今回は日本人なら誰もが使ったことがあるであろう様々なサービスを提供するリクルートホールディングスの株価分析と株価予想をしていきます。
管理人は「じゃらん」と「ホットペッパービューティー」のヘビーユーザーです。
リクルートホールディングス(6098)の概要
リクルートホールディングスは様々なサービスを展開するリクルートグループのホールディング企業です。
- リクルートキャリア(リクナビ、リクルートエージェントなどを運営)
- リクルートライフスタイル(ホットペッパーなどを運営)
- リクルート住まいカンパニー(suumoなどを運営)
- Indeed(indeed.com の運営)
など350社超のグループ企業を有しており、各グループ会社を通じて、キャリアや日々の生活に関連したサービスを展開しています。
創業当初の事業領域は、新卒採用などの就職マーケット領域だったことから、人材系サービスが強かったリクルートホールディングスですが、
その後はライフイベントや生活サービス分野にも進出し、総合サービス企業として大きく成長してきました。
現在展開しているサービスとしては、ゼクシィやポットペッパーグルメ、スタディサプリ、suumo、じゃらんなど誰もが使ったことがあるであろうお馴染みのサービスが並んでいます。
リクルートホールディングスの事業セグメントは3つに分かれています。
- HRテクノロジー
- メディア&ソリューション
- 人材派遣
それぞれの詳細は下記のようになっています。
- HRテクノロジー
オンライン求人検索のIndeed、オンライン求人広告のGlassdoorが中心の事業セグメントです。
売上は 3,269億円となっており、全体の 14%を占めています。
セグメント利益(EBITDA)は 474億円と全体の 16%を占めています。
- メディア&ソリューション
住宅や結婚、旅行などのライフイベントや、美容、飲食など日々の生活の分野における情報プラットフォームを展開しています。
日常生活に溶け込んでいるポットペッパーやじゃらん、suumoなどはこのセグメントに含まれています。
加えて、人材紹介業や人材育成サービス(リクナビやリクルートエージェントなど)もメディア&ソリューションセグメントに含まれています。
売上は 7,214億円となっており、全体の 31%を占めています。
一方で、セグメント利益は 1,724億円と全体の 57%を占めており、利益貢献度が高いセグメントです。
- 人材派遣
日本や北米、欧米などでの人材派遣事業セグメントです。
事務職の他に専門領域に対応できる人材の派遣サービスも行っており、リクルートスタッフィングなどがこの事業セグメントに含まれています。
売上は 12,902億円となっており、全体の 55%を占めています。
また、セグメント利益は 829億円と全体の 27%を占めています。
参考:リクルートホールディングス 事業紹介 より
リクルートは起業しやすい企業として有名で、独立支援制度などもあるようです。
起業意欲旺盛な新卒がこぞってリクルートを目指すのも納得ですね。
基本的には右肩上がりの業績推移で2019年3月期の売上は2.3兆円となっています。
まずは、リクルートホールディングスの業績推移を見ていきましょう。
リクルートホールディングス(6098)の業績推移
リクルートホールディングスの過去10年間の業績推移を見ていきます。
参考:リクルートホールディングス IRライブラリ 決算短信 より管理人作成
基本的には売上は右肩上がりで順調に推移しています。
当期純利益に関しても順調に伸びてきているという感覚です。(2009年はリーマン・ショックの影響か非常に低調な結果に終わっていますね)
注意点としては、2017年度からIFRSに転換しており、会計基準が異なるので単純な比較ができないことです。
次に、セグメント別の業績推移を見ていきます。
参考:リクルートホールディングス IRライブラリ 決算短信 より管理人作成
セグメントの分け方が変更されてからまだ2年しか経過しておらず、経年での進捗は確認しづらいです。
気になる点としては、最も売上高の大きな『人材派遣』セグメントの売上が7%程減少していることです。
一方で、『HRテクノロジー』『メディア&ソリューション』は売上が大きく伸びています。
『HRテクノロジー』『メディア&ソリューション』の方が粗利率が高いので、株価的にはこれらのセグメントが伸びていくのが好ましそうですね。
リクルートホールディングス(6098)の株価分析と株価予想
まずは、過去10年間の業績推移をもとに株価分析をしていきます。
平均ROEは11.4%と高い水準をキープしていること、平均EPS成長率も22.52%と高い成長率を維持していることは非常に評価できます。
一方で、PERは43倍、PBRも7.8倍と非常に高くなってしまっています。
リクルートホールディングス(6098)の強みは、ライフやキャリアなど様々なサービスが広く認知されている上に、ひとつひとつのサービスが非常に強いことです。
様々なサービス間で情報の統合がされており、ユーザーはリクルートグループ内のプラットフォームで旅行も食事も転職もストレスなく体験できるようになっています。
このようなプラットフォームは構築は非常に難しいものの、一度構築すると崩れにくく競争力の高いモデルとなると考えられ、今後もリクルートグループの競争力は長年にわたり維持できそうに思えます。
したがって、リクルートホールディングス(6098)の現在までの成長率や利益率はある程度維持できると考えても良さそうです。
これらの前提をもとに、8年後の株価予想をしてみると以下のようになります。
現在の成長率を維持していった場合、【妥当】レベルで44.5%、【保守的】レベルで12.4%の投資リターンが望める予想となっており、
リクルートホールディングス(6098)は投資対象として少し魅力的という結果になりました。
※2020年2月21日時点の株価 4,488円 を元に PER 15倍 にて算出
この予想株価におけるPBRは【妥当】レベルで5.0倍、【保守的】レベルでは4.5倍となっており、現在の約7.8倍というPBRと比較しても少し低めの水準になってはいますが、高いPBRと言えます。
結論
リクルートホールディングス(6098)は成長力のある魅力的な株だが、少し高い
リクルートホールディングス(6098)は幅広いサービスを展開し、かつ各サービスの規模が非常に大きいという強みを持つ企業ということがわかりました。
成長率も高く、プラットフォーム的なビジネスであるが故に、今後も競争力は維持していけそうな楽しみな企業と言えます。
一方で、現状の株価はPER:43倍、PBR:7.8倍と少し割高で、リクルートホールディングス(6098)の成長率を持ってしても、投資リターンがあまり高くは得られなさそうという結果になりました。
リクルートホールディングス自体のビジネスモデルが弱体化するとは考えにくいため、割高感が少し低下した段階で投資先として考えるべき企業と言えそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は誰もが一度は触れたことがあるであろうサービスを多数展開するリクルートホールディングス(6098)の分析と株価予想をしてみました。
何と言ってもプラットフォーマーとして大規模なサービスを展開している強みは非常に魅力的です。
一方、ビジネス的には文句なしで実生活での知名度も高いため、株価も高騰しがちです。
割高感がなくなれば良い投資ができそうではあるので、株価を注視して投資タイミングを見極めたい銘柄と言えそうです。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。
また、今回は定性分析は行っていませんが、定性分析をする際はこのような手法で行うことが多いです。
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