2020年の箱根駅伝でも猛威をふるった厚底シューズの『ヴァイパーフライネクスト%』、区間新が連発しましたね。
Nike創業者のフィル・ナイトはオレゴン大学の陸上選手でしたので、このランニングシューズでの新記録連発には喜んでいそうです。
ただ、良い記録がたくさん出たことから厚底シューズへの規制ができそうなのは少し残念ですね。
そんなわけで今回は、オシャレで実用的なスポーツブランドのNike(ナイキ)を分析していきます!
管理人は足が大きいので靴はほぼNike
Nike(ナイキ)の概要
Nike(ナイキ)はアメリカのオレゴン州に本社を置く全世界No. 1のスポーツアパレルメーカーです。
スポーツシューズはもちろんのこと、服などのアパレルから様々なスポーツ用具、スポーツ企画までをも取り扱っています。
オレゴン大学の陸上選手だった創業者のフィル・ナイトが、オニツカタイガーの輸入から始め、スポーツシューズを中心に事業を拡大し、創業1代で売上4兆円近くを誇る世界的な企業になりました。
ちなみに【Nike】という社名の由来は、ギリシャ神話の勝利の女神である『nike』からきており、Nikeの『swoosh』マークは女神の翼をモチーフとしたものです。
ナイキの創業秘話はこちらの本『SHOE DOG』にも詳しく書かれています。
ナイキの競合企業としては【adidas】や【アンダーアーマー】などがありますが、これら競合企業との比較は後ほど記載していきます。
まずは、Nikeの業績推移を見ていきましょう。
Nike(ナイキ)の業績推移
Nike(ナイキ)の過去10年間の業績推移を見ていきます。
参考:NIKE, Inc. Investor Relations SEC Filings より管理人作成
2018年に減益決算があったものの、基本的には右肩上がりの業績推移になっています。
注目すべきはROEの高さで、直近5年間では平均ROE:30.7%と驚異のROEを叩き出しています。
アパレル業であるにも関わらずこのROEの高さをキープできているのは凄まじいの一言です。
ただし、株主資本が減少しているので、相対的にROEが高く見えるという理由もあります
次に、競合企業との比較をしてみます。
過去5年間の売上と利益の推移は下記のようになっています。
※アシックスの業績は$1=100円にて再計算
規模もさることながら、ROEなどを比較するとナイキの強さがわかりますね。
次に、Nike(ナイキ)の事業セグメント別の売上は以下のようになっています。
参考:NIKE, Inc. Investor Relations SEC Filings より管理人作成
想像通りではありますが、シューズとアパレルの売上構成が多く90%以上を占めています。
スポーツシューズやアパレルと言えば「やっぱりナイキ」というブランドイメージはあると思うので、このシューズとアパレルの売上は、強い競合が出てこない限り今後も維持できそうに思えます。
また、地域別の売上構成は下記のようになっています。
参考:NIKE, Inc. Investor Relations SEC Filings より管理人作成
北米とアジア地域の売上は安定的に確保できている中で、中国とヨーロッパ、中東での売上が拡大しています。
中国やヨーロッパ・中東で売上は3年で1.5倍近くになっていますが、理由としては
- 市場が広がっている
- 地域にNike(ナイキ)ブランドが浸透していっている
- Nike(ナイキ)の戦略が上手くいっている
などが起こっているを考えられます。
これから市場が広がっていく中国でかなり売上が伸びているので、今後の業績も期待できそうですね。
※新型コロナウイルスの影響が大きそうなので、業績は注視した方が良さそうです。
Nike(ナイキ)の分析と株価予想
まずは10年間の業績推移を元に分析を行っていきます。
スポーツアパレルであるのにROEは非常に高いです。
これはNike(ナイキ)のブランド力によって高い競争力が維持できていることが理由だと想像できます。
また、ROEが高く成長性が見込まれているからか、PERも41倍と非常に高い数値になっています。
ブランド力などは今後も維持または向上できると思われるので、Nike(ナイキ)の現在までの成長率はある程度維持できると考えても良さそうです。
この前提をもとに、8年後の株価予想をしてみると以下のようになります。
現在の成長率を維持していくと【妥当】レベルで▲24.9%、【保守的】レベルで▲47.6%の投資リターンが望める予想となっており、
Nike(ナイキ)は投資対象として魅力的ではないという結果になりました。
※2020年1月17日時点の株価 104.50ドル を元に PER20倍 にて算出
この予測株価におけるPBRは【妥当】レベルで5.1倍、【保守的】レベルでは4.1倍となっており、現在の約18.12倍というPBRと比較しても低めの水準になってはいますが、指標としては比較的高めの株価予想になりました。
結論
Nike(ナイキ)は成長率が高く、魅力的だが株価が高すぎる
今回の分析で分かったことは
- Nikeは非常に成長率が高く魅力的である一方で、
- PBR:18.12倍と株価が非常に高い
ということです。
成長率だけ見ると非常に魅力的と言えますが、株価が高すぎて(PBR18倍、PER40倍)投資対象としては魅力的とは言えなくなってしまいました。
ちなみに株価が高いこともあり、配当利回りもあまり良いとは言えません。
加えて、Nikeに投資をする際には【ブランドイメージ】を維持できるかを注意して投資判断をするべきと言えます。
数年前に低賃金労働や児童労働の問題でナイキ製品への世界的な不買運動が起こり、業績に大きな打撃を受けました。
このようにブランドイメージを毀損させてしまうような企業活動は、ナイキのようなブランドが業績に直結している企業にとって、命とりとも言えるので、NikeのCSR活動は投資をする上で注視する必要がありそうです。
なお、現在のNike(ナイキ)はCSR優等生と言われるほどCSRレポートの評価が高いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
管理人もNike(ナイキ)は大好きですが、株価指標がかなり高く、現時点(2020年1月)では投資対象としては魅力的とは言えませんでした。
しかし、株価が下がったタイミングでは、成長率の高さとブランドイメージから、かなり魅力的な銘柄になりそうです。
ナイキの強みとして、機能性が優れているのはもちろんですが、デザインやブランドイメージが競争力のかなり大きな源泉になっているとは感じますので、
今後もNike(ナイキ)が素晴らしいブランドイメージを維持できる前提で、株価が下がった際に積極的に投資していきたいと思います。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。
また、今回は定性分析は行っていませんが、定性分析をする際はこのような手法で行うことが多いです。
>> 企業の定性分析 〜定性分析の手法:3つのフレームワークで分析してみる〜
分析や投資判断の参考にして頂ければ嬉しいです!
従兄弟が外資投資銀行に勤めていますが、もう尊敬しかないです。 もう少し就活の時に外銀も見るべきだったかなと思います。 そこで(?)今回は投資銀行部門も有名な、世界屈指の総合金融機関であるJPモルガン・チェースについて分析していき[…]
エヌディビア(NVIDIA)という会社をご存知でしょうか? あまり頻繁に社名を聞くことはないと思いますが、実はかなり業績が伸びているAI関連企業として有名です。 今回は、そんな高成長企業であるエヌディビア(NVIDIA)の株価分[…]
世界最大の書店作りから始まり、現在ではAmazon PrimeやAmazon Web Servicesなど多彩な事業を展開するAmazon(AMZN)の企業分析と株価分析をしてみました。 管理人の休日の8割はAmazon Primeで[…]