エヌディビア(NVIDIA)という会社をご存知でしょうか?
あまり頻繁に社名を聞くことはないと思いますが、実はかなり業績が伸びているAI関連企業として有名です。
今回は、そんな高成長企業であるエヌディビア(NVIDIA)の株価分析と株価予測をしていきたいと思います。
管理人は最初「エヌビディア」だと思ってました。英語難しいです。
NVIDIA(エヌディビア)の概要
NVIDIA(エヌディビア)はGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)を提供する世界トップクラスの半導体メーカーです。
携帯やスマホに入っているシステムチップから、自動運転車両やロボット向けのDRIVE AGX Orin、AIや機械学習向けのTITAN RTXなどの製品を提供しています。
身近な部分ではゲーミングPCのGPUで圧倒的な存在感を誇っているGeForceシリーズもNVIDIA(エヌディビア)の製品になります。
ちなみに、過去にはバーチャファイター向けのグラフィックアクセラレータをしていたこともあるようです。
製品群はゲームやAI、自動運転など昨今の流行に乗ったものであり、業績は右肩上がりに伸びています。
NVIDIA(エヌディビア)の業績推移
過去10年間のエヌディビアの業績推移は以下のようになっています。
参考:NVIDIA Investors SEC Filings より管理人作成
ROEはかなりの高水準で維持できている上に、利益も右肩上がりに積み上がっていることがわかります。
特に、純利益面は9年(2011-2019)で17倍近くになっており、成長著しいですね。
次に、事業別の売上構成を見ていくと下記のようになっています。
参考:NVIDIA Investors Financial Reports より管理人作成
AI分野のイメージが強いNVIDIA(エヌディビア)ですが、ゲーミング分野の売上が55%と圧倒的に多いです。
また、データセンター事業の売上の成長率が凄まじいこともわかります。
最後に、地域別の売上構成は以下のようになっています。
参考:NVIDIA Investors Financial Reports より管理人作成
アジア地域、特に中国、台湾での売上が大きいのが特徴で、全体の70%以上をアジアで売り上げています。
アメリカ企業ですがアジア売上が大きいのは意外ですね。
NVIDIA(エヌディビア)の強み
YouTubeでもゲーム実況がかなり流行っており、e-sportsも今後はもっと盛り上がりを見せていきそうなゲーム業界ですが、
特に流行している3Dグラフィックのゲームにおいて、GPUは必須になります。
このゲーミングGPU分野において、NVIDIAはAMDと共に圧倒的なシェアを誇っています。
NVIDIAはGeForceシリーズ、AMDではRADEONシリーズで、これらの2製品の中に大きな違いは無いようですが、2製品でゲーミングGPU内で圧倒的シェアを持っていることは間違いなさそうです。
現在の売上構成もゲーミング分野が大きく、今後もシェアは早々に落ちないと思われるので、ゲーム市場やYoutubeのゲーム実況市場拡大とともに今後も売上は伸びていきそうです。
また、AIや機械学習分野ではNVIDIA(エヌディビア)のGPUを使うことが必須とさえ言えるほど、この分野でのブランディングは成功しているように思えます。
1993年の創業以来、ゲーミング分野で培ってきた計算能力の高さを活かし、現在のAI用GPUなどを作成していることもあり、技術の積み上げという意味で技術力(=競争力)もありそうです。
つまり、NVIDIA(エヌディビア)の強みとしてあげられるのは
- ゲーム市場向けGPUでの圧倒的なシェアを持っていること
- 技術力の高さを活かして、他市場に展開していること
と言えそうです。
NVIDIA(エヌディビア)の株価分析と株価予想
現在までの業績を元に、エヌディビア(NVIDIA)の株価予想をしていきます。
まずは、業績を分析していきます。
先ほども言及しましたが、平均ROEが22.5%と非常に高く、市場平均を大きく上回っています。
一方で、その成長性を見越してかPERは30倍以上あり、少し割高と言えます。
今後もAIや自動運転分野、ゲーミング分野は市場自体が大きく伸びそうなので、市場の流れに乗ってエヌディビア(NVIDIA)の業績も上がっていくと予想できそうです。
現在までの業績推移の数値が維持できたとすると、株価予想は下記のようになります。
現在の成長率を維持していくと【妥当】レベルで619.2%、【保守的】レベルで256.2%の投資リターンが望める予想となっており、
NVIDIA は現時点では投資対象として魅力的であるという結果になりました。
※12月15日時点の株価229.14ドルを元にPER 30倍にて算出
この予測株価におけるPBRは【妥当】レベルで6.7倍、【保守的】レベルでは5.4倍となっており、現在の15倍というPBRと比較すると少し現実的な低めの値になっていますが、まだまだ指標的には割高です。
一方、懸念点としては競合他社の存在があげられます。
巨人インテルがGPUをリリースするという計画がありますし、Googleにもディープラーニング向けのTensorFlowがあるように、世界中が注目する業界であるだけに今後の競争激化は必至と言えそうです。
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結論
NVIDIAは魅力的な高成長銘柄だが少し割高
かなりの高成長銘柄で、投資リターンも保守的な予想でも200%超となるため、非常に魅力的な銘柄と言えます。
また、ゲーミング市場でのシェアやAI向けGPUの展開を考えると、今後も同様のレベルのROEは維持できそうなので、成長性に疑念はありません。
一方で、現状のPBRは15倍以上、PERも30倍以上となっており株価水準は一般的な指標に比べて割高とは言えそうです。
また、中国に売上が偏っているところもあり、政治リスクが少なからず存在しそうなので、そのリスクをどこまで織り込むかで、投資の判断をした方が良さそうです。
とはいえ、業界やシェア的に魅力的なのは間違い無いと思うので、市場の下げが落ち着いた際に、指標を確認しつつ仕込めば面白そうな銘柄だと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
NVIDIA(エヌディビア)はゲーム用グラフィックアクセラレータから始まり、現在は培った強みを活かして多角的な市場で製品を販売することに成功しています。
現在はゲーム市場で安定的な売上を確保できていますが、今後伸びるであろうAIや自動運転、VRなどの市場においてどれだけシェアを維持または拡大できるかが、NVIDIA(エヌディビア)の今後の業績を左右しそうですね。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。
また、今回は定性分析は行なっていませんが、定性分析をする際はこのような手法で行うことが多いです。
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