「企業経営理論①経営戦略論」MBA・中小企業診断士要点まとめ

ここでは、中小企業診断士1次試験の「企業経営理論」の分野について要点をまとめています。MBAで学ぶマーケティング・経営戦略の基礎分野でもあります。

経営基礎用語

●経営理念

経営理念・・・企業の存在意義や目的を表すものであり、社員が日常業務において意思決定する時の判断基準となる。

●経営における戦略とその種類

経営戦略・・・企業が外部環境に適応しながらビジョンを達成するための戦略

企業戦略・・・複数の事業を含めた企業全体を対象とした戦略であり、新規事業開拓・撤退・企業買収・合併・提携などを含む。

事業戦略・・・競争戦略とも呼ばれ、事業単位で競争優位を築くために策定する。

機能戦略・・・企業内の機能ごとの戦略。(生産戦略・R&D戦略・マーケティング戦略・人事戦略・財務戦略)

●経営計画

1年間の経営計画は短期経営計画、3年程度の経営計画を中期経営計画という。経営計画では、いつ?誰が?何を行うのか?を明確化することが重要である。経営計画の運営方式には以下の2つがある

ローリングプラン・・・あらかじめ毎年計画を見直すと決めておいて運用する方式

コンティンジェンシープラン・・・不測自体に備えて計画したもの

ポーターとバーニーの戦略論

ポジショニングベース型(ポーター)

まず外部環境を緻密に分析することが重要で、その分析結果を踏まえて、自社を有利な位置に置いたり、なるべき熾烈な競争を避けたりしていくことが競争優位の獲得につながるという考え方。

ファイブフォース分析

-5つの競争要因:既存業者の敵対関係買い手の交渉力売り手の交渉力新規参入の脅威代替品の脅威

戦略グループ

-同じ業界内で、同じような戦略を採用している企業のグループ

ポーターの3つの企業戦略

コストリーダーシップ戦略・・・業界全体をターゲットとし、低コストで競争優位を築く戦略
例:競合企業よりも同種製品を低いコストで生産・販売できるようにする

差別化戦略       ・・・業界全体をターゲットとして、差別化により競争優位を築く戦略
例:ブランドロイヤルティを確立する

集中戦略        ・・・特定のセグメントに競争範囲を狭めることによって、経営資源を集中的に活用する戦略。(コスト集中戦略/差別化集中戦略)

コトラーの戦略論

企業には取るべき戦略が定石として存在する

企業の分類 説明 取るべき戦略
リーダー 業界トップ企業 市場を拡大させる
(コストリーダーシップ戦略/フルライン戦略)
同質化
チャレンジャー リーダーに次ぐ企業 差別化戦略をとるべき
ニッチャー 独自の地位を築く企業
(経営資源の乏しい企業)
限定された市場の中でミニリーダーになる集中戦略を取るべき
フォロワー リーダー企業を模倣して追随する企業 模倣だけでは収益性が悪いため、リーダー企業との協調等が必要
先行者優位

先発の企業は、後発の企業が参入してくるまでに、先行者利益を独占することが出来る。新しいものが好きで価格にあまり敏感でない、イノベーターを最初に取り込むことが出来るため、投下資本利益率の高い市場を獲得できる。また、先に市場に参入して累積生産量を増やすことでノウハウを蓄積し、経験曲線効果によってもコスト優位を築くことが出来る。

リソースベース型(バーニー)

個々の企業の内部に存在する自社の経営資源こそが競争優位の源泉であり、それらにより中長期に競争優位を維持できるという考え方。

VRIO分析

持続的な競争優位を築くための経営資源の要件。競争優位となるのは、Value(経済的価値)、Rarity(希少)、Inimitability(模倣困難性)、Organization(組織能力)の4つの観点が必要で、その中で模倣困難性が最も重要としている。希少であっても経済的価値がなければ競争優位にはつながらない。

 *情報型資源(無形資産) ・・・業務のノウハウや熟練など。情報型資源は入手しにくく模倣されにくいという特徴がある。

ドメイン・企業戦略

企業ドメイン・・・複数の事業ドメインを包括し、企業の戦う範囲を限定するためのもの

事業ドメイン・・・「誰に、何を、どのように提供するのか」を定義した事業を行う領域

ドメインの定義の仕方

モノとして定義する物理的な定義と、コトとして定義する機能的な定義があり、物理的な定義で事業をとらえると外部環境の変化に対応できなくなるため、機能的な定義を行う方が良い。

アンゾフの成長ベクトル

市場浸透戦略 ・・・既存の製品を、既存の市場で深めていく戦略

新製品開発戦略・・・新しい製品を、既存の市場に投入していく戦略

新市場開拓戦略・・・既存の製品を、新しい市場に投入していく戦略

多角化戦略  ・・・新しい製品を、新しい市場に投入していく戦略

ビジネスの規模と優位性

規模の経済性 ・・・生産の規模が拡大することによって、1製品当たりの生産コストが低下するという経験則

経験曲線効果 ・・・製品の累積生産量が増えることで、作業員が習熟したり業務の改善をしたりすることで、1製品あたりの生産コストが低下するという経験則

範囲の経済性 ・・・企業が1つの事業を行うよりも、複数の事業を行う方がコスト面で有利になる事

ネットワーク効果(ネットワーク外部性・ネットワークの経済性)

・・・複数の人や企業がネットワークとして結びつくことにより、経済的な効果が発生する事。消費者にとって自分以外の消費者の数が増えるほど、自分の満足度がより一層高まる効果のこと

プロダクト・ポートフォリオマ・ネジメント:PPM

縦軸に「市場成長率」、横軸に「相対的市場シェア」をとった4象限に、自社の事業を配置する事で事業への投資を管理する手法。

一般的には、「金のなる木」から「花形」「問題児」に投資することが有効とされる。

市場シェアが高い 市場シェアが低い
市場成長率が高い 花形 問題児
市場成長率が低い 金のなる木 負け犬

ただし、PPMは主に事業の財務面を扱うものであり、事業間のシナジー等は別途考慮が必要である。また新規事業開発などを検討することにも向いていない。

技術経営・イノベーション

イノベーション・ライフサイクル

一般にS字型の軌跡を描き、次のイノベーションライフサイクルに移行する時には、不連続に移行する

イノベーションの種類

●製品に関する分類

プロダクト・イノベーション・・・製品に関する革新
製品ライフサイクル上では導入期・成長期の前期でみられる

プロセス・イノベーション ・・・工程に関する革新
製品ライフサイクル上では成長期の後期・成熟期の前期にみられる

●価値での分類

破壊的イノベーション   ・・・全く新しい価値を提供するイノベーション。必ずしも高機能である必要は無い

持続的イノベーション   ・・・既存の製品を継続的に改良するもの

製品アーキテクチャ

モジュール型
機能と構造が1:1に対応付けられる型。多様な組み合わせの製品を作るのが簡単で、調整コストがかからない。しかし、製品には無駄が多く、インターフェースの進化に時間がかかる。

インテグラル型
機能と構造が1:多である型。全体最適化がなされており、まとまりが良く、競合企業が模倣困難である。しかし、進化に時間がかかり、調整コストがかかる。

デファクトスタンダード

デファクトスタンダードとは事実上の業界水準。自社の製品をデファクトスタンダードにするためには、その規格を公開し、他社からの模倣・利用を促進することも必要。規格を非公開にして模倣も利用もされないようにするとユーザーが増えず、事実上の業界標準にはならない。また、ネットワーク外部性が働く場合、利用者が増えれば増えるほど利用者の得られる効用が高まるため、確立しやすくなる。

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