世界的な大企業で、みんな大好きGoogleを運営しているAlphabet Inc. について分析してみました。
「ググれカス」は流行語になってもよかったと思ってます。
Google(Alphabet Inc.)の概要
Googleは1998年にラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって設立されました。
Googleの前身となる検索エンジンは2人のスタンフォード大学博士課程時の研究プロジェクトとしてスタートしたもので、検索ワードとの適合性を判断する上で新しい理論を用いたものでした。
現在はGoogleから持株会社である『Alphabet Inc.』 が正式な社名になっています。
使いやすさやシンプルさでユーザーを虜にし、現在は10億人を超すユーザーを擁するサービスを多数展開しています。
主要なサービスは下記ですが、一度は使ったことあるサービスが多いですよね。
- 検索エンジン Google
- 地図 GoogleMap
- メール Gmail
- ブラウザ Chrome
- 動画配信 You Tube
- スマートフォン Android
- クラウドコンピューティング Google Cloud Platform
など多岐に渡るサービスを展開しています。
ビジネスモデルとしては広告配信がメインとなっており、主にto C向けにGoogleが様々なプラットフォームでコンテンツを無料で提供する代わりに、広告を配信することで広告収入を得ています。
もちろん有料登録をしてコンテンツを使用することもできます。
また、最近はAWSやAzureとともにto B向けのクラウドコンピューティング分野にも進出しています。
このクラウドコンピューティング分野はAWSもAzureもかなり伸びているので、Googleでも注目したい事業です。
こちらでAmazonの分析もしているのでよろしければどうぞ。
>> 【米国株の企業分析】Amazon(AMZN)の分析と株価予測
Google(Alphabet Inc.)の業績推移
まずはAlphabet Inc. の過去10年間の業績推移を見ていきます。
参考: Alphabet Investor Relations より作成
かなりの右肩上がりで収益が伸びていることがわかります。
利益ベースでは2008年12月期から2018年12月期で7倍以上に成長しており、GoogleやGmail、YouTubeがどんどんと浸透した結果を、数字ではっきりと確認できますね。
また、注目すべきはROEの高さで、平均ROEは15.6%とかなりの高水準になっています。
次に、地域別の売上高構成を見ていきます。
参考: Alphabet Investor Relations より作成
売上の半分以上がUnited States もしくは Other Americas から来ており、米国を中心に安定的な収益基盤を確保していることがわかります。
また、APACの売上の伸びが凄まじく、これから主力市場になっていきそうな期待も持てますね。
Google(Alphabet Inc.)の競合
Alphabet Inc. は様々な事業に展開しているため、直接の競合はありませんが、事業別ではかなり手強い競合企業があると言えます。
具体的にはこんな競合サービスがあります。
- 検索エンジンの競合 Yahoo、Bingなど
- ブラウザの競合 IE、Safariなど
- 動画配信の競合 Netflix、Amazon Prime、ニコニコ動画など
- スマートフォンの競合 Apple、Samsunなど
- クラウドコンピューティングの競合 AmazonのAWS、MicrosoftのAzureなど
ご覧の通り、競合は競争力が非常に高い企業が多いです。
Alphabet Inc. はこのような強力な競合がひしめく業界でどんどんと業績を拡大しているということになります。
凄まじい企業ですね!
このAlphabet Inc. の強さはいったいどこから生まれてくるのでしょうか?
Alphabet Inc. の強さの源泉
Alphabet Inc. は様々な事業展開をし、どの事業でもそれなり以上に成功を納めていますが、
この競争力の源泉は『Google時代からの思想・企業文化』にあると言えます。
Alphabet Inc. が最も重視しているのが『優秀な人材の確保』つまり『採用』です。
「どんな組織を構築するか?」よりも「どのように優秀な仲間を集めるか」に重点が置かれており、
この考え方の根底には優秀な人材が好きなことに情熱を持って取り組めば、結果的に素晴らしい成果が出せるという創業者の想いが見えますね。
また、この『好きなことに自由に情熱を持って取り組む』ための仕組みとして、Googleには有名な『20%ルール』があります。
これは、自分の勤務時間の20%で自分が興味のある研究などを行っていいというものです。
この20%ルールから生まれたものの代表格が、いまや月間15億人のアクティブユーザーを抱えるGmailです。
近年は20%ルールが形骸化してきているという話も聞きますが、Googleの文化の根底であることは間違いないと思います。
自分の好きなことをやっていい時間は最もクリエイティブな瞬間だと思うので、Googleから新サービスが続々生まれるのも納得できますね。
つまりAlphabet Inc. には、
- 挑戦を歓迎する文化があり
- 社員が自由に新しい発想を考え、試せる時間を仕組みとして確保している
ので、新しいサービスや製品が生まれ、結果的にAlphabetに競争力が醸成されるという好循環があると思われます。
Googleの思想や企業文化については下記の書籍にも書かれているので、ご興味ある方は一度読んでみてください。
How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス) 私たちの働き方とマネジメント (日経ビジネス人文庫)
Google(Alphabet Inc. )の業績分析と株価予想
業績推移を元に簡単な分析をしてみると以下のような結果になります。
参考: Alphabet Investor Relations より作成(株価:12月15日時点の 1,347.83ドル)
ROEと株主資本成長率の高さが際立っており、今後も成長性は期待できそうです。
また、Alphabet Inc. の競争力の源泉である『企業文化』や『優秀な人材の確保』は短期間に大きく変化するものとは思えません。
したがって、Googleは今後も過去10年間と同程度の成長を続けていくと仮定すると、株価予測と予想リターンは以下のようになります。
現在の成長率を維持していくと【妥当】レベルで168.3%、【保守的】レベルで62.3%の投資リターンが望める予想となっており、
Alphabet Inc. は現時点では投資対象として魅力的であるという結果になりました。
※12月15日時点の株価1347.83ドルを元にPER 20倍にて算出
この予測株価におけるPBRは【妥当】レベルで3.1倍、【保守的】レベルでは2.5倍となっており、現在の約5倍という数値よりは少し現実的な値となっています。
仮に、現在のPER30倍水準を維持したと仮定すると予想リターンは【妥当】レベルで302%、【保守的】レベルでも143%となり、かなり魅力的な銘柄になります。
結論
Alphabet Inc. は是非保有したい高成長銘柄
プラットフォーマーとして検索エンジンや動画配信プラットフォームを持っているのが圧倒的な強みです。
さらに、Googleの真髄とも言うべきチャレンジを歓迎する企業文化があることで、便利な新サービスをプラットフォーム上ですぐに横展開できるという好循環が生まれています。
この好循環は簡単に崩れるものではなさそうなので、今後の業績も大いに期待できそうです。
少し心配なのは20%ルールの形骸化ですが、現在はM&Aなどがイノベーションの代替的な役割を担っていると考えられるため、そこまで心配は要らなさそうです。
一方で、欧州などでは巨大IT企業に対する規制が強化されています。
最近は、日本でも規制強化の動きが出てきましたね。
このような法規制によってビジネスが上手に展開できなくなる可能性もあるので、その際は一旦投資をやめるというのも選択肢の一つかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
Alphabet Inc. は想像通りの世界的な超優良企業でした。
インターネット検索でのNo.1のポジションは揺るぎないものだと思いますので、今後の業績も堅調に推移しそうです。
また、新サービスとして、自動運転自動車やAIを活用した新サービスを展開してくれそうな期待感もあり、これからも楽しみな企業と言えそうです。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。
また、今回は定性分析は行なっていませんが、定性分析をする際はこのような手法で行うことが多いです。
>> 企業の定性分析 〜定性分析の手法:3つのフレームワークで分析してみる〜
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