『Johnson & Johnson』といえばボディーソープなどドラッグストアでご用達のブランドですね。
非常に身近な企業ですが、実は売上高が8兆円にもなる超大企業です。
アキュビューがJNJブランドであることを知らなかったので、これからはアキュビュー使います。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の概要
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は世界最大級のヘルスケアカンパニーです。
世界中でビジネスを展開しており、売上は820億ドルと日本円にして8兆円を超えており、従業員数は132,200人にもなります。
1887年創業とかなりの老舗企業で、BAND-AID(バンドエイド)を始めとしたブランドを多数保有しています。
一般消費者向け商品の印象が強い同社ですが、他にも医療プロフェッショナル向けの商品も扱っており、
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の事業セグメントは以下の3つに分かれています。
- Consumer
- Pharmaceutical
- Medical devices
それぞれの詳細は下記のようになっています。
- Consumer
一般消費者向けに幅広くヘルスケア商品を展開している事業セグメントです。
馴染み深い商品には『LISTERIN(リステリン)』や『AVEENO(アビーノ)』、『BAND-AID(バンドエイド)』『DR. CI:LABO(ドクターシーラボ)』などがあります。
2019年度の売上は 13,898百万ドルで全体の16.9%を占めています。
- Pharmaceutical
『Immunology(免疫学)』『Infection Diseases(感染症)』『Neuroscience(神経科学)』『Oncology(腫瘍学)』『Cardiovascular and Metabolism(循環器系、代謝系)』『Pulmonary Hypertension(肺高血圧症)』の6つの治療領域に対して、薬剤などを提供している事業セグメントです。
2019年度の売上は 42,198百万ドルで全体の51.4%を占めており、ジョンソン・エンド・ジョンソンの最大の事業セグメントです。
- Medical devices
外科手術や整形外科などで用いられる医療用機械を扱っている事業セグメントです。
病院や卸売業者、小売業者に直接販売されて、市中の病院やクリニックなどで使用されています。
2019年度の売上は 25,963百万ドルで全体の31.6%を占めています。
ジョンソン・エンド・ジョンソン製品は生活にかなり浸透しているため、一般消費者向けにヘルスケア商品を製造・販売している企業と勘違いしがちですが、実際には一般向け商品の売上は全体の20%以下しかなく、医薬品や医療器具がメインの企業です。
したがって、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)を分析する場合は、『Pharmaceutical』『Medical Devices』『Consumer』の順番で分析を行っていくべきと思われます。
まずはジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の過去の業績推移を見ていきましょう。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の業績推移
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の過去10年間の業績は以下のようになっています。
参考:Johnson & Johnson Investor relations SEC Filingsより管理人作成
業績は10年間に渡りかなり安定しています。
2017年度にかなり業績が悪化していますが、この原因は税制要因のため忘れても良さそうです。
純資産も増減をしながらではありますが、ジワジワと順調に推移しており健全に見えます。
次に、事業セグメント別の売上高業績推移は下記のようになっています。
参考:Johnson & Johnson Investor relations SEC Filingsより管理人作成
ご覧の通りプロフェッショナル医療の領域が売上の80%以上を構成しており、特に『Pharmaceutical』事業セグメントは直近3年間で毎年売上を拡大させていることがわかります。
参考:Johnson & Johnson Investor relations SEC Filingsより管理人作成
税引前利益ベースで見てもプロフェッショナル医療領域が利益の70〜80%程度を占めていますが、『Pharmaceutical』セグメント、『Medical devices』セグメントともに増減が激しく、あまり利益が安定していないように感じられます。
馴染み深い『Consumer』セグメントは右肩下がりの業績推移になっています。
これまで長期に渡って安定的に収益を上げているので、直近3年間のセグメント内の利益増減はそこまで気にする必要はないかもしれませんね。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の株価分析、株価予想
まずはジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の過去10年間の業績推移をもとに分析していきます。
平均ROEは20%弱となっており、かなり好意的です。(2017年度のイレギュラー要因を考えると平均22%程度はありそうですね)
EPS成長率も2.5%成長となっておりプラスを維持できています。
また、こちらには記載していませんが、配当は株価134.17ドル(2020年4月3日付)に対して配当金が3.80ドル(2019年実績)となっており、2.83%の配当利回りになっています。
実は、ジョンソン・エンド・ジョンソンは配当銘柄として非常に有名で、連続増配を56年間も続けている企業です。
一方で、PERは23.8倍と少し高めの水準になっており、現在のPER水準では株価が少し高いので、配当が維持できる前提の元、暴落後にPERが15倍などの水準まで落ちれば、連続増配を考えるとかなりの高配当銘柄になりそうですね。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は世界有数のヘルスケアカンパニーとしてプロフェッショナル向けの医薬品や医療機械、一般向けのヘルスケア商品を世界中に提供しています。
ヘルスケア領域は競争が激しいイメージがありますが、その中でも長期に渡って安定した売上や収益が確保できているのは、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の開発力やマーケテイング力、営業力などに競争性があるからだと考えられます。
上記のような企業内部で培われる競争力は、長期に渡って形成されていると考えられるため、今後もこのような内部状況はそこまで変化はないと考えられ、過去と同様の業績を維持できそうです。
上記の仮定のもと、8年後のジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の株価予想はご覧のようになります。
現在の成長率を維持していった場合、【妥当】レベルで▲25.2%、【保守的】レベルで▲22.1%%の投資リターンが望める予想となっており、
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は投資対象として魅力的ではないという結果になりました。
※2020年4月3日時点の株価 134.17ドル を元に、PER15倍にて算出
この予想株価におけるPBRは【妥当】レベルで3.8倍、【保守的】レベルでは3.8倍となっており、現在の5.9倍というPBRに比べれば低いものの、非常に高い水準のPBRとなりました。
結論
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は事業や配当内容は魅力的だが、株価が高く投資対象としてはあまり魅力的ではない
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は世界有数のヘルスケアメーカーとして安定した業績を誇っています。
ROEは20%を超えておりEPSも順調に成長しています。
一方で、安定性とROEの高さからか、株価はPER24倍弱、PBRは5.9倍と非常に高い株価水準で、この高い株価水準では投資を行ってもリターンは限られると予想され、現在は投資対象としては魅力的ではないという結果になりました。
事業内容やROEなどは非常に魅力的であり、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の事業内容や利益率が著しく悪くなるとは考えづらいため、株価水準が2/3〜半分程度になったら投資対象として魅力的な企業と言えるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は長期に渡って収益を確保してきた世界有数のヘルスケアカンパニーということがわかりました。
連続で56年間に渡って増配しており、配当利回りも3%弱と株主にとっては魅力的です。
一方で、PBR5.9倍、PER23.8倍と株価が非常に高い水準になっており、投資対象としては魅力的ではありませんでした。
ジョンソン・エンド・ジョンソン自体の収益力の源泉はブランド力や開発力、マーケテイングなど企業内部で長期に渡って培われたものだと想像でき、この競争力は非常に魅力的です。
したがって、今後ジョンソン・エンド・ジョンソンの事業が安定しているかを確認した上で、現在の株価水準からかなり下落した株価となった場合かなり魅力的な銘柄になるので、その際は積極的に投資を行っていこうと思います。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
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