『マリオ』の発祥の地はどこか知っていますか?
今回は、みんな大好きNintendo Switchを展開する任天堂(7974)を分析してみました。
任天堂は京都発祥の企業っていうのあまり知られてないですよね。
ちなみに管理人のベストSwitchソフトは『オクトパストラベラー』です。
任天堂(7974)の概要
任天堂は日本を代表するホームエンターテインメント企業で、1899年に創業し最初は花札やトランプの製造および販売を行なっていました。
その後、1983年に『ファミリーコンピューター』を発売してからは、コンピューターゲーム機を中心に様々な娯楽製品を開発・販売してきています。
代表的な商品としては、ゲームボーイや、ニンテンドー3DS、Nintendo Switchなどがありますし、有名ブランドとしては『マリオ』などが有名ですね。
また、売上的には大きくないものの、創業当初から現在に至るまで、トランプやかるた、花札などの家庭用玩具の製造・販売も行なっています。
Nintendo Switchには大変お世話になっております!
任天堂(7974)の業績推移
まずは任天堂の10年間の業績推移を見てみます。
参考:任天堂 決算短信等より管理人作成
大きく利益を出す年度もあればかなりの純損失を計上する期もあり、何とも言えない業績推移です。
トータル10年間で見ても利益の成長率や株主資本の成長率はイマイチと言えます。
次に、業績を国内と海外の地域別に分解してみると、下記のようになります。
参考:任天堂 決算短信等より管理人作成
地域セグメントは国内、米大陸、欧州、その他の4つのセグメントに分かれていますが、米大陸が最大の市場で、欧州も日本と同程度の売上規模となっています。
全社の売上に占める海外売上高比率は平均でも70%程度もあり、近年はさらに増加傾向です。
ゲーム業界と任天堂(7974)を考える
次にゲーム業界と任天堂の関係性を考えていきます。
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ゲーム業界の特徴
エンターテインメント分野には、顧客が常に新しい楽しさを追い求めていること、ゲームにはブームなどがあり永続的な商品がないことという特徴があり、
面白い新商品を継続的に展開していかなければ衰退していく、かなり競争が激しい業界だと言えます。
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任天堂の競合
任天堂はハード・ソフトの両分野でゲーム業界で圧倒的な知名度を誇りますが、厳しい競争にさらされています。
ハード分野での競合はソニーやマイクロソフトなどの家庭用ゲーム機メーカーとなります。
PS4もXboxも面白いソフトたくさんありますよね!
また、ソフト分野では、既存のゲームメーカー(スクエア・エニックスなど)がありますが、直近10年の市場変化でスマホゲームメーカー(ミクシィ、ガンホーなど)も大きな競合となりました。
ソニーやマイクロソフトはライバルとしてずっと競争してきたものの、スマホの登場によってソフト分野での競合が増えたことが、任天堂にとっては非常に大きな変化だったと思われます。
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任天堂の戦略
ゲーム業界は、いかに面白い新商品を開発・販売していくかの競争ですが、これに対する任天堂の経営戦略は非常にシンプルで、
『今までのブランドを活かして新規事業や新規商品を展開していく』ことです。
ブランドを活かす
任天堂の戦略中には『任天堂IPに触れる人口の拡大』というキーワードがたくさん出てきます。
任天堂IPとは任天堂の保有するキャラクターやゲーム世界観のことで、このキャラクターや世界観に触れる人口を増やす=ブランドイメージを広く浸透させるという戦略をとっています。
具体的には、Nintendo Switchのような自社デバイスでの展開はもちろんのこと、ゲーム機外のデバイス(スマホ)でのゲームビジネスの展開や、
ゲーム外でも任天堂のキャラクターをグッズやテーマパークで展開することで、より任天堂IPを浸透させていくという方針のようです。
もともと任天堂は、2018年度には日本のブランドランキング10位にもランクインしており、『マリオ』などの知名度が非常に高いキャラクターも保有していますので、
これらのブランド資産を活かして、ゲーム機内外・ゲーム外でのビジネスを拡大していくのは非常にイメージができる戦略であり、
今後どのように日常生活に任天堂IPが溶け込んでくるのか楽しみですね!
任天堂(7974)の業績分析と株価予想
今までの株価分析や戦略分析から任天堂の今後の株価予想をしていきます。
まずは業績推移から定量的な分析を行なっていきます。
平均ROEは7%以下になっており、比較的低めですが、これは度々ある赤字決算が影響している結果と言えます。
結果的に株主資本成長率も長期で見ると2%を割り込んでおり、お世辞にも高成長企業とは言えません。
今後も今までの10年間と同程度の成長率が維持できるとの仮定のもと、将来の株価を予想していくと下記のようになります。
現在の成長率を維持していくと【妥当】レベルで▲57.2%、【保守的】レベルで▲64.4%の投資リターンが望める予想となっており、
残念ながら任天堂は現時点では投資対象として魅力的ではないという結果になりました。
※10月4日時点の株価40,970円を元にPER 20倍にて算出
この予測株価におけるPBRは【妥当】レベルで1.3倍、【保守的】レベルでは1.1倍となっており、現在の3.46倍という数値よりは、清算価格に近い現実的な値となっています。
結論
任天堂は買うべきではない銘柄
上述の株価予測では、現在の成長率を維持しても、任天堂に投資したお金の半分以上を失うという分析結果になりました。
最近5年間は黒字であるものの、利益のブレ幅が非常に大きく、任天堂が厳しい競争にさらされていることがよくわかります。
一方で、任天堂は世界でも非常に強いブランド力を持つと思いますので、今後の任天堂IPを活かす戦略により任天堂の競争力が向上したら、
結果として業績は上向きに安定的になっていくと想定できます。
その際に投資対象として再度考えてみても良い気がします!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
優良企業として名高い任天堂ですが、確かに財務面は非常に優秀で、安定した経営をしていくことができそうです。
一方で、ビジネス面では業界内の厳しい競争にさらされており、業績は右肩上がりというわけにはなっていませんでした。
任天堂の競争力であり差別化要因である任天堂IPなどのブランド資産を、今後どのように活かしてビジネスに展開していくかが、この競争を一歩リードするための重要な戦略となりそうです。
『任天堂IPの浸透』がキーワードだと思いますので、日常生活でこのキーワードに注視しつつ投資の意思決定をしていきたいと思います。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。
また、今回は定性分析は行なっていませんが、定性分析をする際はこのような手法で行うことが多いです。
>> 企業の定性分析 〜定性分析の手法:3つのフレームワークで分析してみる〜
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