今回は世界有数の投資銀行サービスを提供するゴールドマン・サックスグループの分析をしていきます。
管理人もゴールドマンで働いてみたかったですが、凡人なので無理でした。
ゴールドマン・サックス(GS)の分析まとめ
- 150年の歴史がある世界有数の投資銀行
- バフェットがサブプライム・ショックの際に投資した銀行としても有名
- ROEは平均的だが資産はしっかり成長中
- 株価は決して高い水準ではない
- 競争力・ブランド力は魅力的なので、不景気時に投資できれば良いリターンが見込めそう
それでは詳しく分析していきます。
ゴールドマン・サックス(GS)の概要
ゴールドマン・サックス(GS)は1869年に創業された投資銀行です。
投資銀行業務や法人への金融サービス・投資運用などを従業員38,000名超で世界33ヶ国で展開しており、売上は355億ドルと世界有数の金融グループと言えます。
サブプライム・ショックの際には大きな打撃を受けましたが、バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが資金援助をしたことでも有名ですね。
バークシャー・ハサウェイはつい先日ゴールドマン・サックスの保有株の大半を売却してしまったようですが。
ゴールドマン・サックス(GS)の事業セグメントは以下の4つに分かれています。
- Investment Banking
- Global Markets
- Asset Management
- Consumer & Wealth Management
それぞれの事業セグメントの詳細は以下のようになっています。
- Investment Banking
王道である投資銀行部門です。
上場・非上場を問わず、世界中の企業に対してファイナンシャリーアドバイザリーサービス(M&Aの仲介など)、証券や債券の発行による資金調達サービスなどを行なっている事業セグメントです。
2019年度12月期の売上は76億ドルで全体の20.7%、利益は20億ドルで全体の25.3%を占めています。
- Global Markets
マーケットメーカーとして、あらゆるアセットクラスの金融商品の取引を行ったり、クライアントのリスクエクスポージャーなどに応じて金融商品を設計・取引を行なっている事業セグメントです。
2019年度12月期の売上は147.8億ドルで全体の40.4%、利益は27.3億ドルで全体の34.6%を占めています。
- Asset Management
顧客資産を預かり運用をしていくことで、資産の保全や増加を提供している事業セグメントで、資産管理費やインセンティブ(運用成績に応じたフィー)によって収益を立てています。
2019年度12月期の売上は89.7億ドルで全体の24.5%、利益は30.1億ドルで全体の38.2%を占めています。
- Consumer & Wealth Management
富裕層向けの資産管理サービスなどの個人向けの金融サービスを行なっている事業セグメントです。
2019年度12月期の売上は52億ドルで全体の14.2%、利益は1.6億ドルで全体の2.0%を占めています。
投資銀行機能(Investment Banking・Global Markets・Asset Management)の部門の売上や収益は景気に左右されやすいため、ゴールドマン・サックス(GS)への投資の際は、割安になりやすい景気後退期にした方が良さそうですね。
より詳細な分析をしていくため、まずはゴールドマン・サックス(GS)の過去の業績推移を見ていきましょう。
ゴールドマン・サックス(GS)の業績推移
ゴールドマン・サックス(GS)の過去10年間の業績は以下のようになっています。
参考:Goldman Sachs Group, Inc. Investor relations Financialsより管理人作成
業績はかなり凸凹しており右肩上がりとは言えません。
2017年度は大きく減益してるように見えますが、これは税制の影響による一時的な減益で、2017年度は税引前で11,132百万ドルの収益を上げており、2019年度の10,583百万ドル、2018年度の12,481百万ドルと遜色ないレベルです。
したがって、リーマンショック後のここ10年間は、凸凹はしているものの比較的安定した収益を確保できていると言えます。
次に、事業セグメント別の売上高は下記のようになっています。
参考:Goldman Sachs Group, Inc. Investor relations Financialsより管理人作成
『Global Markets』が売上の40%近くを占めており、伝統的な投資銀行部門である『Investment Banking』は22%で『Asset Management』の25%よりも少なくなっているが印象的です。
また、個人向けの金融サービスが売上の15%弱を占めているのは驚きですね。
最後に、事業セグメント別の利益は以下のようになっています。
参考:Goldman Sachs Group, Inc. Investor relations Financialsより管理人作成
『Asset Management』が39%、『Investment Banking』が29%、『Global Markets』が28%と投資銀行として非常にバランスがいい事業ポートフォリオを持っています。
ただし、すべての事業が景気に左右されやすい事業であるため、リスク分散ができているというわけではないと言えそうです。
『Consumer & Wealth Management』に関しては比率が4%とかなり低く、分析をする際にそこまで重視する必要もなさそうです。
ゴールドマン・サックス(GS)の株価分析・株価予想
まずはゴールドマン・サックス(GS)の過去10年間の業績推移をもとに分析していきます。
平均ROEは10%弱となっており一般的な値である一方で、EPS成長率は▲0.51%とマイナス成長になっています。
もちろんEPS成長率がマイナスになったのは一過性の要因かもしれませんが、業績が必ずしも右肩上がりではないことを示しています。
株主資本成長率は6.4%と比較的順調に成長しているので、EPSのマイナス成長はそこまで心配する必要はないかもしれません。
ゴールドマン・サックス(GS)は世界最強の投資銀行として有名で、投資銀行ランキングでも1位常連です。
150年を超える歴史とブランドを持っていることはもちろん、ゴールドマン・サックス(GS)の人材の強さが競争力に影響を与えているとも考えられます。
かなりの高給(サブプライム・ショック前の平均ボーナス6,000万円超)が魅力的であることはもちろん、先進的なカルチャーを持っていることでも有名で、それゆえ業界トップクラスの優秀な人材が集まっていることが競争力を生んでいる要因と考えられます。
上記で挙げたゴールドマン・サックス(GS)の競争力や、人材・カルチャーなどの企業としての強みはそう簡単に衰退するものではないと思われるため、今後も今までと同程度の安定と成長が見込めると考えても良さそうです。
今後も同水準の成長をしていくと仮定した場合、8年後の株価と投資リターンは以下のようになります。
現在の成長率を維持していった場合、【妥当】レベルで34.5%、【保守的】レベルで28.7%%の投資リターンが望める予想となっており、ゴールドマン・サックス(GS)は投資対象として少し魅力的という結果になりました。
※2020年6月1日時点の株価 199.93ドル を元に、PER10倍にて算出
この予想株価におけるPBRは【妥当】レベルで0.6倍、【保守的】レベルでは0.7倍となっており、現在の0.92倍というPBRに比べて若干低めのPER予想になりました。
結論
ゴールドマン・サックス(GS)は少し魅力的だが、不景気時に一気に投資したい銘柄
ゴールドマン・サックス(GS)は世界No.1の投資銀行として全世界でアドバイザリーサービスやアセットマネジメントサービスを展開しています。
ROEは10%弱で少し低めですが、ブランドや競争力が強く、今後も比較的安定した利益創出が見込めると考えられます。
一方で、EPS成長率は▲0.51%とマイナス成長ではありますが、こちらは計算上の期間によるものであり、株主資本成長率は6.4%と成長しているので、そこまで気にする必要はなさそうです。
仮にこのままの成長をしていくと、28.7%〜34.5%のリターンが見込まれる予想となりました。
リターン数値としては高くないため魅力的とは言いづらいですが、安定した収益基盤を持っていることは確かなので、バフェットのように不景気時に割安に投資をすることができればかなりいい投資ができるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ゴールドマン・サックス(GS)は優秀な人材や先進的なカルチャーを持つ世界No.1の投資銀行ということがわかりました。
ROEは10%弱と決して高くはないものの、好景気時には比較的安定した業績を確保し、資産は6.4%のスピードで成長していっています。
投資対象としては、そこまで魅力的な銘柄とは言えませんが、ゴールドマン・サックス(GS)の持つブランド力や競争力は永続的に稼ぐ力を持っていると思われ、今後も安定した業績を確保してくれそうです。
したがって、今後投資をする際はゴールドマン・サックス(GS)の競争力が十分に確保されているという前提のもと、不景気時に投資をした場合は魅力的なリターンを生んでくれる銘柄になりそうなので、その際は積極的に投資を行っていこうと思います。
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