従兄弟が外資投資銀行に勤めていますが、もう尊敬しかないです。
もう少し就活の時に外銀も見るべきだったかなと思います。
そこで(?)今回は投資銀行部門も有名な、世界屈指の総合金融機関であるJPモルガン・チェースについて分析していきます。
もう投資銀行っていう響きだけでカッコイイです。
JP Morgan Chase(JPモルガン)の概要
JP Morgan Chase(JPモルガン・チェース) は1799年創業のアメリカのグローバル総合金融機関です。
JPモルガン・チェースの傘下には、商業銀行のJPモルガン・チェース銀行や投資銀行のJPモルガン、証券業務を行うJPモルガン証券などがあり、資産運用から投資銀行まで多岐に渡るサービスを提供しています。
総資産や時価総額、ネームバリューを含め世界屈指の金融グループです。
参考:JP Morgan chase & Co 会社情報より
時価総額は4,425億ドル(48兆円)で金融機関ではトップです。 ※2020年1月2日時点
ちなみに、2018JPモルガンの総資産は2.63兆ドル(289.3兆円)と日本の国家予算(100兆円)の3年弱分となっており、規模の大きさがわかりますね。
次にJPモルガンの業績推移を見ていきます。
JP Morgan Chase(JPモルガン)の業績推移
JP Morgan Chase(JPモルガン)の10年間の業績推移は下記のようになっています。
参考:JP Morgan Chase Investor Relations SEC Filing より管理人作成
2008年の金融危機以降のデータにはなりますが、順調に右肩上がりに伸びています。
ROEは安定して10%前後をキープしており、盤石な安定性を誇っているように思われます。
次に事業別の情報を見ていきます。
参考:JP Morgan Chase Investor Relations SEC Filing より管理人作成
略称が多く分かりづらいですが、事業の詳細は下記の通りです。
- CCB(Consumer & Community Banking)
いわゆる市中銀行部門です。
個人預金の管理や不動産融資、クレジットカードサービスなどを行っている部門です。
- CIB(Corporate & Investment Banking)
いわゆる投資銀行部門です。
企業戦略へのアドバイスから資金調達、マーケットメイキングなどを行う部門です。
- CB(Commercial Banking)
商業銀行部門です。
融資や投資銀行、アセットマネジメントの機能まで全て併せ持っており、企業や不動産への融資もするし、投資銀行サービスもしているようです。
- AWM(Asset & Wealth Management)
資産運用や富裕層顧客の資産管理をする部門です。
いわゆるアセットマネジメントですね。
- Corporate
バックオフィスなどの管理部門です。
最後に参考までですが、サービス別の売上は以下のようになっています。
参考:JP Morgan Chase Investor Relations SEC Filing より管理人作成
JP Morgan Chase(JPモルガン)の株価予想
これまでの業績推移を元にJP Morgan Chase(JPモルガン)の株価を予想していきます。
まずは、過去10年の実績推移を分析していきます。
リーマンショック時も計測数値に入っているにも関わらず、平均ROEが8.7%、株主資本成長率も7%前後を保っており安定して成長していると言えそうです。
また、JPモルガンは投資銀行から商業銀行までの事業バランスの良さ、時価総額世界一の金融機関であること、その長い歴史から積み上げた信頼などを鑑みると、競争力は簡単には失われそうにありません。
したがって、現在までの成長率はある程度維持できそうと考えても良さそうです。
この前提を元に、8年後の株価予想をしてみると以下のようになります。
現在の成長率を維持していくと【妥当】レベルで254.8%、【保守的】レベルで111.9%の投資リターンが望める予想となっており、
JP Morgan Chase & Co(JPモルガン)は現時点では投資対象として魅力的であるという結果になりました。
※12月30日時点の株価138.63ドルを元にPER 10倍にて算出
この予測株価におけるPBRは【妥当】レベルで0.9倍、【保守的】レベルでは0.7倍となっており、現在の約1.97倍というPBRと比較しても低めの水準になっており、適正な予測と言えます。
補正として、仮にPER12倍で再計算を行うと【妥当】レベルで315.8%、【保守的】レベルで146.3%の投資リターンとなり、PBRも【妥当】レベルで1.0倍、【保守的】レベルでは0.8倍と、十分に納得のいく1.0倍水準を維持できます。
PER12倍水準ではかなり魅力的であるのはもちろんですが、少し保守的なPER10倍でも十分魅力的な銘柄と言えそうです。
また、配当金はここ最近増配傾向(直近では減配ですが)にあり、今後も株主還元は重点をおいてくれそうな雰囲気もありますので、
増配などが起こった場合は投資リターンはさらに向上するのでより魅力的になりますね。
結論
JP Morgan Chase は魅力的な銘柄
ROEの平均は10%前後で安定しており、投資リターンも保守的な予想でも111%超となっており、魅力的な銘柄と言えそうです。
また、JPモルガンの強みが早々に失われるとは考えづらく、今後も同等レベルの安定性や成長性は維持できそうです。
さらに、比較的妥当なPER12倍水準で予想した場合でも、投資リターンが保守的レベルで150%弱まで伸びることもあり、少しの上振れでも楽しみな企業です。
一方で、JPモルガンの業績への懸念点としては
- 市場環境の変化
- 金融危機
などが挙げられます。
近年はフィンテックやビットコインなどの出現により銀行の役割がどんどんと狭まっています。
JPモルガンにおいては、市中銀行部門(CCB)の売上は全体の5割弱を占めていますので、フィンテックやビットコインにより送金や預金が必要なくなる環境になれば、5割近くの売上にインパクトがありそうです。
また、サブプライムローン危機のような金融危機がまた起こった際には、大きな打撃を受けることになります。
幸いJPモルガンは資本が大きく財務安定性が高いので、破綻する可能性は他の金融機関よりも低そうに思われますが、それでも金融危機時には大きな影響はありそうです。
まとめ
いかがでしょうか?
JPモルガンは世界屈指の金融機関として、安定した財務基盤と業績を持つ優良企業と言えそうですね。
財務基盤と一定以上の成長性を両立しているため長期投資には向いていそうな銘柄で、保守的な株価予想でもリターンは111%超と魅力的です。
一方で、市場環境の変化などのマクロ要因で業績が大きく左右されると考えられるので、市場の変化には常に目を向けておくのが必須と言えるでしょう。
どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。
今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。
また、今回は定性分析は行っていませんが、定性分析をする際はこのような手法で行うことが多いです。
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