R3年受験用 財務会計まとめ

ここでは中小企業診断士試験のH30年過去問をベースに試験対策情報をまとめています。

過去の問題で聞かれた内容や、その設問に関連する内容を同時にまとめています。過去問では答えの記号しか公開されていないので、過去問演習時の解説等にもお使いください。

*見出しの()内に対応する設問ナンバーを記載しています。(例:29-1=平成29年第1問)

また重要と思われる項目についてはオレンジ色or赤色にて、表記しています。印刷すれば赤の暗記シートとしても使えるので、是非ご活用ください。

*20年受験用に情報をアップデートしています。

29-16、1-10は算数問題のため省略。

圧縮記帳(1-2)

圧縮記帳とは有形固定資産の取得に際して収益(補助金等)が発生した場合、その取得価額を減額(圧縮)することにより固定資産圧縮損を計上し、収益金額固定資産圧縮損とを相殺してその年度の税負担を軽減する効果をもたせるもの。なお、その後の減価償却は、圧縮後の残存額に対して行われる。

*資産の取得に紐づいた給付金など特定の給付金等の場合に限られる。また減価償却費が減少するので実質的には納付の繰延である。
*なお直近のコロナ関連について、個人への生活のための給付金は非課税だが事業のための給付金は課税

連結会計(1-3,1-5)

金融商品取引法の規定により有価証券報告書を提出する大会社(資本金5億円以上or負債200憶円以上)には、連結計算書類の作成義務がある。

非支配株主持分は、連結財務諸表の純資産の部に表示される。

連結財務諸表は、親会社と子会社(株を保有している分・割合のみ)の貸借対照表や損益計算書を合算したものに必要な調整が加えられたもの(全部連結)。なお関連会社については持分法という方法を使って、経営成績のみを取り込む。具体的には、連結PLでは、関連会社の売上以下の途中経過は一切無視し、最終的な利益貢献額だけを連結損益計算書の営業外収益“持分法による投資収益”として計上。(損失の場合も同様)。

子会社とみなす条件は、親会社となる企業が子会社となる企業の株式を議決権で50%超を保有しており、経営に関する意思決定機関を支配していること。”重要な影響を与えることが出来る”だけでは子会社とはならない。関連会社はおよそ20~50%

*なお議決権が50%以下でも、実質的に50%超を保有しているとみなされれば子会社たりうる

子会社株式・関連会社株式は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。
cf:その他有価証券は、時価を貸借貸借対照表価額として、差額は純資産計上される
売買目的有価証券は、時価を貸借貸借対照表価額として、差額は当期利益に反映される
満期保有目的の債券は、取得原価又は償却原価法で定められた価額で計上する。

銀行の残高証明書(1-4)

銀行残高と帳簿残高に差異を発生させる事象が生じた場合の処理

・時間外の預入→帳簿に合わせる(仕訳を戻す必要は無い)
・未取付小切手(企業側では小切手は、振り出しと同時に仕訳処理をする。相手に既に渡したが、相手側から取付が来ていない場合は残高の方が大きくなる。)→帳簿で仕訳を戻す
・未取立小切手(小切手を銀行に預けると、銀行が代金を取り立ててくれる。企業側では小切手は、預け入れと同時に仕訳処理をする。銀行側でまだ未処理の場合は残高は小さくなる。)→帳簿で仕訳を戻す
・連絡未通知(銀行側で処理がされていたが、企業側にまだ連絡が来ていないパターン。例えば、受取手形の取立の通知が未達である場合などがある。この場合は帳簿を修正する。)→帳簿で仕訳を追加する
・未渡小切手(企業側で帳簿上は処理がされているにもかかわらず、社内の都合等によって未だ渡せていないパターン。この場合はいったん、その取引は無かったものとして帳簿を直す。)→帳簿で仕訳を戻す

会社法の計算書類等(1-5)

会社法の計算書類は、BSPL株主資本等変動計算書個別注記表。(キャッシュ・フロー計算書は含まない

金融商品取引法の適用を受ける上場会社のBS、PL、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、附属明細表などについては「財務諸表規則」に準拠しなければならない。しかし、全ての企業が「財務諸表規則」に準拠しなけらばならない訳ではない。(これが財務諸表

取締役会設置会社は、定時株主総会招集の通知に際して、株主に計算書類等(計算書類と事業報告)を提供しなければならない。

財務諸表と計算書類を総括して決算書

棚卸資産の評価(1-1,1-6,29-1)

<評価方法>
個別法  :商品ごとに仕入時の価額で評価する方法
売価還元法:期末棚卸を商品の売価で行い、これに原価率を乗じて在庫を期末在庫高を算出する方法。類似の商品をグループに区分して管理。
先入先出法:仕入れた順番で在庫を売上原価としていく方法。しかし仕入戻・売上戻については、対応する仕入値・売値を適用する。(実際にその額でお金も動くため
・平均原価法(移動平均・総平均)

棚卸減減耗費は、帳簿と実際の数量の差異を原価で計上(売上原価か販売管理費に計上、イレギュラーであれば営業外費用や特別損失)、商品評価損は実際の数量に対して正味売却価格の低下分を計上(原則売上原価に計上。災害等特別な事情があれば特別損失)。
棚卸資産は原則として取得価格にてBS価格とする。ただし、時価に変動がある場合「正味売却価額」が「取得原価」よりも低下する場合は当期の費用として処理。それが商品評価損。

負債の会計処理(1-7)

資産除去の債務を伴う有形固定資産(解体が必要な施設など)を取得した場合、その資産の除去に要する支出額の割引価値を資産除去債務として負債に計上する。

資産や負債の流動/固定の区分には、「正常営業循環基準(営業取引によって生じたものか否か)」と「一年基準(現金化される期限が1年以内に到来するか否か)」で分けられる。

未払費用:「継続的な役務の提供」によって発生する費用の未払分。
未払金 :上記以外の未払分。また未払費用とは違い、経過勘定項目ではない
*上記の区分は、主たる営業活動か否か?は全く関係ない。なお経過勘定項目(現金の収支とその期に計上しなければならない収益や費用との間にタイミングのズレを調整するための科目)は「前払費用」「前受収益」「未払費用」「未収収益」だけ。

災害損失引当金:認められるのは将来の災害に対するものではなく、災害後に見積もる復旧や撤去にかかる引当金要件を満たす費用分。(将来に対しては合理的に見積もれず、発生確率が高いとも言えないため不可)

貸倒引当金:売上債権の残高に対して貸倒を見積もる。差額補充法では差額分のみを仕訳調整、洗替法では前期末分を戻しいれた上で新たに計上する。

無差別曲線(1-13)

リスクーリターンの無差別曲線。同一リスクで最もリターンが大きくなるもの、同一リターンで最もリスクが小さいものを投資家は選ぶ。

年金原価係数(1-16,2-17)

年金原価係数:毎年入れる額を1として一定利率で複利運用していくとき、○年後までに支払う総額の現在価値を示す。年金原価係数では、該当年の年末に収支があるものとして考えるもの。1年の年金原価係数=1年後の価値の比

つまり契約時などに収支がある場合は、年金原価係数には契約時の収支分が含まれないので注意。

金利(1-18,2-16)

・将来の利払いが変動するリスクがある変動金利と、それがない固定金利ではどちらが有利かは分からない。
歴史的には長期金利の方が高い傾向にある。しかし金利水準の低下局面では逆のケースも観測されている。
公定歩合:日本銀行が、民間銀行に貸し出しを行うときの基準金利。短期金利の事実上の上限ではあるが、短期金利そのものではない。
実質金利:名目金利から物価上料率を控除した金利。
・マイナス金利では資金を預けたときに利息を払わなければsならない。
・マイナス金利では、物価はインフレが予測される。(貨幣供給が多くなるから
・マイナス金利は日本の場合は市中銀行による日銀預け金に限定される。
・マイナス金利下では、金利が下がり企業の資金調達もしやすくなる

未収利息(29-2)

受取っていない利息は、期間割で未収利息として計上

剰余金の分配可能額(29-3)

剰余金の分配可能額は、基本的に資本金と資本準備金・利益準備金自己株式があれば帳簿価額を除く。その他資本剰余金の額、利益剰余金の額、任意積立金が含まれる。

なお配当時は配当額の1/10もしくは準備金合計に対して資本金の1/4に満たない額利益準備金として積み立てなければならない。

企業会計原則(29-5)

1:真実性の原則
2:正規の簿記の原則
3:資本取引・損益取引区分の原則
4:明瞭性の原則
5:継続性の原則
毎期同じ方法を継続して適用しなければならず、正当な理由なくしてみだりに変更してはならないとする原則
6:保守主義(安全性)の原則
予測される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理が必要となる原則。ただし、将来の危険の合理的な見積額を上回る費用の計上は禁止されている。
収益は実現主義、費用は発生主義を採用する。
7:単一性の原則
企業は会社法、財務諸表等規則、税務申告のための等、複数の基準に基づく財務諸表を作成する必要がある。しかし、単一の会計帳簿に基づいて作成されたものでなくてはならない。

*収益認識基準は企業会計原則には含まれていない。

税効果会計(29-6,1-8)

繰延税金資産:会計上利益が税法上利益よりも少ない場合に発生。将来支払う税金が減る可能性があるもの
繰延税金負債:会計上利益が税法上利益よりも多い場合に発生。将来支払う税金が増えるる可能性があるもの

会計上利益と税法上利益には、一時差異と永久差異が存在する。永久差異は時間が経っても解消されることなないが、一時差異は時間の経過によって解消される。繰延税金資産・負債となるのは一時差異のみ。

受取配当金の益金不算入額配当前の時点で法人が課税されているため)、交際費の損金不算入額は永久差異であり、時間経過で解消されることは無い。

税法の損金算入限度を超える貸倒引当金繰入額、減価償却費(例えば、税法上の耐用年数と会計上の耐用年数が違う場合がある)は繰延税金資産を増加させる。

評価損の損金不算入額も一時差異。

固定資産の減損(29-7,2-5)

固定資産の減損は特別損失して計上する。固定資産の減損は、まず固定資産のグルーピングから行われ、個別の資産・もしくは複数の資産からなる資産グループに対して行われる。一度、減損処理を行った場合、収益性の改善が認められる場合でも戻入は行わない。(ただしIFRSでは認められている)

固定資産の減損の判定(資産の収益性の低下の認識)は、”正味売却価格”と”将来CFの割引前現在価値”のうち大きい方が帳簿価格を下回る場合。
固定資産の回収可能額は、”正味売却価格”と”将来CFの割引現在価値”のうち大きい方とする。

単純総合原価計算(29-8)

月初仕掛品原価+当月投入(材料費・加工費)=月末仕掛品原価+当期完成品原価

*平均法・・・月初仕掛品と当月投入分が平均的に進められると仮定して原価配分する方法
材料費、加工費それぞれを平均して月末仕掛品と当期完成品に分配する。→月末仕掛品には、加工進捗度に応じて分配する。

標準原価計算:時間差異(29-9)

標準原価計算・・・原価の差異分析をする方法

直接労務費の原価計算において、時間差異と賃率差異がある。

時間差異=標準賃金×差異時間 賃率差異=賃金差×実労働時間 (★赤字の部分が実績か、標準値を使うかが紛らわしいので注意する事

*cf

直接原価計算・・・生産活動の実態を把握するための利益管理のための方法。費用を変動費と固定費に区分して、そのうち変動費を原価(変動売上原価)として原価計算を行う。販売費のうち変動費部分を変動販売費として表示し、変動製造マージンから変動販売費を差し引いて貢献利益を計算、固定費を差し引いて営業利益を出す。

全部原価計算・・・財務諸表作成に採用される方法。売上高から売上原価を差し引いて売上総利益を計算し、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたものを営業利益として表示。売上原価は変動費と固定費の両方から構成される。

財務指標(29-11,29-12,1-11,1-12,1-19,1-22,30-10,2-11)

・インスタントカバレッジレシオ = 営業利益÷支払利息
・固定長期適合率        = 固定資産÷(固定負債+自己資本)
                  つまり流動資産・負債を排除した際の比率。低いが望ましい。(忘れやすい)
・自己資本利益率        = 税引前当期純利益÷自己資本
・固定比率           = 固定資産 ÷ 自己資本 固定資産をどれだけ自己資本で賄っているか?
・負債比率           = 負債 ÷ 自己資本     レバレッジー1
・流動比率           = 流動資産 ÷ 流動負債 流動資産で流動負債に対応できるか?
・自己資本比率         = 自己資本 ÷ 総資本
・当座比率           = 当座資産 ÷ 流動負債 当座資産だけで流動負債に対応できるか?
(当座資産 = 「現金」もしくは「短期間で容易に現金化できる資産」のこと。現金、預金、受取手形、売掛金、有価証券など
・総資本営業利益率       = 営業利益率÷総資本
・総資本回転率          売上高 ÷ 総資本
・1株当たり利益(EPS                    =    利益÷株数
・株価収益率(PER       株価 ÷ 1株当たり利益 何年分で回収できるか?
・株価純資産倍率(PBR               株価 ÷ 1株当たり純資産 *厳密には非支配株主持分と新株予約権を除く Price Book value Ratio
1株当たり純資産(BPS   =    純資産÷株数 Book value Per Share
資産と負債系の指標は分子に資産・分母に負債が多い
・付加価値率 =付加価値÷売上高
・労働生産性 =付加価値÷従業員数(労働量)
・労働装備率 =有形固定資産÷従業員数
・設備生産性 =付加価値÷有形固定資産
・労働分配率 =人件費÷付加価値
・付加価値  =営業利益(経常利益+賃借料++金融費用+租税公課)+人件費+減価償却費

売上高―外部購入価値

資金調達の方法(29-14,1-20)

外部金融 外部から資金調達すること。以下の2つの総称。
 ー直接金融 証券会社や証券市場を介する場合も含め、株式や債券を発行することによって、投資家から資金を調達する事 株式・社債発行。証券化も含む。
 ー間接金融 銀行などの金融機関を通して、金融市場から間接的に資金を調達すること 借入
内部金融 企業内で資金調達する事 利益留保・減価償却

設備投資のキャッシュフロー(29-15,2-23)

将来の現金支出の削減が見込まれる設備投資の税引後キャッシュフローは、削減による利益増加減価償却費による節税効果を加算する。=”現金支出の削減額×(1-法人税率)+減価償却費×法人税率

MM理論・資本コスト(29-17, 29-24,1-21,1-22)

MM理論:完全な市場の下(税金は無い場合)で企業が資金調達を行うときには、資金調達方法の組み合わせ方を変えても企業価値は変化しない

この状況下において、無借金の方がPER(株価収益率)は高くなる。(利益が同じでも自己資本が大きいので1株当たり純利益は減る、株価/1株当たり利益は高くなる

税金が存在する場合、負債の節税効果によって資本コストが低下し、借入金のある企業の企業価値が高くなる。増加額=”法人税率×負債額”

負債と純資産の構成が2:1、税引き前負債資本コストが3%、株主資本コスト(WACC)12%、法人税率40%のとき

資本コスト=2/3×3%×(1-40%) +1/3×12%=5.2% 

*試験問題 切捨率 △
企業が新たに投資を行うとき、その投資により得なければならない最低限の利益率のことであり、資本コストと同じ
資金調達方法に関わりなく企業の限界資本コストは平均資本コストに等しい。(MM命題3)
企業の切捨率は資金調達方法にかかわりなくい一意に決定される。

定率成長モデル(29-18)

前期末の配当金が120円、毎年2%の成長が期待される資本コスト6%の株式の理論価格は

理論価格=120×(1+2%)÷(6%-2%)      *引掛けに注意

相関係数とポートフォリオ(29-19,1-17)

標準偏差と期待収益率のグラフにおいて、2つの銘柄のポートフォリオは、相関係数が1の場合は一直線上に並ぶ。相関係数が-1の場合は、標準偏差0となるポイントが存在。相関係数がより小さくなる程リスクも小さく出来る。

CAPM(29-20,2-22)

マーケットポートフォリオの期待収益率6%、安全利子率1%、当該資産の期待収益率が10%のとき

β値=(10%-1%)÷(6%-1%) =1.8    *リスクフリーレートの引き忘れに注意

*証券市場線と関連

先渡取引と先物取引(29-21)

取引条件 信用リスク 取引
先物取引(フューチャー) 定型化 委託証拠金があり、信用リスクが低い。 取引所取引で差金決済
*通常現物渡しは行われない
先渡取引(フォワード) 当事者間で任意 委託証拠金を取らず、信用リスクが高い。 店頭取引で現物決済

先渡取引とは・・・予め定めた価格で、ある商品を売買する約定のこと

先渡取引と先物取引(29-22)

流動性リスク・・・市場取引において需給がマッチしないために売買が成立しなかったり、資金繰りに失敗するリスク

「3伝票制」(30-1)

3伝票制では「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の3種類を用いる。入金取引は「入金伝票」、出金取引は「出金伝票」、それ以外の取引を「振替伝票」に記載する。

<例>

商品120000円のうち30000円を現金で受け取り、入金伝票に「売掛金 30,000」と記入した場合、振替伝票には「売掛金 120,000  売上 120,000」と記載される。

「固定資産売却損益と計上のタイミング」(30-2)

減価償却は期末の決算整理時に計上されるが、期中に売却した場合、減価償却費は売却時までの分が期間割で計上される。

<例>

期首760,000千円、1年あたり40,000千円ずつ減価償却が行われる場合、半年経過後に725,000千円で売却した場合は、725,000 – (760,000 – 20,000) = -15,000千円が固定資産売却損となる。

「本店支店会計」(30-3)

本店支店会計は、本店・支店間での取引(本店で支店側or支店で本店側の取引を立替た場合なども含む)を経費や資産として計上せず、代わりに本店・支店勘定を用いて計上。決算時に相殺する。

<例>

本店が支店の広告宣伝費30,000円を現金で支払った場合、本店側では「支店30,000 現金30,000」、支店側では「広告宣伝費30,000 本店30,000」と計上する。

「“のれん“と非支配株主持分」(30-4,2-6,2-8)

他社の株式取得時、売却される側の帳簿上の純資産額(時価評価があるものは時価評価に置き換える*)と取得時における価格の差を“のれん“(無形固定資産)として計上する。なお株式の一部を残して取得する場合は、残りの部分については連結財務諸表には”非支配株主持分”として計上されるが、この非支配株主持分はそのまま簿価で計上される。

*例えば、商品の時価が簿価より高い場合は商品を時価に置き換える必要がある。

なお、のれんの償却期間は最長で20年。(定額法など)。のれんの償却費は、販売費および一般管理費に表示される(営業外費用・特別損失ではない)
のれんが負の場合は、特別利益として計上される。

<例>

B社株式(簿価80円)の80%(簿価64円)を85円で取得した場合、“のれん“は21円となり、非支配株主持分は16円となる。

「ソフトウェア会計」(30-5,29-4,2-8)

  • 自社利用目的のソフトウェアのうち、将来の収益獲得または費用削減が確実であるものについては、機械装置等に組み込まれたものを除き、その取得に要した費用を無形資産として計上する。(自社利用目的のもので開発中のものは「ソフトウェア仮勘定」で計上。)
  • 市場販売を目的とするソフトウェアの研究開発活動の終了(最初に製品化された製品マスターの完成)までに発生した費用は、研究開発費として費用処理される。それ以降の費用は無形資産として計上する。
  • 受注制作のソフトウェアの会計処理には、工事進行基準と工事完成基準がある。
    工事進行基準では、ソフトウェア制作における進捗度に応じて収益や売上原価の計上し、工事完成基準の場合は完成時(引渡時)に収益や売上原価を計上し、それまでの間のソフトウェアの製作費は棚卸資産の仕掛品として計上。*中小企業の一般的には後者が多い。(つまり無形固定資産には計上されない
  • 無形固定資産として計上したソフトウェアは定額法で減価償却される。会計上は市場販売目的は3年、自社利用目的は5年となる。

*受注制作ソフトウェアについては2021年4月からの新収益認識基準があるが時期的にR3年は未だでなさそう。
上述の完成基準・進捗基準は全て「収益認識基準」に一本化
 顧客が便益を得たタイミングで便益分を計上していくという考え方。履行義務に価格を配分していく。

知的財産権(2-8)

特許権を取得した場合、特許権を無形固定資産として計上できるが
・自社発明の場合、出願料や登録費用などの付随費用が特許権の取得原価となる。(それまでの費用は研究開発費・戻し入れもする必要は無い)
・他者から取得した特許権の場合、特許権の購入対価と付随費用
税法上、耐用年数は8年(全体的に産業財産権の対応年数は存続期間より短い)

消費税の仕訳方式(2-9)

税抜方式:消費税相当額と本体価格を区別して計上する方法
税込方式:消費税額を含めた価額で計上する方法。

*なお、変更の際に特別な手続きまでは不要。

「ファイナンスリース取引)」(30-6,2-7)

ファイナンスリース取引とは、中途解約できず(ノンキャンセラブル)、利益・コスト(故障した時の費用等)の全てを使用者が負担・享受する(フルペイアウト)取引。

Cf : オペレーティングリース取引:契約期間に応じたリース料を支い、故障した時も貸主がその費用を負担する。上記以外の取引のこと。
原則として解約不能のものにかかる未経過リース料は注記する必要がある

  • ファイナンスリース取引の場合、借手側はリース資産を資産計上し、リース債務を負債計上する。(売買処理
  • 所有権移転ファイナンスリース取引では、この計上額はそのリース物件の貸手の購入価額等が明らかな場合はその価格、不明な場合はリース料総額の割引現在価値か借手の見積現金購入価額の小さい方となる。
    また、リース資産の減価償却費はリース期間に限らず通常の資産と同一の方法で算定される>固定資産*考え方:所有権移転型では通常の資産取得と同じ様な処理をする≒購入価格が明らかなときはそれを優先して採用する)
  • 所有権移転外ファイナンスリース取引では、貸手の購入価額等が明らかな場合はその価格とリース料総額の割引現在価値の小さい方、不明な場合はリース料総額の割引現在価値か借手の見積現金購入価額の小さい方となる。(リース料総額の割引現在価値が小さい場合に優先的に採用される点で所有権移転ファイナンスリース取引と異なる
    またリース資産の減価償却費は、残存価値を0とし、耐用年数をリース期間とする。
    *考え方:所有権移転外では残存価値0、耐用年数をリース期間とするから≒リース料総額の割引現在価値よりも高くなることはない。)

*ファイナンスリース取引には支払利息が発生する。
①(借方)リース債務/支払利息 (貸方)現預金 ②(借)減価償却費(貸)減価償却費累計額 *間接法なら

  • オペレーティングリース取引は、月々のリース料を費用処理する(通常の賃貸借取引に同じ)。所有権移転外ファイナンスリース取引も、同様の方法で処理することは認められている

「費用収益対応の原則」(30-7)

期間利益額を算出する際に期間収益と期間費用の金額的な対応関係が成立するように、当期の発生費用額を当期の収益額に対応する部分と次期以降の収益額に対応する部分とに区分する。

実務では重要性が乏しい場合は例外的に処理をすることも多いが、試験では原則に則るべきである。

原価計算基準における製造原価(29-10)

原価は活動に応じて以下に分解できる
*原価要素(=総原価)製造原価+販売費および一般管理費(減価償却も含まれる)

製造原価の分類(形態別)

製造直接費(製品と個別対応計算が出来る) 製造間接費(製品と個別対応計算が出来ない)
材料費(材料・部品などの原価) 直接材料費 間接材料費
労務費(工員の賃金・法定福利費等) 直接労務費 間接労務費
経費(上記以外。外注加工費・福利厚生費もここ) 直接経費 間接経費

素価=直接材料費+直接労務費

*ややこしいポイント:間接工賃(製造に直接従事していない作業員の賃金)と直接工賃(製造に直接従事している作業員の賃金)
間接工賃は、間接労務費に含まれるが、直接工賃は、間接労務費・直接労務費のうちどちらにも含まれる。

手持時間は間接労務費に含まれる。

「部門別個別原価計算」(30-8)

部門別計算では、製造間接費を部門別に集計し、それらを各製造指図書に配賦する。

会社の各部門は「製造部門(直接製造作業を行う部門)」と「補助部門(直接製造作業は行わない部門)」という原価部門に分けられる。

部門別計算では「第1次集計」で部門費の集計が行われる。部門費はどの部門で発生したかが明確に分かる原価である部門個別費と、特定できないものを適切な配賦基準によって配賦された部門共通費がある。(製造部門も補助部門も同様に行われる)

「第2次集計」で補助部門費の配賦が行われる。ここでは各補助部門に配分された原価を、適切な配賦基準によって製造部門に配賦する。

第2次集計の配賦基準

・直接配賦法・・・補助部門間の用役の授受を無視して計算するもの

・相互配賦法・・・補助部門間の用役の授受を1度だけ考慮してもう一度配分するもの

*個別原価計算・・・受注生産向き
全体現価計算・・・大量生産向き

公式法変動予算」(30-9,1-9)

製造間接費の予算を設定するにあたって、変動製造間接費の予算固定製造間接費の予算を別々に設定する事。

〇有利差異・不利差異
予算との乖離を示す。公式法変動予算の場合、当月の変動要因を加味した上で、実際の製造間接費が、予算上の製造間接費とどの程度乖離があるかを示す。文字の通り有利差異は、予算より費用が少ないこと、不利差異は予算より費用が多いことを示す。

CVP分析(30-11,2-21)

Cost-Volume-Profitの関係を分析する手法

Costを変動費(Volumeに比例する部分)と固定費に分けて計算する

*関連:安全余裕率(経営安全率)・・・比率が高いほど売上高の安全性が高いと言われる指標。

(売上高―損益分岐点売上)/売上高

損益分岐点比率= 損益分岐点売上 ÷ 売上高

どちらの指標も売上高が分母にある。損益分岐点売上が変わらなくても比率が変わる事はある。

★限界利益=売上ー変動費 (*経済学で出る事が多い概念とは若干異なる。CVP分析では売上ー変動費の全体)
限界利益率=限界利益/売上高

キャッシュフロー計算書(30-12, 29-13,1-12,2-13)

・営業活動によるキャッシュフロー区分

(直接法)営業収入から様々な調整をすることで営業CFを求める。

(間接法)税引前当期純利益から仕入債務の増加分を加算したりすることで営業CFを求める。売上債権の増加分は減算し、貸倒引当金の増加は加算する。

本業のCFまでを小計とし、小計の下に利息・配当金の受取、利息の支払、法人税等の支払額も営業活動によるキャッシュフローの合計に含めて表示する。

・投資活動によるキャッシュフロー区分

有形固定資産の取得や売却、有価証券の取得や売却、利息・配当金の受取(営業活動によるキャッシュフロー区分での表示でも可)

・財務活動によるキャッシュフロー区分

資金調達に関する収入や支出、貸付に関する収入・支出、(EX:返済するとマイナス)

なおBS上の現金及び預金の期末残高 と キャッシュフロー計算書の現金及び現金同等物期末残高では、預金に関して
前者には1年後に以上後に満期が到来する預金なども含まれる。
逆にキャッシュフロー計算書の現金及び現金同等物期末残高では、決算日後3か月以内に満期が到来する預金のみしか含まれていない。
↑定期預金が現金同等物になるのがこの3か月の水準

債券価格の計算(30-13)

社債価格=現在価値

毎年一定のクーポンレートであれば、債券価格=額面×クーポンレート×年金原価係数(償還期間)+額面×福利原価係数(償還期間)

ABC 活動基準原価計算(2-14)

ABCは多品種少量生産の製造業に適した原価計算である。(データ収集に時間がかかるのはデメリット)

ABCのCは製品を生産するための活動を指す。

ABCでは、伝統的原価計算と大きく異なり、製造間接費に焦点を当てている。従来は製造間接費は、直接労務費等ごとに割り当てているのに対し、工程ごとの時間・費用から製造間接費を割り当てる。(総コストにおける間接費の割合が高くなり、適切な配賦が必要になってきたため)

ABCを意識した経営管理手法を活動基準経営管理(ABM)という。

ABCでもECRS(業務改善の4原則)に基づく

デリバティブ(30-14,2-15)

例:先物取引・オプション取引・スワップ取引など

・金利スワップ取引の代表的なものは、同一通貨における固定金利と変動金利を交換する取引

・先物取引では日々値洗いによって損益が計算され、証拠金に加減されている

・デリバティブの中で、スワップは店頭取引で行われ、その中では想定元本ベースで金利スワップが最も多い。通貨スワップはそれ程多くはない。

コールオプション・プットオプション (30-15, 29-25, 1-14,2-15)

本質的価値:権力行使時の収支の価値。これが正の時に行使する価値がある。

時間的価値:権力行使時までに現資産価格の変動で価値が生まれる可能性の価値。時間的価値は、アットザマネーの時に最大となる。

*混乱しやすいので確認要

・コールオプション・・・一定額で買う権利。輸入企業が通貨オプションで購入を行う事が多い

・プットオプション・・・一定額で売る権利。輸出企業が通貨オプションで購入を行う事が多い

―プット:買ってもらうために置く=売るイメージ コール:買うために呼ぶ=買うイメージ

インザマネー:オプションが本質的価値がプラス
アウトオブザマネー:オプションの本質的価値がマイナス
アットザマネー:オプションの本質的価値がゼロ(行使価格=資産価格)

プット・コール・パリティ:以下の価値が等しいという法則

コール買い=プット買い+先物ロング
(同じ限月、同じ権力行使価格)

権力行使期間の違い
・ヨーロピアンタイプ :満期日にのみ権力行使可能
・アメリカンタイプ  :満期日までいつでも権力行使可能

ポートフォリオ   (30-15,16,17,18,29-23,1-15,2-19,2-22)

システマティックリスク ・・・マーケットリスクの動きに連動するリスク(市場リスク)

非システマティックリスク・・・個別銘柄のリスクのこと(非市場リスク)

投資機会集合      ・・・投資家が投資可能な組み合わせの集合。
有効フロンティア    ・・・上記の中で効率的なポートフォリオの集合(効率的フロンティアともいう)

・安全資産        ・・・リスクのない資産。
資本市場線       ・・・横軸にリスク(標準偏差)、縦軸に期待リターンを取った時の、安全資産と効率的フロンティア上(つまり効率的ポートフォリオ)の点を結ぶ直線。★定義を覚えていてもなぜかミスが頻発する項目なので注意
・証券市場線       ・・・横軸にβ、縦軸に期待リターンを取った時の直線。切片は安全利子率で傾きはリスクプレミアムとなる。つまり期待収益率とリスクの関係を表す
(上記とよく混同されやすいので注意)

・ポートフォリオのリターン・・・ 平均

・リスク         ・・・Σ(比率×標準偏差)^2+2×(比率s×比率b×標準偏差s×標準偏差b×相関係数)

為替予約の処理(30-19)

・為替予約とは、先物為替レートで将来の為替の予約をすること。

・独立処理(原則)*決算時に各自損益計上する

ヘッジ対象とヘッジ手段を別々の取引として処理する方法。

ヘッジ対象は直物為替レートで、決算時・決済時にそれぞれ為替差損益を計上。

ヘッジ手段(為替予約)は予約時点では仕訳無し先物為替レートの変化分を決算時・決済時にそれぞれ為替差損益を計上。
なお決算時に認識した損益は”為替予約”として資産計上し、決済時に取り崩す

繰延ヘッジ(原則の例外、ヘッジ会計時の原則)*決算時に各自計上するが損益にはせずに繰り延べる

ヘッジ手段の損益は、ヘッジ対象の損益が認識されるまで損益計算書を通さずに純資産の部にて“繰延ヘッジ損益“勘定を使って繰り延べる方法

ヘッジ手段である為替予約には予約時は仕訳なし。決算時には、先物為替レートの変化分のみ、為替予約が資産or負債計上、繰延ヘッジ損益が純資産に計上される。

振当処理(ヘッジ会計のさらに例外)*予約時に損益を計上し、期間に応じて割振る

ヘッジ会計の特例:為替予約等をヘッジ手段とした場合の特例(実務上利用率は高い)

ヘッジ手段(為替予約)を予約時点で、直々差額(ヘッジ対象の取引時の直物為替レートと予約時の直物レートとの差額)を為替差損益として計上(=つまり現物の変化分のみをその時点で損益認識)。またヘッジ対象は取引時の為替レートから為替予約時の先物レート変化分(=つまり当初価格に対する決済時の価格の変化分を資産計上)を計上する。この時生じる直先差額(予約時の先物為替レートと直物為替レートの差分)が生じるため、前受収益等で計上。

決算日、上記の前受収益の内、期間に応じて当期に属する部分を計上。(為替差損益と相殺)(=つまり決済額と現資為替レートでの額の差分を各期間に振当すること)

決済日、残りの前受収益は為替差損益として処理される。

・時価ヘッジ

時価ヘッジとはヘッジ対象の資産または負債にかかる相場変動を損益に反映させることにより、その損益とヘッジ手段にかかる損益とを同一の会計期間に認識する方法
(繰延ヘッジ以外の事であり、振当処理はこの一1つ。*あんまりでないかも)

市場の効率性(30-20,2-18)

・資本市場における取引上の効率性:手数料、税金、精度、法律等の面で取引を円滑に実施するための取引システム全般が機能していること。

効率的市場仮説:情報が即座に価格に織り込まれることを通じて、市場では効率的な価格形成が達成されているとする仮説。以下の3種類がある。

ウィーク型仮説:現在の株価は過去の株価、取引高などを織り込んでいる結果、過去のデータから将来の株価の変動を予測することは不可能であるという仮説

セミストロング型仮説:価格情報に限らず、全ての情報が即座に、完全に証券価格に反映されるという仮説。この場合、ファンダメンタル分析ではその結果が既に反映されているため有用ではないとされる。

ストロング型仮説:上記に加えて隠されたインサイダー情報さえも瞬時に価格に反映されるという仮説。この場合、インサイダーですら超過収益獲得の機会がないとされる。

・業績が良くなると判断される新情報が市場に流れた場合、投資家が合理的に行動すると超過収益率は一時的なものとなる。

ROAとROE (30-21)

ROA・・・事業利益÷総資産

ROE・・・事業利益÷総資本

分子の事業利益には経常利益や純利益、営業利益、営業利益+受取利息等、色々と置き方がある。

NPVとIRRの投資評価(30-22,1-23)

正味現在価値法では金額で、内部収益率はパーセントで表される。NPV>0で投資すべき

正味現在価値(NPV)と内部収益率法(IRR法)はどちらもDCF法(割引キャッシュフローで投資評価する方法)ではあるが、投資案の結論が異なる場合がある。「再投資における収益率の相違」によるものである。(IRRは効率性が高く、NPVは規模が大きい)

投下資本に制約があればIRR、制約が無ければNPVを優先するのが良い。

その他、A案とB案の差額投資案A-Bを計算して内部収益率・正味現在価値を計算することで意思決定を行うことも可能。

*中小企業診断士試験においては、基本的にはNPVがより重要とされるらしい。

<その他の評価方法>

収益性指数法:得られる年々のネット・キャッシュ・フローの現在価値合計/投資額
*NPVは投資額を含めているので分子とは微妙に異なる。

会計的投資利益率法  : 総投資利益率=税引後平均利益額/投資額×100

回収期間法:(割引価値を考慮せずに)投資金額が何年で回収される期間(回収期間)で比較する方法。プロジェクトの経済命数は関係ない

参考:なおサブスクではARR・MRRが良く用いられる。
ARR = MRR×12
MRR = 前月のMRR + 新規契約 MRR + アップグレード MRR – ダウングレード MRR – 解約 MRR
毎月決まって発生する収益、売上」のみを対象。単発は含まない。

ミスの個人用メモ

100万円が2年で121万円になる場合の複利利回りを11%と出してしまう(100万円が毎年110%になっていく。)*このような凡ミスに注意
96÷240=40% (なぜか1/4にした) *暗算するとたまに意味不明な計算するので注意