中小企業診断士 口述試験対策

事例1 印刷業A社

〇歴史経緯まとめ
1代目:創業 印刷下請け・印刷加工など
当時は活版印刷が主流で、専門的な技能・技術で支えられてきた
その後オフセット印刷が普及し、職人の技術の多くが省略され、大量・安価印刷が出来る様になってきた。
2代目: デジタル化が加速し、専門技術が不要に、新規参入が容易になり印刷単価がさらに下がる。多くの同業他社は新しい設備へと刷新
1990年代~
職人が定年を迎えるごとに縮小。印刷設備を全て売却。
外部に印刷のサプライチェーンのネットワークを構築し、自社はディレクション業務(図案作成工程・コンサルティング工程を含む)に従事。
事務用印刷などは縮小し、高品質・高精度な分野にのみ需要を絞り需要を獲得。
2000年代~
デザインと印刷のデジタル化に経営資源を投入
・高精細画像のデータ化のためプログラミング専門知識を持つ人材の採用を開始
・社内では事業案件ごとにプロジェクトチーム制。(外部と協力、自社はディレクション・管理のみ)
・(広告代理店にいた)3代目をデザイン部門(図案作成工程を独立)の統括に
<3代目がやったこと>
人脈を活かしてWebデザイナーを2名採用
既存顧客に向けた広告制作業へと業務を拡大したが、案件獲得は難しかった。(問題点)
特に営業活動はせず、既存顧客からの紹介や口コミで新規顧客開拓している。(問題点)

質問1:ファブレス化とは?

メーカーが企画・開発などのコアコンピタンスにビジネス活動を集中するために、自社で工場を持たず、外部に委託を行うビジネスモデルにすること。

メリットは①初期投資を抑えられること、②経営資源を企画・開発に集中できること、③製造費を下げられること、④市場の変化に柔軟に対応できること などが挙げられる。(アウトソーシングと大体同様)

デメリットは①生産管理・品質管理をしづらいこと、②情報漏洩リスクがあること、③生産過程でのノウハウを得られないこと、などがあげられる。(アウトソーシングと同様)

質問2:アウトソーシングのメリットとデメリットは?

アウトソーシングのメリットは
①外部の専門性を活用することで業務効率化や品質向上を図れること
②自社の経営資源をコア業務に集中できること
③外部活用によるコスト削減を図れること

デメリットは
①ノウハウを自社内で蓄積できないこと
②技術情報の漏洩リスクがあること

質問3:2代目がファブレス化を行った理由は?

付加価値の高いディレクション業務に経営資源を注力するため。
オフセット印刷機の普及や印刷のデジタル化の加速によって、従来の職人の技術が強みではなくなった。
また新規参入が容易になり、競争が激化して印刷単価も低下した。
その様な状況下で、他の多くの印刷会社が設備を刷新しており、彼らと競争していくためには同様に設備の刷新が必要となる。
しかし価格も下落している中で設備投資を行っても回収していくことは難しい。
そこで自社は図案の作成と顧客との接点になる付加価値の高いディレクション業務に経営資源を注力することとした。

質問4:3代目にデザイン部門を統括させた理由は?

3代目が広告代理店に勤務していた経験を活かして事業を拡大するためと、将来の経営者として育成するため。
3代目の前職の人脈を活かして広告業界の人材を確保するため。実際にウェブデザイナー2名を採用できており、この目的は達成できているといえる。
また3代目の前職のノウハウを活かし、紙媒体に依存しない事業、広告制作業に業務を拡大するため。しかし、こちらは事業として立ち上げてはいるものの顧客開拓ができていない。
将来の経営者として経営の経験を積ませて育成するため。

質問5:印刷業から広告制作業へと事業ドメインを拡大させたメリットとデメリットは?

メリットは印刷業でのディレクションのノウハウを活かせるため、シナジーを発揮したこと。
広告制作業が軌道にのれば、経営リスクを分散できること。新しい経営ノウハウをできること。などである。

デメリットは経営資源が分散してしまい、新規顧客開拓の営業のために投入する資源がない事、新たな競争に巻き込まれている事である。

質問6:3代目は外部企業との関係を今後どうしていくべきか?

2代目は必要に応じて事業案件に合わせてプロジェクトチームを形成できる体制を構築した。
しかし、プロジェクトごとに活用していく形では現状は効率的ではあるものの、ノウハウの蓄積が難しい。
そこで事業案件ごとの関係ではなくグループとしてノウハウを蓄積していけるような継続的な関係を構築する。
またイラストレーターやフォトグラファー、コピーライターといった技術革新の影響を受けにくい部分についてはある程度内製化を進めて社内にノウハウを蓄積できるようにするのもよい。
そのほか、営業力を補完するためにも、協力企業にも積極的に顧客開拓・紹介をしてもらえるような体制を構築する。

質問7:これから事業を存続させていく上での中長期的な課題と解決策は?

既存顧客との関係性強化と新規開拓力の強化が課題。
新規顧客開拓力の強化のため、営業部門を設置して営業体制を強化し、新規顧客を開拓すべき。
また既存顧客に新たな事業を訴求するために新規の需要を創造していく力を向上するため、既存顧客のニーズを把握してサービスを開発していく体制を整えるべき。
また紹介や口コミをより増やしていくため、デザイン等の部分は内製化をすすめてノウハウを蓄積してサービス力を向上し、満足度を高めて顧客との関係性をより強化していく。

事例2 豆腐製造業B社

〇歴史経緯まとめ
1代目←創業
2代目←卸売り販売増加&工場新設
3代目→地場資本のスーパーマーケットのPB製造を開始(材料は地元産にこだわらない)
5年でコンペに敗れて契約終了、同時に米穀店Y社に余剰設備を譲渡
移動販売をフランチャイズ方式で開始(材料は地元産に戻す・高価格帯の品揃えを増やす)
同時に毎年収穫祭イベントを開始
コロナ後:移動販売が低迷、手作り豆腐セットを開始 (現在)

〇強み・経営資源:
*コンテンツ力
地元産大豆・水にこだわった豆腐の評価が高いこと。
地下水を採取できる農村部の土地での工場(2代目が新設)
*移動販売の販売力
一定数のフランチャイジー加盟者
移動販売はデモンストレーション販売で単価を引き上げる事が出来ている。(ノウハウ)
*顧客層とサービス
豆腐丼が収穫祭のお得意様に好評を得ている(コロナ以降は提供できてない)
移動販売は高齢者への販売が伸びていた(コロナ前まで)が、コロナで減少した。
手作り豆腐セットの移動販売が、お得意様以外の主婦層にも人気となっている。(コロナ後)

〇弱み:
*B社のWeb集客力
自社用Webサイトを作るノウハウがない。投資に見合う規模もない。
*顧客層
主婦層の顧客が少なかった(コロナ前)

〇機会:
*X市の特徴
地元X市は京文化への親近感が強い。
京都の老舗で修業した者が多い。(新しい素材を使った菓子で人気を博す和菓子店、予約が取りにくい割烹板前などがいる。)
*Y社のWeb集客力の活用機会
Y社がX市の米・水、X市企業の商品をコラボでECサイトで全国に販売している。
Y社はグルメ雑誌でY社サイトが紹介され、全国の食通を顧客として獲得している。
*コロナによる新たな需要
リモートワークの浸透で、自宅での食事にこだわりを持つ家庭が増えた
人的接触を控えたい、自宅を不在にするが、豆腐を届けてほしいニーズがある(高齢者・主婦層)

〇脅威
*コロナウイルスによる人的接触を控える傾向
試食、駐車場販売、戸別訪問の機会低下

〇その他:顧客との関係
<移動販売>
フランチャイジーと高齢者顧客 来店前の電話での通話が成功
フランチャイジーと若年層   IMによるテキストのやりとりが成功
<収穫祭>
収穫祭では子連れの参加者が多くなっている

〇今後の打ち手
1.冷蔵ボックスを使った置き配
*置き配とは、あらかじめ指定した場所に非対面で荷物などを届けるサービス
2.豆腐やおからを材料とする菓子類による主婦層の獲得
3.地元産大豆の魅力を伝える全国向けネット販売

想定質問①
フランチャイズ方式とは何か?フランチャイザーとは?フランチャイジーとは?

フランチャイズとは、フランチャイザーから商品やサービス、経営者のノウハウなどの提供を受けて、フランチャイジーが事業を運営する仕組みのことをいいます。
今回のケースだと、B社がフランチャイザーで、元B社者員などの加盟者の人たちがフランチャイジーです。
一般的には加盟金・ロイヤリティを支払うことで商標の使用権や商品&サービスの販売権を得てフランチャイジーは事業を運営します。
今回のケースでは、フィーは不要とはなっていますが、加盟時の登録料とB社からの商品の仕入時の卸値と原価の差額分が実質的にはロイヤルティとなっています。

フランチャイザーのメリットは、①短期間に規模を拡大することができる点②直接運営する店舗を増やすよりコストがかからない点などが挙げられる。
フランチャイジーのメリット①ブランドイメージ・知名度を利用できる事②ノウハウを利用できる事③本部の宣伝広告活動の支援を受けられることなどが挙げられる。

想定質問②
地元産大豆の魅力を伝える全国向けネット販売のために何をすべきか?

全国の自宅での食事に拘りを持つ食通や主婦層に対して、手作り豆腐セットを販売すべき。
具体的にはY社のサイトでY社の米とコラボ商品として、豆腐丼のレシピと共に訴求して販売する。
Y社は全国の食通を顧客として既に獲得しており、それらを活用したい。
既にY社はX市企業の商品をコラボ商品としてよく販売しており、豆腐丼として訴求することで
米の販売も促進できるため、提携はしやすくと考えられる。
豆腐丼を選んだ理由は収穫祭でお得意様の好評を得ているため、顧客満足度の高い商品になると考えられるため。
収穫祭での高評価も口コミ情報等と共に一緒に訴求できれば、効果的なコミュニケーションとしても期待できる

想定質問③
置き配を導入する際にどのような取り組みを実施すべきか?

フランチャイザー>フランチャイザーが行うべき取り組みは、顧客を開拓するための仕組みづくりである。
そのために既存顧客に対しては定期販売メニュー、ポイント制度やコロナ下でも開催できる様なお得意様向けの企画など、既存の顧客がさらにリピートしやすい、リピートしたくなるような仕組みを作る。
また新規顧客に対しては紹介制度を整備することで、口コミを増やす仕組みを作るべきである。

フランチャイジー>フランチャイジーが行うべき取り組みは、顧客との直接の接点となるため客単価や顧客満足度の向上である。
そのために試供品を同封することで新商品をアピールし、客単価の向上をはかること
高齢者向けであれば電話での通話が好まれるため、電話で顧客とのコミュニケーションを丁寧に行うことで、顧客満足度を高めロイヤルティの向上につとめることである。
一方、主婦層向け・若年層向けであれば、インスタントメッセンジャーでのやりとりが好まれるため、インスタントメッセンジャーでの丁寧な接客を心掛ける

想定質問④
豆腐屋おからを材料とする菓子類の販売のためにどうすべきか?

和菓子職人や割烹の板前など、京都で修業した職人と共同で製品開発を行い、京文化を感じさせる差別化した製品を開発する。
またコミュニケーション時には地元X市は京文化への親近感が強いため、京都で修業した職人であることを訴求するのが良い。
そのほか、和菓子店での試食や、割烹でのメニューで提供することで製品への理解を深める機会も提供すべきである。
主婦層向け・若年層向けとなるため、移動販売にはインスタントメッセンジャーでのやりとりをするのが良い。
自宅を不在にする日にも届けてほしいという要望もあるため、移動販売だけではなく置き配についても実施した方が良い。

事例3 革製バッグ製造業C社

〇C社の歴史経緯まとめ
X社の下請け企業として創業
・受託生産
X社の東南アジアへの生産委託により受注量減少→他のバッグメーカーとも取引を拡大。(現在4社 10アイテム)
・自社ブランド
製品デザイン部門を新設して自社ブランド製品を販売
→バッグ小売店と取引&オンライン自社販売(25アイテム)
C社社長の今後の戦略
大都市の百貨店や商業ビルに直営店を開設して、自社ブランド製品の販売を拡大しようと検討している

〇経営資源・強み
<生産受託品>
・X社製品の一貫受託生産体制
・バッグメーカー4社と取引がある
<自社ブランド製品>
天然素材のなめし革を材料にして、熟練職人が縫製・仕上げ加工する高級品。「永く愛着を持って使えるバッグ」で修理も行っている
・手作り感のある高級仕様が注目されている
・高価格帯だが自社ブランド製品が生産能力を上回る注文を受けたこともある。
・自社ブランド製品も収益に一定の貢献している。
・C社独自のWebサイトでオンライン販売ができる。(自社ブランド製品販売の中心になっている)
(以下は課題があるため強みにまではなっていない経営資源)
・製造デザイン部門を持っている
・新製品はオンライン販売情報などを活用して企画している

〇C社の弱み:
<生産受託品>
・生産委託品は低価格品が主となっている
<自社ブランド製品>
・製造デザイン部門は開発経験が少ない
・自社ブランド製品の受注予測精度
・製造全体の技術習熟の遅れ

〇脅威
・X社が東南アジアの企業に生産を委託している。
・1回の受注量が年々小ロット化している。

生産状況の整理

生産管理担当者: 注文・修理の受付~計画立案~出荷指示
<受注生産>
生産計画は月に1回 月末に伝達される
→計画立案後の受注内容の変動や特急品の割り込みによって月内でもその都度変更される(問題点)
1回の受注量は年々小ロット化しているが、(生産ロットは変えておらず)
受注量よりも多いロットサイズで生産を計画し、納品物以外は在庫保有している(問題点)
<自社ブランド品>
受注予測を立てて生産計画を作成して見込み生産している
注文ごとに在庫から引き当てるが、欠品や過剰在庫が生じることがある(問題点)

~以下製造工程~

裁断工程    :材料の皮をパーツごとに抜き取る。機械化が進んでいる。
材料や付属品などの資材発注や在庫管理をリーダーが担当
<共通>
生産計画に基づき発注業務を行うが、発注から納品までの期間が1か月を超える資材もある
資材欠品が生じた場合、生産計画の変更が必要になる(問題点)

縫製工程    :熟練職人が多く配置。裁断された皮を組み立てて成型する。
作業工程の割り当ては、リーダーが各作業者の熟練度を考慮して決めている。(問題点?)
自社ブランド製品の修理も担当している。
製造工程の中で最も負荷が大きい工程となっている(問題点)
熟練職人の高齢化が進み、今後退職が予定されているため、若手職人を育成中
細分化した作業分担制で担当作業の習熟を図っているが。バッグを1人で製品化するために必要な製造全体の技術習熟が進んでいない(問題点)
<受注生産生産>
2つの工程に分かれる。
部分縫製:比較的熟練を要しない
全体縫製:比較的熟練を要する
<自社ブランド品>
自社ブランド製品の生産計画がされると、熟練職人は受託生産品の作業から自社ブランド製品の作業に移る(問題点)
部分縫製~全体縫製:熟練を要する。製品ごとに1人の熟練職人が担当して手作業で行われる。

仕上工程    :熟練職人の高齢化が進み、今後退職が予定されているため、若手職人を育成中
細分化した作業分担制で担当作業の習熟を図っているが。バッグを1人で製品化するために必要な製造全体の技術習熟が進んでいない(問題点)
<受注生産生産>
裁断断面の処理・付属金物の取り付けなど。
手作業が多く・熟練を要する
<自社ブランド品>
縫製工程を担当した職人が作業を行う。

検品工程     :製品の最終検査
製品の出来栄えのばらつきが発生した場合、手直し作業も担当。(問題点?)

包装・検品工程  :完成した製品の包装・在庫管理・出荷業務を担当

質問1:受託生産品の製造工程を効率化するために必要な課題と対応策は?

①資材を考慮した生産計画を策定する事

生産計画を策定する際に資材の在庫・発注を考慮していないため、資材の欠品が生じた場合に生産計画を変更する必要が生じてしまう。
そのため、裁断工程の資材の発注情報・在庫情報を生産計画の担当者をリアルタイムで共有し、それらを反映して生産管理の担当者は生産計画を策定すべきである。
もしくは資材の発注・在庫管理の業務自体を生産管理担当者に業務を移管し、一括で管理するのもよい。
いずれにしても前述のように対応をすることで、資材を考慮した生産計画にすることによって、生産計画の変更による現場の混乱を回避すべきである。

②受託生産と自社ブランド製品の急な生産ラインの変更を出来るだけ回避すること。

自社ブランド製品の生産計画がされると、熟練職人は受託生産品の作業から自社ブランド製品の作業に移る。
これにより、製造現場ではラインの混乱が予想される。特に受託生産品の縫製工程の全体縫製や仕上げ工程は熟練を要する作業であるため、こちらが回らなくなってしまう可能性もある。
このような混乱が多くなる原因として、生産計画が月に1回とサイクルが長いことが挙げられる。
そのため、出来るだけ生産計画を短サイクル化することで、計画的に生産ラインを変更していくことで急なライン変更が起きる可能性を減らす必要がある。

③製造工程の中で負荷が大きい裁断工程の負荷を減らすこと

製造工程の中で裁断工程は負荷が大きい。この負荷が大きい原因としては、作業量に対する熟練職人不足なども考えられるが
そもそも作業量が多い原因としては、受注生産のロットサイズが必要以上に多いことも原因の1つと考えられる。
注文以上の、必要数以上のロットサイズで生産することによって、必要以上の負荷がかかっている可能性が高い。
また必要以上の在庫を抱えることになる原因の一つとしても、生産計画が月に1回とサイクルが長いことが挙げられるため
また生産計画を短サイクル化することも同時に行うのがよい。
短サイクル化することで、ある程度は受注内容の変更や割り込みにも対応できるため、受託生産品の在庫を抱える必要性もさらに低くなる。

④製品の出来ばえのバラつきを抑えること

検品工程では製品の出来ばえのばらつきが発生した場合、手直し作業が発生する。
この作業が発生する頻度を下げることも効率化には必要である。
出来ばえにバラツキが出来るのも、技術の習熟が進んでいないことが原因であると考えられる。
例えば検品工程ではそのまま手直しを行っているが、その手直しの内容などを項目化して、生産担当者へのフィードバックを行う仕組みを作ることで、
職人の技術力を向上することも必要だと考えられる。社内研修やOJTで、これらの項目について重点的に指導するのが良い。

質問2:自社ブランド製品の効率化のための課題と対応策は?(質問①の内容は自社ブランド製品についてもある程度あてはまるのでそれ以外)

①自社ブランド製品の受注予測精度を改善する事(生産面)
自社ブランド製品の在庫管理は、注文ごとに在庫から引き当てるが、欠品や過剰在庫が生じることがある。
予測精度を改善するためにも、予測の頻度を多くし、生産計画を短サイクル化することが考えられる。
直近の販売状況やトレンドの変化、在庫状況をいち早く反映することで欠品や過剰在庫を減らすことができると考えられる。

質問3:自社ブランド製品の開発強化のための課題と対応策は?

①製造デザイン部門の開発力を向上する事(製品企画面)

製造デザイン部門は新商品の企画開発経験が少ないため、開発力を向上することが必要。
現状はオンライン販売情報を活用して開発しているが、それだけではなくバッグ小売店での顧客ニーズも収集して活用し、それらを分析する事で製品開発に活かす。
また製品の企画開発の経験のある人材を中途採用で採用し、開発のノウハウを獲得する。
その他、新卒採用を行い既存のアイディアにはとらわれない新しいアイディアを出せる人材を得ることも考えられる。

②自社ブランド製品の生産力を確保すること

新商品を開発した際に、実際に生産して販売するためにはそれらの作り手となる人材の確保も必要となる。
自社ブランド製品の生産には、熟練職人による加工が必要不可欠であり、熟練職人の数を増やさなければせっかく受注できたとしても、以前の様に生産能力を上回ってしまい機会損失が生じてしまう。
また熟練職人の退職も予定されているため、自社ブランド製品の存続の上でも、若手職人の技術習熟は必須である。
若手職人の技術習熟にあたっては、熟練職人とOJT方式で熟練した技術が必要な作業に取り組んで習得していく必要がある。
また熟練職人の技術も出来るだけ言語化して共有、マニュアル化して若手職人に共有することも必要である。

しかし上記には時間を要するため、短期的にはロットサイズを見直す、生産計画を短サイクル化する、資材調達を踏まえた生産計画を策定する様にする
などで生産効率を向上させて生産余力を生み出す必要がある。

質問4:「自社ブランド製品を熟練職人の手作りで高級感を出す」べきか「若手職人も含めた分業化と標準化を進めて自社ブランド製品のアイテム数を増やす」べきか

自社ブランド製品は「手作り感のある高級仕様」が評価されているため、自社ブランド製品を熟練職人の手作りで高級感を出すべきである。
しかし、そのためには若手職人の技術習熟を進めることが必要不可欠である。
細分化した作業分担制ではなく、若手職人には熟練職人とOJT方式で1人で製品化させる作業に従事させることで技術の承継・技術習熟を図るべきである。
また熟練職人の技術も出来るだけ言語化して共有、マニュアル化して若手職人に共有することも必要である。

質問5:「若手職人も含めた分業化と標準化を進めて自社ブランド製品のアイテム数を増やす」としたらどのような方向性が望ましいか?

細分化した作業分担制では、現状バッグを1人で製品化するために必要な製造全体の技術習熟が進んでいない。
そのため、1人で製品化させる様な技術が必要な製品を増やしていく方向性は難しい。
若手職人も含めた分業化と標準化を進めるのであれば、製品の企画開発の段階から1人の職人がほぼすべての作業を担当しなければならない様な設計ではない製品を開発する方向性が良い。
自社ブランド製品は「手作り感のある高級仕様」が評価されているため、分担された作業・標準化された作業でも丁寧な手縫い作業での手作り感を創出することは必須である。
その様な製品を開発できれば徐々に、その様な新商品の割合を増やしてゆき、熟練職人が退職するまでには自社ブランド製品のラインナップを丸ごと入れ替える様な方向性が良い。

質問6:受注生産・OEMのメリットは?

メリットは
①安定した受注で安定した売り上げにつながる
②設備稼働率が向上し生産コストが低減する(規模の経済を発揮する)
③相手ブランドを利用できる
④自社の技術水準向上やノウハウ蓄積につながる
⑤受注生産であれば在庫リスクが少なく生産計画が容易になる。

デメリットは
①市場での自社ブランドの育成が困難
②市場での自社の販売チャネルの育成が困難
③特定顧客への依存度が高まりリスクが増大すること

受託時の留意点
①納期を順守できるか・②生産体制を整備できるか・③製品開発力や営業力を維持できるか

質問7;自社ブランドを展開することのメリットは?

①市場で自社ブランドや自社の販売チャネルを育成できる。
②受注生産先への売上依存度を低下できてリスクを分散できる。
③利益率の高い商品を展開できる。
④独自のノウハウを蓄積できる。

事例4 食品スーパーD社

〇D社の歴史経緯まとめ
90年以上の歴史、地元産の商品にこだわり、地元密着をセールスポイントとして経営。
当初は経営が安定していたが、2000年代に入ってから競合の影響等で苦戦し収益性は圧迫されている。
→ 1.フルセルフレジへの更新(待ち時間解消によるサービス向上&業務効率化での人件費削減)
2.自治体との共同事業で、自社ブランドの新事業(魚種Xの陸上養殖)に着手
その他、外食事業・ネット通販事業・移動販売事業を展開。(親和性・シナジー効果を目的)
移動販売事業は期待した効果が出ずに不採算事業事業

D社の強み

〇強み
地方都市の住民を中心に固定客を取り込んでいる
有形固定資産回転率が高い
棚卸資産回転率が高い   →多角化のシナジー、固定客のお陰で効率性が良い
当座比率は比較的高い
売上高総利益率が高い(地元産の商品にこだわりや、地方都市の住民を中心とした固定客を取り込めているため、付加価値が大きくなっている
外食業などとのシナジー効果で改善している?競争が激しく、収益性が圧迫されているわりには業界的には悪くない。

〇弱み
移動販売事業が不採算事業
売上高営業利益率が低い(また販管費(人件費)が高いから。激化する競争により広告費などが高いのかも?)
売上高経常利益率が低い(負債の借入をしているため、支払利息によって収益性が圧迫されている。)
自己資本比率が低い  (多角化に伴い必要な資金を借入で調達したと考えられる)

〇機械
自治体と共同事業が出来る

〇脅威

地元住民の高齢化や人口減少
競合との競争が激しい。
ーコンビニエンスストア、郊外型ショッピングセンターの進出
ー大手資本と提携した同業他社の低価格・大量販売

質問1:財務状況から考えられる課題は?
安全性の向上と収益性を改善すること。
そのためには人件費を削減して収益性を改善する。
収益や余剰キャッシュを返済する。また不採算事業を売却して借入金を返済する。

質問2:シナジー効果とは?
経営資源を組み合わせることによって別個に行うよりも大きな効果をえられること
たとえば今回のケースでは、スーパーマーケットと外食の事業をそれぞれ単独で行うよりも、同時に行うことでより大きな効果を得ることができている。
生産管理面では、仕入れや在庫管理などを共通して行うことができるためコストを削減できる。
また営業面では、互いの認知向上・ブランドイメージの向上に貢献することで他方の活動の拡大が、もう片方の活動の拡大にもつながっている。

質問3:正味現在価値とは?(現在価値法とは?割引率とは?現価係数とは?)
正味現在価値は将来に受け取れる価値が、現在受け取れるとした場合にどの程度の価値をもつかを表すもので、投資の判断に使われる指標。
この指標をもって評価をすることで、時間的価値も踏まえた合理的な判断が可能になる。
現在価値法は、投資によって得られるキャッシュフローを正味現在価値で計算し、それがプラスであれば投資、マイナスであれば投資しないと判断する方法。
割引率は上述の正味現在価値を計算する際に使われる数値で、将来の価値を現在の価値に直すために割り引くときの割合のことをいう。
現価係数は、正味現在価値を計算する際に利用できる数値で、複利で運用した際に目標の金額に一定期間で達成するために必要な割合のことをいう。

質問4:移動販売事業を廃止する短期的なメリットは?
・事業資産を売却したキャッシュで借入を返済できるので、収益を改善できる
・移動販売にかかる費用が減少して利益が増加する。
・廃止した事業への経営資源を他方の事業に集中させて効率化させることができる。(利益の増加が見込める)

質問5:移動販売事業が企業価値を向上させる可能性がある理由は?
・地元密着経営と経営方針と一致しており、地域でのブランドイメージ向上につながっており主力事業の収益向上につながっている可能性がある。
・高齢化が進む地域であるため、中長期的には売上・利益が増加して採算の取れる事業になる可能性がある、