキュメントや画像編集などの市場で非常に高いシェア率を維持できそうに思えます。
また、フリーランスの増加やIT系サービスは今後も増えていきそうであることを考えると、『Digital Media』『Digital Experience』セグメントの市場自体も大きく成長していきそうです。
これらを考えると、アドビ(Adobe)の現在までの成長率や利益率はある程度維持できると考えても良さそうです。
これらの前提をもとに、8年後の株価予想をしてみると以下のようになります。
現在の成長率を維持していった場合、【妥当】レベルで40.8%、【保守的】レベルで7.2%の投資リターンが望める予想となっており、
アドビ(Adobe)は投資対象として少し魅力的という結果になりました。
※2020年2月16日時点の株価 379.67ドル を元に PER 20倍 にて算出
この予想株価におけるPBRは【妥当】レベルで14.2倍、【保守的】レベルでは12.0倍となっており、現在の約17.4倍というPBRと比較しても少し低めの水準になってはいますが、非常に高いPBRでした。
結論
アドビ(Adobe)は成長力のある魅力的な株だが、非常に高いので安い時に購入したい
アドビ(Adobe)は目立った競合もない市場で圧倒的な知名度とシェアを誇る成長力のある企業です。
「サブスクリプションモデルへの転換」「今後の市場の拡大」などを考えると、アドビ(Adobe)の業績も右肩上がりに上がっていきそうな期待が持てます。
一方で、現状の株価はPER:62倍、PBR:18倍と非常に割高で、アドビ(Adobe)の高い成長率を持ってしても、長期投資でのリターンが多くは望めない結果になりました。
市場シェアや売上が鈍化することは考えにくく、管理人としては、株式市場が下落したタイミングで最も投資を行いたい企業の一つとなりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は超有名企業のアドビ(Adobe)を分析してみましたが、圧倒的な市場シェアと成長力を持つ企業であることがわかりました。
ブランド力やアプリケーション市場自体の成長率も非常に高いと思われ、かなり魅力的な企業だと思えます。
一方で、株価も高くなりがちなので株価が下落したタイミングで上手く投資ができれば、非常にいい投資ができそうです。
管理人はアドビ(Adobe)を注視銘柄に加えつつ、動向を見守りたいと思います。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。
また、今回は定性分析は行っていませんが、定性分析をする際はこのような手法で行うことが多いです。
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