今回は誰もが一度は口にしているコカ・コーラを提供するThe Coca-Cola Company(KO)を分析していきます。
コーラもスプライトもMonsterも大好きです。
私の所属していたアメフト部ではコーラのことを『デブ水』と呼んでいました(褒め言葉です)
コカ・コーラ(KO)の分析まとめ
- 安定した業績をキープしているビバレッジ業界の雄
- 時価総額は業界No.1のディフェンシブ銘柄
- 圧倒的なブランド力を持っており、競争力がある
- 連続増配57年の増配王
- 企業は魅力的だが株価が高く、現在は魅力的な投資対象とは言えない
コカ・コーラ(KO)の概要
説明不要なほど有名な企業ですね。
これ程までに全世界で日常生活に浸透している製品も珍しいと思います。
コカ・コーラ自体は最初はワインとコカインとコーラ(植物)のエキスを混ぜたもので薬用酒として発明されたものですが、紆余曲折を経て現在の『コーラ』の形になっています。
最初はコーラの製造と販売を主にしていたものの、現在のコカ・コーラ(KO)は様々なジャンルで500種を超える飲み物を提供するようになっており、下記のジャンルでバリューシェア(金額ベースシェア)No.1の地位を築いています(エナジードリンク部門を除く)
- 【ジュース】1位:シェア率50%以上
『コカ・コーラ』『スプライト』『ファンタ』など
- 【日常生活&プラントベースド】バリューシェア1位
『Ades(アーモンドミルク)』『ZICO(ココナッツウォーター)』など
- 【ミネラルウォーター&スポーツドリンク】バリューシェア1位
『smartwater』『POWERADE』『AHA』など
- 【コーヒー&紅茶】バリューシェア1位
『GEORGIA』『紅茶花伝』など
- 【エナジードリンク】エナジードリンク部門で2位:シェア率15%以下
『Monster』『コカ・コーラエナジー』など
上記の様々なジャンル商品で業界1位のポジションをキープできているブランド力は、間違いなくコカ・コーラ(KO)の強みの一つと言えそうですね。
コカ・コーラ(KO)の事業セグメントは以下の2つに分かれています。
- Concentrate operations
- Finished product operations
それぞれの詳細は下記のようになっています。
- Concentrate operations
凝縮されたシロップや飲料製品をボトリング事業会社に販売している事業セグメントです。
2019年度の営業収益は全体の55%を占めています。
- Finished product operations
ミネラルウォーターやジュース、コーヒー、エナジードリンクなどを完成した最終製品の形で販売している事業セグメントです。
2019年度の営業収益は全体の45%を占めています。
かなりシンプルな事業構成になっていますね。
炭酸系飲料の売上が半分以上を占めており、近年の健康志向に伴い炭酸やジュースへの敬遠が心配なところですが、プラントベースド飲料やミネラルウォーター、エナジードリンク、コーヒーへなど他ジャンルへの注力によりリスク回避を図っている様です。
※2019年の1月にイギリスコーヒーチェーンの『コスタ』を買収しています。
競合はもちろん『PepsiCo, Inc.(ペプシコ)』です、ペプシもおいしいですよね。
時価総額はコカ・コーラ(KO)の方が大きいですが、ペプシコも『ペプシ』や『ゲータレード』など有名ブランドを揃えています。
売上ベースでは実はペプシコの方が大きいのはあまり知られていない事実かもしれないですね。
- The Coca-Cola Company:37,266百万ドル(2019年12月期)
- PepsiCo, Inc. :67,161百万ドル(2019年12月期)
ちなみにウォーレン・バフェットが長期保有しているバフェット銘柄としても有名で、バークシャー・ハサウェイが第1位大株主です。
まずはコカ・コーラ(KO)の過去の業績推移を見ていきましょう。
コカ・コーラ(KO)の業績推移
コカ・コーラ(KO)の過去10年間の業績は以下のようになっています。
参考:The Coca-Cola Company Investor relations All SEC Filingsより管理人作成
業績は10年間に渡ってかなり安定しています。
2017年度にかなり業績が悪化している様に見えます、この原因は税制改革要因のため忘れても良さそうです。
株主資本は減少を続けていますが業績的な影響というよりも戦略的に経営の効率性を上げている影響だと思われますので、あまり気にする必要はなさそうです。
次に、地域&セグメント別の業績推移は下記のようになっています。
参考:The Coca-Cola Company Investor relations All SEC Filingsより管理人作成
全地域で営業利益が安定して推移しており、コカ・コーラ(KO)の製品の強さが伺えます。
また、『Bottling Investments』がマイナスからプラスに転換しており、業績向上に大きく貢献しています。
欧州やアフリカでのボトリング事業のコスト削減施策が良い結果をもたらしているのがわかります。
次に業績推移をもとにコカ・コーラ(KO)の株価分析をしていきます。
コカ・コーラ(KO)の株価分析・株価予想
まずはコカ・コーラ(KO)の過去10年間の業績推移を分析していきます。
平均ROEは30%弱と非常に高いのが印象的で(2019年の決算ではROEが48%弱)かなり効率的に事業運営ができていそうです。
※2017年の税制改正による特別要因を除けば平均ROEが30%超となります。
平均EPS成長率も3.55%成長となっており、しっかりとプラスを維持できています。
一方で、PERが21.8倍、PBRが10.29倍となっており現在は株価水準が高くなっているように思えます。
また、こちらには記載していませんが配当は株価45.6ドル(2020年5月4日付)に対して配当金が1.6ドル(2019年実績)で、配当利回りが3.51%となっており利回りも期待できる銘柄と言えそうです。
コカ・コーラ(KO)は連続増配銘柄として非常に有名で、連続増配を57年間も続けている企業です。
ただし、配当性向は上昇しているため、今後の業績が拡大しないと増配ペースが落ちていったり、増配がストップする可能性もありそうです。
配当が維持できる前提の元、暴落後にPERが15倍などの水準まで落ちれば、連続増配も加味するとかなりの高配当連続増配銘柄になりそうですね。
コカ・コーラ(KO)の競争力は、圧倒的なブランド力とマーケティングによって消費者心理に入り込んでいることが挙げられます。
長期間にわたって形成された消費者心理は簡単に崩れるものではないため、コカ・コーラ(KO)自体のブランド力と商品力は今後も維持・拡大できると予想でき、今後も過去と同程度の成長を維持できそうに思えます。
上記の仮定のもと、8年後のコカ・コーラ(KO)の株価予想はご覧のようになります。
現在の成長率を維持していった場合、【妥当】レベルで▲12.4%、【保守的】レベルで▲32.3%%の投資リターンが望める予想となっており、コカ・コーラ(KO)は投資対象として魅力的ではないという結果になりました。
※2020年5月4日時点の株価 45.6ドル を元に、PER15倍にて算出
この予想株価におけるPBRは【妥当】レベルで4.3倍、【保守的】レベルでは3.5倍となっており、現在の10.29倍というPBRに比べれば半分程度ではあるものの、非常に高い水準のPBRとなりました。
結論
コカ・コーラ(KO)は事業内容や配当は魅力的だが、株価が高すぎて投資対象として現在はあまり魅力的ではない
コカ・コーラ(KO)はビバレッジ業界の雄として安定した業績を達成しています。
ROEは特別要因を除外すれば平均で30%超を確保しており、ブランド力の強い様々な商品で競争力を確保できている証拠と言えそうです。
一方で、安定性とROEの高さ、連続増配銘柄であることからか、株価はPER22倍弱、PBRは10.3倍と非常に高い株価水準で、この高い株価水準では投資を行っても今後得られるリターンは限られる、もしくはマイナスになると予想され、現在は投資対象としては魅力的ではないという結果になりました。
事業内容やROEなどは非常に魅力的であり、コカ・コーラ(KO)の事業成績や利益率が著しく悪くなるとは考えづらいことや、増配王と呼ばれる銘柄の一つであり易々と増配を止めたり減配しないと予想されることから、株価水準が2/3〜半分程度になったら投資対象として非常に魅力的な企業になりそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
コカ・コーラ(KO)は安定した業績と超強いブランドを持つ一流ビバレッジメーカーということがわかりました。
『コカ・コーラ』に代表されるブランド力やマーケテイング手法など、企業内部で保有している強みがThe Coca-Cola Company(KO)収益力の源泉になっていると想像でき、この競争力はそう簡単に失われるものではなさそうです。
また、日常生活に不可欠な『飲料』を提供していることから、景気の良し悪しに関わらず需要が減退しないディフェンシブ銘柄です。
一方で、株価水準が非常に高いため投資してもリターンを得られる可能性が少なそうという結果になりました。
事業内容やブランドには間違いなく力のある企業なので、投資タイミングを見極めて投資ができれば永続的に保できる魅力的な企業になりそうです。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。
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