老後に必要な資産が2,000万円というニュースが一時期かなりの盛り上がりを見せました。
年金の受給額が減少するのを考えると、2,000万円では足りないという意見も結構ありますよね。
今回は、アメリカなどの先進国は資産をどんどん増やしている一方で、日本ではあまり資産形成が上手くいっていない理由を解説していきます。
【資産形成】に対する姿勢を日本と世界から比較してみる
結論から言って、資産形成への姿勢において、日本と海外では大きな違いが3つあると言えます。
3つの違いは下記の通りです。
- 金融教育がないこと
- 貯蓄(現預金)が多いこと
- 労働所得の割合が高いこと
海外との違いをそれぞれ解説していきます。
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金融教育がない
日本ではお金は卑しいと考える文化があり、子供がお金を稼ぐことそのものに対して否定的な感覚があるように思います。
また、基本的には金融教育が存在しませんし、仮にあったとしても少しです。
一方で、アメリカでは子供の頃からビジネスを学ぶことも少なくなく、商売の大事さや難しさ、お金自身や稼ぐことの大切さを学びます。
バフェットも子供の頃からコーラを売ったり、新聞配達をしたり、ピンボールビジネスをしてお金の稼ぎ方とビジネスを学んでいました。
日本は金融教育を重視してこなかった結果、ファイナンシャル・リテラシーが高い人の割合は先進国の7カ国中6位とかなり低くなっています。
引用:S&P Global FinLit Survey より
大人になって投資をする人が少ないのも頷けますね。
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資産のうち50%以上が現預金
日本は、先進国で比較的裕福な国ではあるものの、リスク資産が極端に少なく、現預金で貯蓄しているものが非常に多いのが特徴です。
対して、アメリカやEUは金融資産に対する投資割合が高いです。
日銀の資金循環統計によると、日本の家計資産の現金・預金割合は53%であるのに対し、アメリカでは12.9%、EUエリアでは34%となっています。
また、株式と投資信託に占める割合は日本が15.2%に対し、アメリカは52.8%、EUは29.9%と大きな開きがあります。
引用:資金循環の日米欧比較 日本銀行調査統計局より
貯蓄好きと言えば言葉は良いですが、実際には金融教育が不足しているために「投資の仕方がわからない」「正しい投資方法を知らない」というケースが大半だと感じます。
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労働所得の割合が高い
日本人の収入の大半が労働所得から生まれています。
当然のことのように聞こえるかもしれませんが、世界と比較すると大きく異なることは金融庁のレポートでわかります。
引用:金融庁 平成27事業年度金融レポート より
上記の通りアメリカでは収入源が分散しており、全収入の25%が財産所得(金融資産と不動産賃借料からの収入)であるのに対し、
日本人の収入源の約89%は労働所得から形成されており、財産所得は10%少しあるだけです。
なぜ資産が増えないか?【r>g】
【r>g】という有名な式をご存知でしょうか?
『r』は株式リターン、『g』は企業の成長率を指します。
この【r>g】の意味するところは『r』は『g』より大きい、つまり、株式での投資収益率よりも企業の成長率の方が低いということを示しています。
これを言い換えると、【r=株式投資の収益率】>【g=給与の伸び】ということになります。
つまり、労働所得をメインの収入源にしている日本人は、投資比率が多いアメリカ人に比べて、資産形成で遅れを取っている、ということです。
実際に、金融所得が25%もあるアメリカや、資産が保険や年金にも分散されているEUに比べて、現金主義の日本は資産形成のスピードが遅れています。
金融庁作成のレポートによると、アメリカとイギリス、日本の家計資産の推移を比較した場合、日本の資産増加は他2国に比べてかなり少ないです。
引用:金融庁 平成27事業年度金融レポート より
アメリカが家計資産を3.11倍にしている間に、日本の家計資産はたった1.47倍にしかなりませんでした。
この結果をみると、株式や債券に投資せず、現預金(貯蓄)で50%以上を持つ日本人の資産が他国と比較して裕福にならないのは必然と言えます。
対策【インデックス投資のすすめ】
【 r > g 】という現実がある以上、労働所得比率が高い日本人は資産形成ではビハインドを負っていると言わざるを得ません。
投資はしたいけど、どのように投資したらいいのかわからないという場合は、インデックス投資がオススメです。
インデックス投資をオススメする理由
インデックス投資のメリットは大きく分けて3つあります。
- 分散投資が可能
- 運用コストが低い
- 長期で見ればアクティブファンドに勝つ
それぞれ解説していきます。
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分散投資が可能
インデックス投資は、日経平均やS&P500などの世界の主要指標に対して投資する手法です。
つまり、インデックスを保有するだけで、市場全体に投資しているのの同じような分散効果を得ることが可能です。
分散投資によりリスク・リターンが最適化されるので、長期投資にはもってこいです!
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運用コストが低い
アクティブファンドのような市場平均を上回るリターンを目指すファンドの信託報酬は高いことが多く、かと言って絶対にインデックスファンドより成績が良いわけではありません。
一方、インデックスファンドの信託報酬は非常に安いことが多いです。
長期目線では信託報酬がリターンに大きな影響をもたらすので、なるだけ低い方がいいですよね。
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長期で見ればアクティブファンドに勝つ
インデックスファンドの運用成績はアクティブファンドの成績に勝ることが多いです。
もちろん一部のエリートアクティブファンドはインデックスを上回り続けることができていますが、そんなファンドに投資しようと思ったら資産が何十億円も必要になってしまいます。
また、そのようなエリートファンドを見つけるのも大変です。
SPVIA Statistics & Report には様々な統計情報が掲載されており、実際にアクティブファンドとインデックスファンドの成績を比較した場合、
長期で見れば見るほどインデックスファンドの方が成績が良い傾向があるという調査結果も載っています。
個人的には、あまり考えずに投資できてアクティブファンドより成績が良いので、長期でやるならインデックス一択という感じです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は日本の資産形成の遅れについて紹介してみました。
海外との資産格差は広がる一方で、日本人が茹でガエルと言われる所以がわかりますね。
インデックスへの投資はルーティーンになるので退屈かもしれませんが、この方法が1番だと思います。
飽きてしまうので、個別株にも投資したいという場合は企業分析・株価分析をしっかりしてからにしましょう。
>> 企業の定性分析 ~定性分析の手法:3つのフレームワークで分析してみる~
また、投資を初めてする場合は少額からにしましょう。
特に、IPO銘柄は比較的少額で購入できますし、(当選すれば)高い確率で収益が出るので、こちらも忘れずにやっておきたいところです。