意外と知らない。労働者を雇う時に抑えておくべきポイントを雇用規模別に紹介

ビジネスを運営する上で、アルバイトや従業員を雇うことになることもあると思います。

しかし労働契約に関しては様々な不正から労働者を守るために様々なルールがあります。

これらのルール知らずにアルバイトを雇っていると、知らず知らずに法律違反を犯してしまうことになる可能性もあるので注意しましょう。

人数規模別の重要事項まとめ

まず小規模の事業で初めて”人を雇う”、もしくは”人を増やしていく”際にポイントとなる重要事項を、人数別にまとめてみました。

1人~

労働契約・・・労働条件の明示義務&一部の項目は書面交付が必須
盛り込んではいけない禁止事項に注意
内定後の取消は基本的に不可

雇用保険・・・労災保険は必須、雇用保険は労働時間・期間による

社会保険への加入(法人・公共団体)

常時5人~

社会保険への加入(個人事業でも業種による)

常時10人~

就業規則の作成と労働基準監督署長への届け出

常時45.5人~

一定数以上の障害者雇用

個人事業ならあまり関係ないだろうと思っていた方も多いかもしれませんが、そんなことはありません。

これらのポイントについて順に説明していきます。

ポイント①労働契約の明示

労働契約を結ぶ際は労働者に労働条件を明示する必要があります。

そして、以下の条件については書面を交付する必要があります

  1. (期間がある場合は)契約の期間
  2. (期間がある場合は)契約の更新についての決まり事
  3. 仕事する場所や内容
  4. 仕事の時間や休み(開始時間・終了時間・残業の有無・休憩時間・休日・休暇など)
  5. 賃金(賃金の計算・支払方法・締切と支払の時期)
  6. 退職に関するきまり(解雇の自由も含む)

*労働基準法第15条

ポイント②労働契約に盛り込んではいけない禁止事項がある

これらの禁止事項は不当な拘束を禁止するためのものなので、通常は倫理的に正しい行動をしていれば当てはまることはないかもしれませんが念のため確認しておきましょう。

  1. ペナルティを決める事(〇〇をしたら10万円の罰金など)*ただし、労働者が故意や不注意で現実に会社に損害を与えてしまった場合の損害賠償請求が禁止されているという訳ではなない。
  2. 労働することを条件として労働者にお金を前貸しし、毎月の給料から一方的に天引きする形で返済させること。
  3. 労働者に強制的に会社にお金を積み立てさせること・*どんな理由でも、労働者の意志がなければ禁止されています。

*労働基準法第16・17・18条

ポイント③採用内定後の内定取消=解雇

客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上認められない場合は採用内定取消しは無効となります。

また上記が認められる場合でも解雇の手続きが必要です。

*労働基準法第16条

ポイント④就業規則の作成(常時10人以上を雇用している場合)

常時10人以上の労働者を雇用している利用者は、必ず就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出なければなりません。

*ここでの常時10人以上には、フルタイムの正社員だけでなくパート・アルバイト等も含みます。(派遣社員は含まれない)

また「常時」というのは、「一時的な例外を除く」の意味です。例えば、”繁忙期だけ10人を超えるが通常時は10人に満たない”という様な場合は、この”常時10人以上”には当てはまりません。

就業規則の記載必須事項
  1. 始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務の場合の就業時転換に関する事項
  2. 賃金に関する事項
  3. 退職に関する事項
就業規則の作成(変更)において守るべきルール
  1. 必ず労働者側の意見を聴かなければなりません
  2. 法令や労働協約に反してはならない

*労働基準法第89条 労働基準法第92条 労働契約法第13条 労働基準法第90条

ポイント⑤労働保険

特にこの労働保険については、条件を満たす場合は加入必須となっています。加入手続きしなければならないのに関わらず、手続きしていない事業者が多数存在しており問題ともなっています。(なお義務があるのに関わらずこの手続きを行わない場合、発覚の際に過去にさかのぼって労働保険料が徴収されることもあります。)

またこれは使用者が会社でも個人でも同様なので、特に個人事業で従業員・アルバイト等を雇用する方は注意する必要があります。

雇用保険(一定時間以上働くの労働者がいれば適用)

労働者が失業した場合に、生活の安定と就職の促進のための失業等給付を行う保険制度。

①1週間の所定労働時間が20時間以上かつ②31日以上の雇用見込がある人を雇い入れた場合は適用対象となります。

保険料は事業主と折半です。

労災保険(一人でも雇用する場合は適用)

労災保険は、労働者の業務が原因でけが、病気、死亡(業務災害)した場合や、また通勤の途中の事故などの場合(通勤災害)に、国が事業主に代わって給付を行う公的な制度

基本的に労働者を法人・個人を問わず一人でも雇用する場合は、加入の必要があり保険料は全額事業主が負担します。パートやアルバイトも含むすべての労働者が対象です。

ポイント⑥社会保険

健康保険と厚生年金には、公共団体や会社、あるいは個人でも一定の業種*であり常時5人以上を雇用する場合は強制適用となっており、適用事業所で働く労働者は加入者となります。

*パート、アルバイトでも、1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の分の4分の3以上あれば加入させる必要があります。

※一定の業種・・・製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業、保管賃貸業、媒介周旋業、集金案内広告工業、教育研究調査業、医療保険業、通信法同業など

健康保険(公共団体・会社・条件に当てはまる個人事業)

健康保険は、労働者やその家族が病気やけがなどに、必要な医療給付や手当金の支給をすることで生活を安定させることを目的とした社会保険制度です。

保険料は事業主と労働者が折半で負担します。

厚生年金保険(公共団体・会社・条件に当てはまる個人事業)

厚生年金保険は、労働者が高齢となって働けなくなったり、何らかの病気やけがによって身体に障害が残ってしまったり、大黒柱を亡くしてその遺族が困窮してしまうといった事態に際し、保険給付を行う制度です。

保険料は、事業主と労働者が折半で負担します。

ポイント⑦障害者の雇用義務

雇用者には障害者雇用に対する義務があります。これらも順守する必要があるので理解しておきましょう。

障害者雇用率制度

従業員数一定数以上の場合、障害者を一定数に相当する障害者を雇用しなければならなりません。この法定雇用率を達成していない企業は、雇用しなければならない1人不足するごとに納付金が必要になります。一方、障害者を基準よりも多く雇用する企業は支援が得られます。

*雇用率は会社や公共団体などで変化し、また法改正で変わることもあります。(平成30年時点では、従業員数45.5人以上の民間企業で、雇用率2.3%です。)

その他のルール

障害者への差別禁止     ・・・労働者の募集・採用、賃金、配置、昇進、教育訓練などにおける障害者に対する差別的取扱いが禁止されています。採用募集に”障害者ではない”ことを条件にしてはいけません。

障害者への合理的配慮の提供・・・障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するために合理的配慮を提供することが事業主に義務付けられています。合理的配慮とは、例えば聴覚・言語障害の方に対して、面接を筆談等により行うこと等が挙げられます。

 

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