【株価分析】非資源分野が強い総合商社『伊藤忠商事』(8001)の分析と株価予測

今回は2015年に総合商社1位となったこともある伊藤忠商事(8001)の株価分析をしていきます。

伊藤忠商事(8001)の分析まとめ

  • 繊維や食料など非資源分野に強み
  • それゆえ他総合商社と比較して利益が安定している
  • 各カンパニー利益のバランスが非常に良い
  • ROEが非常に高い数値をキープしている
  • 投資対象として最も魅力的な総合商社と言えそう
  • 個人的には伊藤忠>三菱商事>三井物産

それでは詳しく見ていきましょう。

 

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伊藤忠商事(8001)の概要

伊藤忠商事(8001)は現在商社業界で三菱商事などと首位争いをしている日本屈指の総合商社です。

以前は世界最大の繊維商社であったため『繊維』事業は特に強く、他にも『食料』や『住生活』『情報・金融』などの非資源分野に強いことで知られています。

非資源分野に強みを持っているため、伊藤忠(8001)は他の総合商社に比べて業績が安定している傾向があります。

 

伊藤忠商事(8001)の事業カンパニーは以下の8カンパニーに分かれています。

  • 繊維カンパニー
  • 機械カンパニー
  • 金属カンパニー
  • エネルギー・化学品カンパニー
  • 食料カンパニー
  • 住生活カンパニー
  • 情報・金融カンパニー
  • 第8カンパニー

 

それぞれの詳細は下記のようになっています。

  • 繊維カンパニー

『ファッションアパレル部門』『ブランドマーケティング部門』で構成されており、繊維原料から最終製品であるシャツやジーンズまで様々な商材を扱っているカンパニーです。

伊藤忠の繊維カンパニーは国内の総合商社の中でNo.1の取扱高です。

2020年3月期の売上は5,375億円、利益は91億円となっています。

 

  • 機械カンパニー

『プラント・船舶・航空機部門』『自動車・建機・産機部門』で構成されており、電力インフラや交通インフラなどの大物から、自動車や建設機械、医療機器に至るまで幅広い領域で商売をしているカンパニーです。

2020年3月期の売上は1兆2,125億円、利益は567億円となっています。

 

  • 金属カンパニー

『金属資源部門』『鉄鋼製品事業室』で構成されており、鉄鉱石や石炭などの原料の鉱山開発やリサイクルビジネス、伊藤忠丸紅鉄鋼(子会社)のサポートなどを担っているカンパニーです。

2020年3月期の売上は6,439億円、利益は1,114億円となっています。

 

  • エネルギー・化学品カンパニー

『エネルギー部門』『化学品部門』『電力・環境ソリューション部門』で構成されており、原油トレードや石油探鉱、合成樹脂のトレード、バイオマス発電事業などを行っているカンパニーです。

2020年3月期の売上は2兆6,400億円、利益は617億円となっています。

 

  • 食料カンパニー

『食糧部門』『生鮮食品部門』『食品流通部門』で構成されており、原料供給から加工、流通、販売までワンストップサービスを提供している事業カンパニーです。

2020年3月期の売上は3兆8,334億円、利益は499億円となっています。

 

  • 住生活カンパニー

『生活資材・物流部門』『建設・不動産部門』で構成されており、紙パルプや天然ゴムのトレーディング、不動産開発や不動産管理事業などを行っているカンパニーです。

2020年3月期の売上は8,312億円、利益は550億円となっています。

 

  • 情報・金融カンパニー

『情報・通信部門』『金融・保険部門』から構成されており、VC事業やBPO事業、ファイナンス事業・保険仲介事業などを行っています。

2020年3月期の売上は7,644億円、利益は625億円となっています。

 

  • 第8カンパニー

上記の7カンパニーを横断して新規ビジネスの創出などを行っていくカンパニーです。

AI開発を行うスタートアップへの投資なども行っています。

2020年3月期の売上は5,171億円、利益は261億円となっています。

参照:伊藤忠商事 事業紹介 より

 

非資源分野に強みを持っているだけあって、全体的なカンパニー間の利益バランスが良いです。

また、今年の原油暴落でもエネルギー・化学品カンパニーは純利益ベースでプラスを維持できており、リスク管理機能も十分と言えそうです。

伊藤忠商事(8001)の業績推移

まずは、伊藤忠商事(8001)の過去10年間の業績推移を見ていきます。

伊藤忠 伊藤忠商事 業績推移 8001

伊藤忠 伊藤忠商事 業績推移 8001 グラフ

参考:伊藤忠商事 決算公表資料 より管理人作成

 

若干のマイナス成長もあるものの、非常に綺麗に業績が伸びていってるのがわかります。

会計基準に変更はあるものの、2011年と比較してEPSが3倍以上に成長しているのは驚きです。

次に過去3年間の各セグメントの売上収益を見ていきます。

伊藤忠 伊藤忠商事 カンパニー別 売上 売上収益 8001

伊藤忠 伊藤忠商事 カンパニー別 売上 売上収益 グラフ 8001

参考:伊藤忠商事 決算公表資料 より管理人作成

 

『食料カンパニー』『エネルギー・化学品カンパニー』が売上の約50%を占めています。

強みである『情報・金融カンパニー』や『住生活カンパニー』などは売上構成比が10%以下で決して大きいとは言えないのが印象的です。

 

もっとも、商社のビジネスは卸売業であるため売上収益の規模にはさほど意味がありません。

売上収益よりも、どれだけ利益を上げたかの方が重要になります。

最後にセグメント別の利益推移を見ていきます。

伊藤忠 伊藤忠商事 カンパニー別 利益 純利益 8001

伊藤忠 伊藤忠商事 カンパニー別 利益 純利益 グラフ 8001

参考:伊藤忠商事 決算公表資料 より管理人作成

 

非資源分野である『食料』『住生活』『情報・金融』『第8』で全体利益の半分以上を稼ぎ出しており、伊藤忠商事(8001)の強みが見て取れます。

また、どのカンパニーも20%以下の占有率となっており、利益の分散化が図られています。

そのため、商品相場の変動などに代表されるリスクに対応できる利益構造になっているところも非常に好印象です。

 

三井物産は全体利益の半分近くを金属資源分野で稼ぎ出しており、対照的な企業と言えそうですね。

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伊藤忠商事(8001)の株価分析・株価予想

まずは伊藤忠商事(8001)の過去10年間の業績推移を分析していきます。

伊藤忠 伊藤忠商事 業績分析 株価分析 8001

平均ROEは14.9%とかなり高い水準をキープしており、非常に効率的な事業運営ができていると言えます。

また、平均EPS成長率も15.56%と成長率も非常に高水準です。

一方で、PERが7倍前後、PBRが1.1倍前後となっており、他の総合商社と比較すると少し高い水準になっていますが、一般的な水準から比べると割安なように思えます。

 

伊藤忠商事(8001)は上述した通りバランスの良い利益構造を持っているため、原油相場の下落や突然の特定業界の不振などのリスクに強い体制を築いていると言えます。

非資源分野を強みとしているため、他商社のように投資的な趣向のビジネス展開というよりも、どちらかというと各ビジネスの積み重ねでここまでの結果を出しており、このビジネスの積み重ねはそれほど簡単に無くなるものではなさそうです。

上記の仮定のもと、現在までの成長水準などをキープした場合の8年後の伊藤忠商事(8001)の株価予想は以下のようになります。

伊藤忠 伊藤忠商事  株価予想 株価予測 8001

現在の成長率を維持していった場合、【妥当】レベルで376.2%、【保守的】レベルで214.2%の投資リターンが望める予想となっており、伊藤忠商事(8001)はかなり魅力的な銘柄という結果になりました。

※2020年5月20日時点の株価 2,245円を元に、PER10倍にて算出

この予想株価におけるPBRは【妥当】レベルで1.5倍、【保守的】レベルでは1.2倍となっており、現在の1.1倍というPBRと比べて少し高めの水準となりました。

 

一方で、丸紅(8002)は2021年3月期の業績予測を2020年3月期比で▲20%の4,000億円としています。

非資源分野に強みを持つ伊藤忠は食品や繊維(服飾)、住生活などに代表される一般消費者向け商材が利益に占める割合が大きくなっています。

コロナが長期的に一般消費者の購買行動に影響を及ぼす場合は、更なる業績悪化も見込んでくる可能性がありそうです。

結論

伊藤忠商事(8001)はかなり魅力的な銘柄

 

伊藤忠商事(8001)は日本屈指の総合商社として世界中のネットワークを駆使して幅広くビジネスを行っています。

業績も順調に推移しており、ROEは15%弱、成長率も15%以上かなりの高成長企業と言えそうです。

その上、株価水準はPERは7倍前後、PBRも1.1倍前後と割安水準です。

今後も同レベルの成長を続ければ8年後にトータル380%を超えるリターンを確保できるという予想になりました。

また、仮にコロナ等の影響により今後の成長率が80%程度に落ち込んだとしても200%超のリターンを得られるという予測になりました。

結果として、伊藤忠商事(8001)は非常に魅力的な投資対象と言えそうです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

伊藤忠商事(8001)は非資源分野に強みを持つ一流総合商社で、かなりの投資リターンが見込める魅力的な銘柄であるということがわかりました。

非資源分野が強みであることから、資源価格の変動に対する業績変化が小さく、結果として安定した利益構造を構築できています。

成長率も高い上にROEも非常に高く、巨大企業ながら1番成長が見込める総合商社と言えそうです。

個人的には、商社に投資する場合の優先順位は『伊藤忠商事>三菱商事>三井物産』となりそうです。

 

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