メンタル・アカウンティングとは
2017年ノーベル経済学賞はリチャード・H・セイラー氏が受賞しました。
行動経済学者であるリチャード・H・セイラー氏が提唱しているのが『メンタル・アカウンティング』で、
人間の心理と経済学を結びつけた理論とされています。
どの様な理論かというと、、、
人間の心理の中に様々な会計処理があり、その心の会計の影響を受けながら意思決定を行った結果、
経済合理的な判断にならない傾向がある
ということです。
ザックリな説明なので、もっと良く知りたい方は、メンタル・アカウンティングについて書籍を一読するのも良いと思います。
おすすめはこんな本たちです!
本があるとはいえ、簡易的に納得するには実例が良いと思いますので、具体例を見ていきましょう。
具体例で見るメンタル・アカウンティング
簡潔にまとめると『人間にはお金に色をつけて見る(=メンタル・アカウンティング)』傾向があり、
その結果、合理的な判断が出来なくなるということです。
どういう事かを具体的な例で見ていきます。
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宝くじと貯金
宝くじで当選した当選金『100万円』と毎月の給料の貯金『100万円』があります。
もちろん、どちらの100万円も経済的には等しく100万円の価値があります。
ですが、人間の心理として『宝くじの100万円』は散財しやすく、『貯金の100万円』は大切に使おうします。
同じ100万円ですが、人間の心の会計で『宝くじの100万円』と『貯金の100万円』が区別されているので、100万円の使い方に差が出てきます。
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家の購入
節約志向で100円の無駄遣いもしないAさんが家(5,000万円)を購入する時を考えます。
家を購入する際、業者に様々なオプションの購入を勧められますよね。
例えば、お風呂のジェットバス化(30万円)等でしょうか。
このオプションは本当に必要かどうかわかりませんし、普段の節約ぶりから考えると非常に高い値段です。
しかし、普段は100円のにも敏感なAさんも少し考えただけでオプションを購入してしまいます。
この様に金額自体が5,000万円と大きくなってくると、普段の金銭感覚とズレが生じて30万円のオプションを購入するという
普段しない意思決定をしてしまう傾向にあります。
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免税店での買い物
節約志向のBさんが海外旅行に行ったとします。
旅行ついでの免税店で、魅力的なブランドバッグを見つけましたが、値段は5万円と高めです。
普段なら5万円のバッグを購入する事は考えられませんが、Bさんはバッグを購入してしまいます。
経済的には5万円の支出で、節約志向とは程遠いですが、Bさん的には満足です。
この様な意思決定がなされたのは、
『免税店での買い物=旅行での出費』であり『バッグの購入』ではないと心理的な会計処理がされたからです。
この例の様に、人間の金銭に対する心理的バイアスによって、合理的に判断できないことがある=メンタル・アカウンティング理論です。
メンタル・アカウンティングを実生活で活かす具体的な方法
自身の生活を振り返ると、メンタル・アカウンティングによって合理的な判断ができていない事って結構ありますよね。
メンタル・アカウンティングを理解して、自身のお金への心理バイアスを少しでも取り除くことができれば、
貯金や資産形成、投資判断にも活かすことができます。
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メンタル・アカウンティングでボーナスを上手に貯蓄する
ボーナスが出るとついついご褒美的にお金を使っちゃいますよね。
例えば、
- 普段買わない高級品を買う
- 高級品を買って余ったお金もあるので、多少余裕がある気がして財布の紐が緩む
- その結果、あんまり貯蓄や投資に回せない
皆さんはどうでしょうか??
普段の『給料』を節約している人でも、ボーナスは給料ではなく『ボーナス=特別なもの』と認識しているので、
同じお金なのに違う色のお金と見てしまっていることが原因です。
これも『お金に色をつけている』のでメンタル・アカウンティングの一種と言えます。
ボーナスに対するメンタル・アカウンティングの影響をなくすには、
『ボーナスの◯◯%を貯金&投資口座に入金し、残りはボーナスとして使う』ことが大事です。
『ボーナスの◯◯%』を別口座に移すことで心理的には『金融資産』となるため、
メンタル・アカウンティングの影響を小さくすることが出来ます。
あえて◯◯%としているのは、全額を別口座に移すなどの極端なやり方だと継続が難しいからです。
普段の給料でも同じように一部を最初に別口座に移すことで、無駄な出費を抑えることが可能です。
非常に簡単な方法ですが実際に効果はあると思います!
(実際に、管理人は新卒から3年で600万円くらいは貯めることができました!)
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投資でメンタル・アカウンティングの影響を小さくする方法
投資をやったことのある方ならば「塩漬け銘柄」を作った経験のある人はいると思います。
塩漬け銘柄は含み損をだしているものの、まだ損失は確定していないから・・・
という心理ですが、この『含み損』もメンタル・アカウンティングの影響下にあると言えますよね。
30万円の含み損を抱えることは、現金で30万円を失くしたのと同等の価値ですが、
投資での含み損と現金での損失だと重みが異なる気がするからです。
『投資損失=資産減少』と捉えられるかが重要で、この認識ができていれば損切りが簡単にできます。
ですが、メンタルアカウンティングの影響下では、そ
もそも損失を出している感覚が薄く、結果的に損切りできずに塩漬け銘柄になります。
もちろん管理人も経験あります(笑)
投資でメンタル・アカウンティング影響を出さないためには、
機械的(システム的)に投資管理ができることが大事ですが、人間にはなかなか難しいです。
したがって、ロボットアドバイザーを活用するのがいいと思います。
管理人は管理人はロボアドのWealthNaviを使って投資しています。
AIが最適資産配分してくれて、投資リスクが分散されているのでおすすめです!
- 日常生活でメンタル・アカウンティング影響を小さくする
日常生活でもメンタル・アカウンティングの影響が出ていることはたくさんあります。
例えば、、、
- クレジットカードでの支払いは現金支払いよりも心理的ハードルが低い
- 電子マネーも同様
- スマホでの課金も同様
- ポイントをためるために無駄な買い物をする
すべて同じ『お金』なのですが、お金を使った実感が湧きにくいので心理的なハードルが低く、
使った金額も見えずらいこともあり、想定よりも使いすぎてしまいます。
(クレジットカード会社が販売店から手数料を取るのも納得できますね)
この問題の対策としては『基本的に現金決済 + その他決済には金額を決める』ことです。
簡単に取り組めることを少しあげていくと
- クレジットカードは1~2枚で、上限額も最低に
- 電子マネーは定期等の必要な場合のみ
- スマホでの課金金額を決める(1ヶ月に3,000円までなど)
- 必要最低限の出費でしかポイントを貯めない(マイル、電気料金など)
クレジットカードは、逆に4~5枚も必要か?と自問してみるのも良いかもですね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
メンタル・アカウンティングは『お金に色をつけてしまう心理』ですが、
日常生活でメンタル・アカウンティングの影響により合理的な判断ができていないことがたくさんあります。
(特にクレジットカード決済やオンライン決済の部分は誰でも経験があると思います)
しかし、この理論を理解することができれば、逆に資産形成も上手に進めていくことができます。
特に、貯蓄や投資に関しては資産形成を考える上で大きな影響があると思いますので、
「給料の一部の口座振替」と「WealthNaviなどで投資」は価値が非常に大きいと思います。
みなさんも日常に潜むメンタル・アカウンティングの影響を受けている行動を探してみてはいかがでしょうか?
メンタル・アカウンティングの影響を少しでも小さくできれば、浪費を抑え資産形成や投資のタネ銭にすることができると思います。
節約や貯蓄に関してもこちらでもまとめていますので、よろしければ見てみてください!