「企業経営理論②組織論」MBA・中小企業診断士要点まとめ

ここでは、中小企業診断士1次試験の「企業経営理論」の分野②組織論について要点をまとめています。MBAで学ぶ組織論の基礎分野でもあります。

組織の構造

組織の均衡条件

個人が貢献意欲をもって組織に参加し続けるためには、組織が個人に与える誘因と個人が組織に与える貢献が等しいか、あるいは誘因が大きい必要がある。

組織の設計原則

①専門家の原則・・・仕事を分業化することにより専門性を高め、仕事の効率を向上させる

②権限・責任一致の原則・・・組織の各メンバーの権限と責任は等しくなければならない

③統制範囲の原則・・・1人の管理者の下には、適正な人数のメンバーを配置する必要がある

④命令一元化の原則・・・メンバーは一人の直属の上司から命令を受け、それ以外の人からは命令を受けない

⑤例外の原則(権限移譲の法則)・・・管理者は定型業務の意思決定を下位に権限委譲し、例外的な意思決定に専念する

組織の種類

機能別組織 ・・・組織を機能別に部門化し、機能ごとに専門性の高い人材が配置される組織形態。専門性が確保されるのがメリット。集権的な管理組織であるため、同質的環境下では能率的。

事業部制組織・・・各事業部を独立採算のプロフィットセンター(事業利益単位)として機能させる組織形態。利益責任が明確でインセンティブも働きやすい。多重投資となって経営活動が非効率的になるほか、事業部間のセクショナリズムが生じやすく、事業部ごとの利益追求が会社全体の利益にならない可能性がある。

カンパニー制・・・事業部制における事業部を、さらに分権化するためにカンパニーという独立した企業に近い組織として社内分社化したもの。法律上は同じ会社として扱われるが社内では別会社の様に扱い、資金調達から意思決定まで独立している。

モチベーション理論

マズローによる欲求段階説

欲求には5段階あり、下位の欲求から順に①生理的欲求安全欲求社会的欲求自我欲求自己実現欲求がある。人間はまず下位の欲求によって動機づけられ、下位の欲求が従属されると、逐次より上位の欲求によって動機づけられる。

X理論とY理論

(マヌレガー)X理論ではなくY理論に基づいて経営を行うべき

X理論・・・古い人間観   人間は本質的に仕事嫌いで強制、命令等がなければ働かない(命令と統制による管理が良い)

Y理論・・・新しい人間観 人間は本質的に働くことをいとわず、動機づけがなされれば能動的に自己の目標達成に向けて働く(目標による管理、MBOが良い)

MBO(目標管理制度)・・・上司と面談の上で個人の業績目標を設定し、自主的に目標を達成する管理方法

ブルームの期待理論

動機づけの強さ=報酬の期待される価値×報酬を得られる確率

リーダーシップ・組織管理

レヴィンによるリーダーシップの分類

専制型リーダーシップ

意思決定、作業手順もリーダーが指示

民主型リーダーシップ

・リーダーの援助の下、集団で討議して方針を決定
・作業の要領や手順は部下に委任

自由放任型リーダーシップ

・部下/集団の行う行動にリーダーは関与しない
・意思決定、作業手順も部下・集団によって行う

このうち、集団の生産性、成員の満足度、集団の凝集力に置いて、民主型リーダーシップが最も望ましい。しかし、専制型のリーダーシップも組織の立ち上げ当初など、短期的には高い生産性を得る事が出来る。

リッカートによる管理システムの類型化

システム1:独善的専制型(権威主義・専制型)

徹底した課題志向
・権威主義的管理方法で、部下に一切の意思決定権がない
・モチベーションは恐怖・脅迫・懲罰によるものがほとんどで、報酬も少ない
・メンバー同士のコミュニケーション・相互作用も少ない

システム2:温情的専制型

課題志向>人間関係志向
・作業に関する指示や管理はリーダーが全て行なうが、メンバーの提案は可能
・報酬や懲罰をにおわせることによって、部下の動機付けを行う
・リーダーと部下の相互関係はあるが、メンバーには恐怖と警戒心がみられる

システム3:相談型(参画協調型)

課題志向=人間関係志向
・リーダーは基本的方針や全般的決定権をもち、個々の案件についての権限は部下に権限委譲される
・リーダーとメンバー、メンバー同士のコミュニケーションが良好になる
・褒賞による動機付けを主とし、懲罰を時より用いる程度

システム4:集団参加型(民主主義型)

課題志向 < 人間関係志向

・意思決定は全てメンバーに権限委譲される
・リーダーとメンバー、メンバー同士のコミュニケーションは良好になり、上下の関係や横の集団との連携が密になる
・働きやすくメンバーのモチベーションが維持・向上される
・成果を上げることに重きを置かない分、組織全体の成果が減少する可能性もある

システム4ほど、より生産性が高い組織となる。

セルズニックの制度的リーダーシップ

戦略的組織変革を実施して組織に定着している段階では、各種の抵抗が生じるため、トップマネジメントによる制度的なリーダーシップが重要である。制度的リーダーシップとは、組織に理念を注入するようなリーダーシップであり、新しい理念を表現し、それを組織の中に制度的に組み込む。

人材開発

開発制度

複線型人事制度・・・企業が複数のキャリアパスを用意し、従業員が自分の意志で選択する制度

職能資格制度・・・様々な職能を困難度や責任度などにより区分した職能資格を設定し、それに基づいて処遇を決定する制度

キャリア開発制度(キャリア・デベロップメント・プログラム:CDP)・・・従業員のキャリアプランの実現と企業のニーズに合った人材育成を目的する長期的な人材育成策

評価

成果主義・・・仕事の成果の評価をもとに給与や昇格などの処遇を決定するもの

能力主義・・・仕事を遂行する能力を元に給与や昇格などの処遇を決定するもの
*コンピテンシー評価=高い業績を上げるための行動特性(コンピテンシー)を明らかにし、その行動特性を基準にして人事評価を行うもの。

能力開発の方法

OJT   ・・・実際の仕事を通じて能力を習得する

短期間で実務能力が身に付けられ、きめ細かい指導が出来る。またコストがあまりかからない。しかし能力開発が短期志向になりがちで、指導者に教育成果が左右され、体系的な知識の習得が難しい。

OffJT・・・仕事の場を離れて学習する

広い視野で体系的に知識を習得できるが、開発に時間とコストがかかる

労働関連法規

労働契約

労働者と使用者の間で結ぶ契約。ここでは労働者に対して賃金や労働条件等の労働条件を明示する事が義務になっており、就業規則労働協約法令に違反することは出来ない。

就業規則

就業規則には、必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項と当該事業場で定めをする場合に記載しなければならない相対的必要記載事項がある。その他は任意的記載事項。

絶対的必要記載事項としては労働時間に関する事項賃金に関する事項退職に関する事項がある

労働基準法

労働時間

一日の法定労働時間は、休憩時間を除いて8時間。一週間の法定労働時間は、休憩時間を除いて40時間。法定労働時間以外の労働に対する割増賃金は、時間外労働の場合は25%以上、休日労働の場合は35%以上。深夜労働の場合は25%

解雇

業務上の負傷や疾病のための休業期間や、休業が終了した後の30日間は、労働基準法における解雇の制限の対象になる

使用者が解雇する場合には、少なくとも30日前に労働者に予告をするか、30日分以上の賃金を支払う必要がある。また合理的な理由が無ければ解雇は出来ず、無効となる。

賃金の支払い方法に対する5原則

通貨払いの原則 通貨で支払う必要がある

直接払いの原則 労働者に直接支払う必要がある

全額払いの原則 全額を支払う必要がある

毎月一回払いの原則 毎月一回以上支払う必要がある

一定期日払いの原則 支払期日を定める必要がある。

 

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