【米国株の企業分析】世界No.1クレカ会社であるビザ(V)の銘柄分析と株価予想【Visa Inc.】

今回は世界で一番有名なクレジットカードを発行している『Visa Inc.』(ビザ)【V】の分析をしていきます。

ビザ(V)もマスターカード(MA)も米国株の投資先としては大人気ですね。

Visa Inc.(V)の分析まとめ

  • バンク・オブ・アメリカ(BAC)から派生した世界No.1クレジットカード会社
  • 営業利益率は65%を誇り、高い収益性を確保している
  • キャッシュレスへの移行など近年の決済手段変化がポジティブ
  • 予想リターンは31.3〜68.9%だが、ビジネスモデルとブランドが非常に強く魅力的
  • 業績は決済額に左右される。経済指標はよく見流べき

それでは詳しく分析していきます。

 

ビザ(V)の概要

ビザ(V)は世界No.1のクレジットカードシェアを持つ決済ネットワーク企業です。

1958年にバンク・オブ・アメリカ(BAC)が発行を始めたクレジットカード(Bank Americard)事業を源流としており、世界中に広がった事業を統合する形で2007年にVisa Inc. が誕生しました。

ちなみに『Visa』はすべての言語で同じ発音になるそうです。

クレジットカード自体は長年存在していますが、ここ10年くらいでオンラインショッピングやキャッシュレスが加速してきたこともあり、今後も伸び代が感じられる業界ですね。

 

ビザ(V)の事業セグメントは以下の1つだけです。

  • Payment services

世界中の200か国を超える地域で決済ネットワークサービスを提供しています。

クライアントが円滑に取引できるように、決済メットワークの提供はもちろんのこと限度額の管理など決済周りのサービスを一通り行っています。

2019年度9月期の売上は229.8億ドル、営業利益は150億ドルとなっており、かなりの高利益体質の企業ですね。

 

より詳細な分析をしていくため、まずはビザ(V)の過去の業績推移を見ていきましょう。

ビザ(Vの業績推移

ビザ(V)の過去10年間の業績は以下のようになっています。

Visa ビザ V 売上推移 業績推移

Visa ビザ V 売上推移 業績推移 グラフ

参考:Visa Inc. Investor Relations SEC Filingsより管理人作成

 

時折マイナス成長になっているものの業績は順調に右肩あがりに推移しています。

10年単位で見ると純利益は4倍超となっており、世界有数の大企業であるのにこの成長率の高さを達成できているのが印象的です。

 

次に、キャッシュフローの推移を見ていきます。

Visa ビザ V キャッシュフロー推移 キャッシュフロー CF

Visa ビザ V キャッシュフロー推移 キャッシュフロー CF グラフ

参考:Visa Inc. Investor Relations SEC Filingsより管理人作成

 

営業キャッシュフローは安定している一方で、2016年度を除けば投資キャッシュフローは比較的少額になっています。

投資キャッシュフローが少ないにも関わらず安定してキャッシュを稼げていることがわかり、ビジネスモデルやブランドの強さが感じられます。

財務キャッシュフローは大きなマイナスですが、ほとんどが配当と自社株買いによる支出になっています。(2019年であれば▲12,061百万ドルのうち90%超に当たる▲10,876百万ドルは自社株買いと配当)

配当も増加傾向にあるので、財務CFはそこまで気にする必要はないと言えそうです。

 

ビジネスモデルやビザの業界優位性が今後大きく変動することはないと思われるので、今後も安定したキャッシュフロー創出や株主への配当施策などが見込めそうです。

 

次に、サービス内容別の売上を見ていきます。

Visa ビザ V サービス内容別売上

Visa ビザ V サービス内容別売上 グラフ

参考:Visa Inc. Investor Relations SEC Filingsより管理人作成

『Service(決済サービス利用による売上)』『Date Processing(決済サービスにアドオンされるその他のサービス売上)』『International transaction(国際取引による売上)』の3本柱になっており、比較的バランスは良さそうです。

すべて決済サービスに関わるものですが、色々なところから上手に利益を生み出しているのがわかりますね。

 

最後に、地域別の売上高は下記のようになっています。

Visa ビザ V 地域別売上

Visa ビザ V 地域別売上 グラフ

参考:Visa Inc. Investor Relations SEC Filingsより管理人作成

 

アメリカが45%前後、その他の地域が54%となっており、バランスが良いとは言えなさそうです。

ビザは、企業や個人の消費に業績が影響されるビジネスモデルになっているので、アメリカ経済の成長率や雇用統計などによって、ビザの業績も大きく変化しそうです。

※米国のGDPのうち70%は個人消費が占めています。

 

これまでの情報を元に株価・銘柄分析を行っていきます。

ビザ(V)の株価分析・株価予想

まずはビザ(V)の過去10年間の業績推移をもとに分析していきます。

Visa ビザ V 銘柄分析 業績分析 株価分析

目を引くのが平均EPS成長率で、20.38%と非常に高い成長率を維持しています。

Amazonなどのオンラインマーケットが拡大するに伴い、電子決済の普及が加速度的に広がっていると考えられ、決済インフラとしてビザ(V)も市場の成長とともに成長していると考えられそうです。

また、平均ROEも21.7%と高水準になっており、利益率の高いビジネスを効率的に展開できていることがわかります。

PERはかなり高めの36.2倍となっていますが、高い成長率が評価された結果このような高水準PERになっていると考えられます。

 

 

ビザ(V)はマスターカード(MA)とともに世界の決済ネットワークを寡占している企業です。

世界の経済成長に伴う消費の増加や、オンライン決済の普及による決済額の増加がダイレクトに業績に反映される企業であり、新興企業が入り込む隙のない市場で、利益率の高いビジネスを展開できています。

今後もインドやアフリカなどの市場は長期的に成長を続けると考えられるので、ビザ(V)での決済額は増加していくと予想できます。

 

また、ビザ(V)の業界シェアやブランドイメージはそう簡単に崩れることがないことは明白であり、新たな競合が表れる可能性もかなり低いように思われ、外部環境的にも事業は盤石に成長していくと思われます。

これらの前提のもと、今後も過去10年間と同程度の成長をしていくとした場合、8年後の株価と投資リターンは以下のようになります。

Visa ビザ V 銘柄分析  株価予想 株価予測

 

現在の成長率を維持していった場合、【妥当】レベルで68.9%、【保守的】レベルで31.3%の投資リターンが望める予想となっており、ビザ(V)は投資対象としてある程度魅力的だという結論になりました。

※2020年7月9日時点の株価 192.55ドル を元に、PER10倍にて算出

 

現行水準のPERは40倍近くになっていますが、保守的にPERは15倍水準で予想株価を算出しています。

仮に現行水準の半分程度であるPER20倍での予想株価を算出した場合、予想リターンは71〜120%とかなり魅力的な銘柄になります。

結論

ビザ(V)は魅力的な銘柄、今後のキャッシュレス進展次第ではさらなる期待も

 

ビザ(V)は世界No.1の決済インフラ企業として50年以上にわたり強力なビジネスを展開してきました。

ブランドや市場シェアは非常に強く、今後も安定した利益創出やキャッシュ確保が見込めると考えられます。

また、近年のオンライン決済の普及はビザ(V)にとってかなりの追い風と考えられます。

その影響もあり、EPS成長率は20.4%と非常に高水準で、利益は10年間で4倍超にもなりました。

現在のビザ(V)に投資した場合、過去10年と同じように成長をしていくと、8年後に31.3%〜68.9%のリターンが見込めるという予想になりました。

 

ビザ(V)とマスターカード(MA)の市場支配力は相当に強く、この寡占状態はしばらく続くと考えられます。

また、ビザ(V)の営業利益率は65%もあり、かなり利益率の高いビジネスを行えていると言えると思います。

リターンはそこまで大きくはないかもしれませんが、寡占市場で利益率の高いビジネスを行えているため、今後も安定した業績と配当を予想できる有望銘柄と言えそうですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ビザ(V)はバンク・オブ・アメリカから派生した世界最大級の決済ネットワーク企業です。

世界中どこでも使える『Visa』のブランドは強力で、マスターカードと共に市場を寡占しています。

営業利益率は65%ROEは20%超EPS成長率も20.4%とどの経営指標も素晴らしい数値です。

ビザ(V)は投資対象として魅力的な企業と考えられ、8年間の投資で68.9%の投資リターンが望めるという予想になりました。

ただでさえ強いビジネスモデルとブランドを持っているビザ(V)ですが、現在は決済手段トレンドがキャッシュレスに移行しており今後の業績も楽しみと言えそうです。

 

どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。

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