【転職者・副業ワーカー・起業する人向け】雇用保険や関連制度

サラリーマンの方の多くの方が福利厚生として入っている雇用保険。

会社を辞めるパターンとしても、自分から転職する時副業で収入を得ている場合起業のための準備をするために辞めた場合など様々あります。

これらの場合でも雇用保険は受けられるのか?どれくらい受けられるのか?を調べてみました。

そもそも雇用保険はどれくらい引かれているのか?

殆どの会社のサラリーマンの負担する雇用保険の料率は0.3%です。(農林水産・清酒製造・建設の事業の場合は4%)この料率は、控除前の収入に対してかかるので、手取りではなくほぼ総額に対してかかるものと考えてよいでしょう。

つまり(控除前の)月収30万だと毎月千円くらい引かれていることになります。

(控除前の)年収が500万だと1万5千円を年間でしはらうことになります。

それ程大きくはないですが、ただ掛け捨てするには惜しい額ではありますね。せっかく払っているのであれば貰える分は貰っておきたいものです。

雇用保険はどんな時に返ってくるものか?

雇用保険とは「失業された方や教育訓練を受けられる方等に対して、失業等給付を支給する」というものです。つまり失業した方が対象となるもので、サラリーマンで新卒から定年まで1社で勤めると、結局掛け捨てにはなってしまいます。

失業期間中は、前職の給与に応じて毎日手当を貰うことが出来、再就職した場合には再就職手当を得ることが出来ます。

また会社を辞めた場合でも「失業」として認められないケースや「自己都合」かそうでないかによって、受給が大きく変わるので注意が必要です。

①自己都合退職と解雇

会社を離職するパターンとしては、会社に解雇された場合と転職などのために退職した場合があります。自己都合退職での場合は、原則として3か月の待機期間がありこの期間は、雇用保険(基本手当)を受給できません。そして、この期間に再就職・次の就職先が決まった時点で失業ではなくなってしまいます。

 転職の場合の雇用保険の扱い

   例えば転職のために会社を離職することになり、7月に辞めて9月から働き始めるとなった場合、8月は実質無職なので雇用保険が貰えそうな気もしますが、貰うことは出来ません。

    なので、基本的には”転職”をするパターンでは雇用保険も受給することはあまりないと考えてよいでしょう。

②雇用保険の受給対象条件

仮に会社都合だったとしても自分都合だったとしても、失業と認められる必要があり、その条件は案外厳しいものとなっています。特に失業した時のリスクヘッジのために、、と考えて副業を行っているサラリーマンだと、それが原因で結果的に雇用保険を貰えないことになってしまうことも。自己都合退職で3か月の待機期間が過ぎた後でも下記の場合では貰えません。

雇用保険の給付条件
① 家事に専念する方
② 昼間学生、または昼間学生と同様の状態と認められる等、学業に専念する方
③ 家業に従事し職業に就くことができない方
④ 自営を開始、または自営準備に専念する方(求職活動中に創業の準備・検討を行う方は支給可能な場合もあり。)
⑤ 次の就職が決まっている方
⑥ 雇用保険の被保険者とならないような短時間就労のみを希望する方
⑦ 自分の名義で事業を営んでいる方
⑧ 会社の役員等に就任している方(就任の予定や名義だけの役員も含む)
⑨ 就職・就労中の方(試用期間を含む)
⑩ パート、アルバイト中の方(※週あたりの労働時間が 20 時間未満の場合、就労した日、収入額の申告が必要となりますが、その他失業している日については基本手当の支給を受けることが可能な場合があります。)
⑪ 同一事業所で就職、離職を繰り返しており、再び同一事業所に就職の予定がある方*参考:厚生労働省https://jsite.mhlw.go.jp/ehime-roudoukyoku/var/rev0/0110/1790/201713014829.pdf
 副業サラリーマンが本業を辞めた場合は受給対象になるのか?

こちらはその場合もあれば、そうではない場合もある様です。例えば、パート・アルバイトを行っているだけであれば上記の⑩のパターンに当てはまるので、条件次第では一部の受給は見込めそうです。

一方、事業をしている場合は額面に関わらず原則難しそうです。例えば副業サラリーマンの中には、副業で青色申告を行うために開業届を出している方も多いと思います。開業届を出している場合、本業の仕事を辞めても自営業としては失業していないとみなされるため、こちらの場合も失業とは認められない様ですね。

バレなきゃ大丈夫・・・と思うかもしれませんが厚生労働省のHPに、よくある不正受給としてはっきり「自営や請負により事業を始めているにもかかわらず、「失業認定申告書」にその事実を記さず、 偽りの申告を行った場合」「内職や手伝いをした事実及びその収入を「失業認定申告書」に記さず、 偽りの申告を行った場合」と書いてあるので、おそらくかなり警戒されているので事業をやっている副業サラリーマンの方はやめましょう。

 起業のための準備期間は受給対象になる?

起業のみを考えている場合はのパターンにあてはまるので受給対象になりません。しかし、補足にあるように求職活動中に創業の準備・検討を行う方は支給可能な場合は対象となる場合もあります。失業の段階で、開業届を出していなかったり、会社設立をしていなければ例外的に認められることもありそうです。また、この場合は”創業”の際に再就職手当を貰える可能性もあります。

その他、起業とはいっても自分が経営者になるのではなく、 起業仲間やビジネスパートナーが立ち上げた企業に雇用される場合はれっきとした再就職になるので、この様な起業の場合には活用すべきです。

雇用保険は貰えなくても受けられる職業訓練受講給付金

ここまで、転職・副業・起業の方達の雇用保険について紹介していましたが、あまり受給できる可能性は高くなさそうです。しかし、雇用保険と関連してもうひとつ、離職時に受給できる可能性がある給付金があります。それが職業訓練受講給付金です。

求職者支援制度というものがあり、雇用保険を受給している求職者を主な対象とする「公共職業訓練」と、雇用保険を受給できない求職者を主な対象とする「求職者支援訓練」があります。ちなみに学卒者や在職者がスキルアップのために利用することもできますが、その場合は有料です。

こちらの訓練受講中に限り、一定の要件を満たす場合に訓練の受講を容易にするための給付金が支給されます。1月当たりの給付は「受講手当(10万円)+通所手当+寄宿手当」となっていてかなり大きい額ですね。

これは自己都合での退職の場合で通常の雇用保険を受けられない場合にも条件に当てはまれば利用できます。

しかし、これにも下記の条件があります。

職業訓練受講給付金の支給要件
H次の要件を全て満たすことが必要
1.本人収入が月8万円以下
2.世帯全体の収入が月25万円以下
3.世帯全体の金融資産が300万円以下
4.現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
5.全ての訓練実施日に出席している
6.世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
7.過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/000339968.pdf

つまり共働きで配偶者が毎月25万円以上稼いでいたり、既に副業などで本業とは別に月8万以上稼いでいる場合はもらえません。また世帯の金融資産300万円以下でなくてはいけません。老後のためにしっかり貯蓄をしている方にとっては殆ど関係ありませんね。

こう見るとかなり厳しい条件ではありますが、もし仮に該当していた場合は受給するのが良いでしょう。


 

以上、いかがでしたでしょうか。調べてみて分かったのですが、既に開業届を出していて副業をガッツリやっている副業サラリーマンには会社を辞めてもどうやら雇用保険がおりることはなさそうです。失業しても大丈夫なように副業を始めているのに、副業のせいで本当に失業した時に保険がおりなくなるのは悲しいですね。副業ワーカーの多い時代、せっかく自分でセーフティーネットを築いた人が逆にちょっと損をするような構図になっていて、なんだかなぁ、と少し思いました。

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