投資・企業分析のための用語集
今回は投資や企業分析のための用語をまとめてみました。
各用語には計算式や例題なども付いていますので、参考にしてみてください。
- 頭文字一覧
ABCDEFG HIJKLMN OPQRSTU VWXYZ あかさたな はまやらわ
企業分析方法と株価予測の記事はこちら
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BPS
Book-value Per Share のこと。一株あたりの株主資本の価値を示す指標。 PBRを算出する上で必須の項目で、BPS = 純資産 ÷ 発行済株式数 となる。
CARG
Compound Annual Growth Ratio のことで、年平均成長率を示す。 複利計算上の成長率であるため、単純な算術平均ではなく、幾何平均にて算出する。
D/E Ratio
Debt Equity Ratio のこと。負債が自己資本の何倍存在するかを図るもので、財務の健全性を判断する指標となる。 D/E Ratio = 負債 ÷ 自己資本 で算出できる。
D.I.
Diffusion Index のこと。企業の業況や景況感、人員の状況などを指数化したもので、景気動向指数となる。
景況局面の判断や景気転換点の判断に使われる。 DIにも3つの時間軸があり、『先行・一般・遅行』それぞれで指数が存在する。
EPS
Earning Per Share のこと。一株あたりいくらの当期純利益があるかを示す指標。 EPS = 当期純利益 ÷ 発行済株式数で算出できる。
株式発行数似依存する数値のため、株式分割・併合があると値が大きく変化する。自社株買いでもEPSを向上させることが可能。
PERを算出する上で必須の項目となる。
ETF
Exchange Traded Fund のこと。株価指数連動型の上場投資信託のことで上場投信と略されて呼ばれることが多い。
日経平均やTOPIXなどの株価指数に連動した運用成績を目指して組成されるもので、少額からでも分散投資が可能。 取引時間中ならば市場で売買することができる。
GDP
Gross Domestic Product のこと。国内総生産を示し、国内で生産された商品やサービスの付加価値総額を算出したもの。
国の経済全体がどのような規模にあるか、経済が拡大傾向なのか縮小傾向なのかを判断する際の指標となる。
LBO
Leveraged Buyout のこと。買収対象企業のキャッシュフローや資産を担保に借入を行い、対象企業の買収を行うM&A手法の1つ。
株式市場で割安な企業は、LBOによって買収後、他企業に売却されたり資産の売却が行われる。 借入でレバレッジをかけているため、大規模なM&Aを行う際はこの手法が採られることが多い。
LME
London Metal Exchange のこと。ロンドン金属取引所のことで、非鉄金属先物を扱う世界最大の取引所。
銅・アルミ・錫・亜鉛・鉛などが取り扱われており、特に銅は全世界の取引量の9割がLMEで行われている。 LME取引価格が非鉄金属の国際価格となっている。
MBO
Management Buyout のこと。企業の経営者や経営陣が既存の株主から株式を買収し、経営権の強化を図るM&Aの手法の1つ。 MBOをすることで、自社の上場廃止や、敵対的買収からの防衛を行なったりすることが可能。
M&A
Merger and Acquisition のこと。企業の合併や買収、事業譲渡などの総称。
垂直統合や水平統合による競争力・利益体質の獲得、破綻企業の再生による収益確保などを目的とすることが多い。 MBOやLBO、TOBはM&A手法のひとつ。
NT倍率
日経平均株価をTOPIXで割った倍率のこと。日経平均株価に採用されている225銘柄と、株式市場全体との乖離を測る指標となる。 NT倍率は12倍前後であることが多い。
PBR
Price Book-value Ratio のことで、株価が一株あたりの純資産の何倍かを示す指標。株価 ÷ BPS = PBR となる。
PER
Price Earning Ratio のことで、株価が一株あたりの純利益の何倍かを示す指標。割安・割高を測る指標で、株価 ÷ EPS = PER で計算できる。
ROA
Return On Assets のことで、資産に対しどれだけの利益を創出できたかを図る指標。 ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 で算出できる。 当期純利益ではなく、経常利益で算出することもある。
ROE
Return On Equity のこと。株主資本利益率と言われ、企業が自己資本でどれだけの利益を生み出したかを図る指標。 当期純利益 ÷ 株主資本 で計算される。
同業種内でROEを比較した時に、ROEが高い企業ほど、自己資本を効率的に使い利益を生み出していると言えるので、評価が高くなる傾向にある。
ROI
Return On Investment のこと。投下資本に対してどれだけの利益を上げられたかを測る指標で、投資収益率と呼ばれる。 企業自体のROIを算出する場合は、EBIT(事業利益)を投下資本で割ることで算出できる。
※EBIT(事業利益)= 経常利益 + 支払利息 ※ 投下資本 = 借入金 + 社債 + 株主資本
SQ
Special Quotation のこと。特別清算指数と呼ばれ、株価指数先物(日経平均先物やTOPIX先物など)や株価指数オプション取引が最終決済される際の清算指数。
先物・オプション取引で反対取引を期日までに行わない場合は、SQで決済されることになる。
ST倍率
S&P500種株価指数をTOPIXで割った倍率のこと。日本市場と米国市場の乖離を観察する指標となる。
TOB
Take Over Bid のこと。株式公開買い付けのことで『友好的』なものと『敵対的』なものが存在する。
『敵対的』TOBは取締役会の承認を受けずに行う買収行為で、事前に買収を公表しなければならないため、買収対象企業は対応策を取りやすい。
目標となる株式取得割合は1/3以上であるが、これは株主総会における強い議決権獲得が目的となっている。
TOPIX
東京証券取引所1部上場銘柄全ての時価総額を指数化したもの。 基準値は1968年1月4日の時価総額合計を『100』としている。
VIX指数
Volatility Index のこと。株価の変動の大きさを示すボラティリティの指標。 ボラティリティが高いほどVIXは高くなる。
別名『恐怖指数』とも呼ばれるが、これはボラティリティが高いほど投資家が先行きに不安を感じているとされるからで、投資家心理を市場に反映する指数と言える。
WACC
Weighted Average Cost of Capital のこと 加重平均資本コストのことで、株主資本コスト負債入コストの加重平均で計算される。
株主資本コストはCAPM等を用いて算出し、負債コストは借入金利と同等となる。 WACCの計算式は以下の通り。
WTI
West Texas Intermediate のこと。テキサス州とニューメキシコ州産の原油を指す。アメリカ国内の原油市場を反映しているが、国際的な原油価格の主要指標となっている。
円安
海外通貨に比べて円の価値が相対的に下がること
円高
海外通貨に比べて円の価値が相対的に下がること
エンべディット・バリュー
エンベディッド・バリューとは、すでに実現している利益である修正純資産と、将来的に実現する保有契約価値の合計額のことを指す。
生命保険は獲得時に多くの費用がかかるが、収入は契約後の定期収入となる。契約締結と利益が出るまでにタイミングのズレがあるため、業績と実際の収益力に差が生じる。
そのため、生命保険会社の保有する保険を『エンベディッド・バリュー』方式で算出することで、実際の価値がどれだけかを判断する必要がある。
為替
海外通貨と日本円を交換する際のレートのこと。外国為替市場は海外通貨と自国通貨の交換市場である。
為替差益
為替の変動によって生じる利益のこと
為替差損
為替の変動によって生じる損失のこと
株式価値
株主に帰属する価値のこと。株式価値 = 企業価値 – 有利子負債 で算出可能。 企業価値自体はDCF法などで算出し、そこから有利子負債を除くことで株式価値を算出する。
株主資本
自己資本と同義で、資本金や資本準備金、利益剰余金が含まれる。一般に株主資本の比率(自己資本比率)が高いほど財務的に安定していると言われる。
一方で、高すぎる自己資本比率は企業の成長が抑制されることを示唆している。
株主資本コスト
企業が株式を発行して資金調達を行う際のコストのことで、株主から期待されている利回りと同じ値になる。
CAPM等を用いて算出する。 WACCを算出する上で必須項目。
危険差益(死差益)
保険料計算をする際には、年齢別などの死亡者数を予測し、死亡率を算出します。
予定死亡率はあくまで統計上の予測であり、実際の死亡率と差が生じるが、この差によって保険会社に生じる利益のことを危険差益、死差益と呼ぶ。
固定長期適合率
固定資産がどの程度長期的な資金でカバーできているかを示す指標。固定長期適合率 = 固定資産 ÷(自己資本 + 固定負債) で算出できる。
固定長期適合率が高ければ、固定資産が短期資産でカバーされることを示すため、キャッシュフローが圧迫されると考えられる。
固定比率は自己資本しか使用しないため、固定比率と比べて少し基準が緩めの指標となる。
固定比率
固定資産がどの程度自己資本でカバーできているかを示す指標。 固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本 で算出できる。
固定比率が高ければ、固定資産が他人資本で購入されていることを示す。
業種にはよるが、固定資産購入費用を借入金で補うと、キャッシュフローが悪化すると考えられるため、一般的には100%以下であることか望ましいと言われる。
インフラ系や重厚長大型の産業は固定比率が高くなりがち。
裁定取引
同一価値商品内で安い現物を購入し、高い先物を空売りする等を行い、リスクなく利益を得る取引のこと。アービトラージとも呼ばれる
1.銅の現物を1単位購入:▲300円
2.銅の先物を1単位空売り:+400円
1.銅の現物を売却:+350円→最終利益50円
2.銅の先物を買い戻し:▲350円→最終利益50円
自己資本比率
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 で算出可能 一般的に自己資本比率が高いほど財務的に安定していると言われるが、高すぎる自己資本比率は企業の成長が抑制されることを示唆している。
総資産回転率
資本がどれだけ効率的に使われているかを示す指標。
総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産 で算出できる。業種により回転率が大きく異なるが、回転率が高い方が効率的に事業を展開していると言える。
インフラ系や重厚長大型の産業は設備投資が多く、資産が膨大になるため回転率が低めになる。
ソルベンシー・マージン比率
保険会社がどの程度の支払余力をもっているかを示す指標。保険会社の財務健全性を判断する指標の一つと言えます。
この数値が高ければ、仮に想定外の保険料支払いが発生しても問題なく事業経営をしていくことができます。
当座比率
流動比率よりも資産換算項目が少ないため、流動比率よりも厳しい安全性指標と言える。当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債 で算出できる。
日経平均株価
東京証券取引所1部上場企業の中で、特に代表的な225銘柄の株価の平均値のこと。225銘柄は業績等を理由に定期的に入れ替えられている。
ファーストリテイリングやソフトバンク、ファナックなどの銘柄の影響を受けやすく、特定銘柄(値嵩株)の株価が日経平均株価を大きく変動させる仕組みが問題視されている。
配当性向
純利益のうち、どれだけを配当としているかを示す指標。 配当性向が高ければ純利益の多くを株主へ還元していると言える。
一方で『配当性向が高い=投資をしていない』とも言えるので、事業を拡大して成長できる機会を逃しているとも捉えられる。
企業価値評価を行う際に必要な成長率を算出する上で、配当性向の算出が必要になる。
バフェット指標(指数)
投資家のウォーレン・バフェットが愛用しているとされる指数のこと。株式時価総額 ÷ 名目GDP で算出できる。
株式市場の割安・割高を判断する指標で100%を超えると危険水準と言われる。
2007年リーマン・ショック時のバフェット指数は110%→約半値まで暴落
2019年10月時点でのバフェット指数は140%前後→どうなるでしょうか?
バルチック海運指数
バルチック海運取引所における外航船の海運運賃指数のこと。
日本郵船や商船三井、川崎汽船、飯野海運などの海運企業の業績を予測する上で重要な指標となる。 海運での運搬量や港の状況を反映するため、経済や商品価格の先行指標としても見られることがある。
流動比率
企業の短期的(1年以内)の支払い能力を図るもので、安全性を判断する指標となる。
一般的に120%程度あれば問題ないと言われている。 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 で算出できる。当座比率と混同しやすいので注意。