R2年受験用 企業経営理論まとめ

ここでは中小企業診断士試験のH30年過去問をベースに試験対策情報をまとめています。

過去の問題で聞かれた内容や、その設問に関連する内容を同時にまとめています。過去問では答えの記号しか公開されていないので、過去問演習時の解説等にもお使いください。

*見出しの()内に対応する設問ナンバーを記載しています。(例:29-1=平成29年第1問)

また重要と思われる項目についてはオレンジ色or赤色にて、表記しています。印刷すれば赤の暗記シートとしても使えるので、是非ご活用ください。

*20年受験用に情報をアップデートしています。

企業の多角化(30-1,29-1,1-1)

多角化には関連型と非関連型の多角化があり、一般的には関連型の多角化の方が成功率は高いとされる。

○企業の多角化による効果(2つのシナジー効果)
相補効果:互いに足りない部分を補うことで、市場の需要変動や資源節約に対応し、企業全体として効率性が上がる効果
相乗効果:特定の組み合わせで別個に行うより大きな成果を得られる効果がある。

○多角化の型のパターンと関連性のパターンは以下の2パターン
関連型の多角化:本業や既存事業の技術が新規事業に適合する場合等に行われる多角化。
集約型:事業間の相互関連が強く経営資 源の利用密度が高い。範囲の経済を重視した資源の有効利用をしていく多角化。
拡散型:事業間の相互関連が弱く経営 資源の利用密度が低い。蓄積した経営資源をさらに他の新分野に適応させるようなタイプの多角化。
非関連型の多角化:既存事業とは全く関係しない多角化。既存事業の市場シェアが新規事業のシェアに大きく影響しない。

○多角化の誘因
内的な成長誘因は、企業を多角化へと向かわせる企業内部の条件の条件となる。既存事業の資源を最大限転用して相乗効果を期待したいという関連型多角化に対する希求から生じる事が多い。外的な成長誘因は、企業を新たな事業へと参入させる外部環境の条件である。主要な既存事業の市場の需要低下という脅威も新規事業への参入の誘因となりうる

<企業のドメインと事業ポートフォリオ>
事業ドメイン:事業の範囲。個別の事業について、どの様な消費者をターゲットにし、どのようなニーズを満たしていくのか?エーベルの三次元枠組みでは「顧客・機能・技術」の3つの次元を元に設定。個別事業の競争力を決める。
企業ドメイン:会社の事業範囲。事業範囲の組み合わせ。企業としてのアイデンティティを規定していくことでもある。個々の事業の定義を足し合わせるのではなく、外部の利害関係者とのさまざまな相互作用の範囲を反映し、事業の定義を見直す契機となる。多角化の広がりの程度や、将来手がける事業の定義の決定等を行う。

プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)(29-2,1-2)

シェアが高い シェアが低い
市場成長率が高い 花形 問題児
市場成長率が低い 金のなる木 負け犬

*金のなる木から得られた資金で、問題児の市場占有を上げたり、花形の市場占有率を維持するのが、資金の理想的な流れ。(花形は資金の供給源とはならない)
*事業間のシナジーや範囲の経済等は考慮できない
*競争優位の実現を期待できる問題児の選択は重要
*大きなシェアが見込めなくても高収益事業の負け犬事業を選択して残すことも重要。
*外部技術の導入によって規模の経済を達成することで優位性を築くことが出来る事業にも適用できる。

企業の意思決定(1-3)

部分的認知:環境変化が難しく、企業が決定すべき選択肢の判断基準も与えられていない高度に不確実な状況
この状況下においては企業が取り組むべき問題を確定させ、その問題解決の方向性を探求することが経営戦略論の固有の課題。

企業の意思決定の種類
業務的意思決定:現行の業務の収益性の最大化を目的とするもの
管理的意思決定:最大の業績が生み出せるように企業の資源を組織化するもの
戦略的意思決定:将来どのような業種に進出すべきかなどに関するもの

コア・コンピタンス(1-4)

企業の未来を切り開くもので、所有スキルや技術が現在の製品やサービスの競争力を支えていることに加えて、そのスキルや技術が将来の新製品や新サービスの開発につながるようなもの。
コアコンピタンスを獲得するプロセスで企業間の競争が起きる事はあり、代替品の出現や技術革新等によってその価値が減少することはある
その価値をもたらす個々のスキルや技術が顧客に理解されている必要まではなく、また個々のスキルや技術を独占的に所有していることも必要とは限らない。

情報的経営資源(30-2)

*業務活動を通じた経験的な効果として蓄積される経営資源などが含まれる
*マニュアルや設計図などは、熟練やノウハウ等の情報的経営資源に比べると模倣困難性は低い
*企業にとって模倣困難性の低い情報経営資源が競争上重要な場合、特許や商標の様な手段で模倣コストを高める必要性は高い。

デジタル化された情報財(30-8)

コンピューターソフトウェアやコンテンツ等。
製品開発費などの固定費が占める比率が高く、製品1単位を追加的に生産するために係る費用が低い
複数の企業が同様の情報財を提供して、コモディティ化が生じる場合、市場が成長段階にあったっとしても企業間で競争は激化し、最終的には限界費用の水準まで価格は低下する。

よってそれらを勘案した競争戦略によってコストリーダーシップや製品差別化を実現することが必要。ユーザー数の多さが当該製品の便益増大につながるネットワーク外部性など活用して、持続的な競争優位を獲得するパターンなどがある。

cf:
デジュール標準:公的機関が所定の手続きを経て作成したもの。国際規格など
デファクト標準:公的に決められたわけではないが、市場で多くの人に受け入れられることにより事実上に標準のようになったもの

VRIO(30-3,29-3)

経営資源が競争優位の源泉となるためには

V(価値があり)R(希少で)I(模倣困難で)O(扱うことが出来る組織である)ことが必要。

I(Imitability)=模倣困難性・・・企業がその経営資源を獲得するためにコスト面で不利が生じるか否か?

*模倣困難性の規定要因としては以下のような要素が挙げられる。
(独自の歴史的条件・因果関係の不明性・社会的複雑性・特許・経路依存性)

つまり、模倣対象の会社が保有している経営資源・ケイパビリティ・競争優位の関係を理解しているか否かも模倣コストの要因となる

 

事業再編と買収(30-4,29-4,29-6,1-5)

<M&A>

レバレッジド・バイアウト:買収対象企業の経営資源を担保とした買収資金調達の手法

マネジメント・バイアウト:オーナー経営者や会社経営陣、従業員が参加する自社企業の株式買収を指す。会社経営陣(役員)が自社の事業部門もしくは全てを買収し独立した経営権を手にする。通常、買収後には経営自由裁量の確保や敵対的買収の防衛等のために株式を非公開とすることが多い。

マネジメント・バイイン:社外の第3者による買収。主に再建をしてキャピタルゲインを得るのが目的のものが多い。

エンプロイー・バイアウト:会社の従業員が自社企業の株式買収を買収をし、自社の事業部門もしくは全てを買収し経営権を取得すること。

プライベート・エクイティ投資会社:非上場企業を投資対象とする投資会社。(上場企業を買い取って非上場化する訳ではない)

事業規模の縮小:企業買収によって期待した価値を実現できない際の買収見直しに用いられ、通常、従業員数や事業部門数の削減を行って事業ポートフォリオを変える。
事業範囲の縮小:売却・企業の一部門の分離独立であるスピンオフ、企業の中核事業に関連しない部門の廃止などの手法を示し、事業ポートフォリオを変えて短期的には負債の削減につながる。

デューデリジェンス:(買収先企業の調査)準備段階の最終チェックで行う

業種とM&A
同業種のM&Aは規模の経済と取引交渉力の増大というメリットがある。同業種でも組織文化の調整コスト・統合コストはかかる。
異業種のM&Aは範囲の経済を獲得できるが、自社の必要としない資源まで獲得してしまうおそれがある

<戦略的提携>

戦略的提携は独立性を維持できるが、関係解消が簡単。ただし裏切ることによって評判に悪影響が起こる可能性などが裏切りのインセンティブを抑制する。
提携によって業界内の新しいセグメントへ低コストで参入できるようになることとは、企業の強みを補完する試みとなる。
範囲の経済を利用できる内部開発によるコストよりも、共同開発の様な提携によるコストが小さい場合、内部開発に代わって選択される。

*大学や政府機関との提携も多く、異業種よりは同業種での提携が多い
*資本参加や組織的な統合(階層関係の構築も含む)は行わない

競争戦略と持続的競争優位(29-7)

・代替品の脅威は、事業の収益性に影響を与える。
経路依存性のある経営資源は、模倣困難となりうる。
・顧客からの強い支持を受ける製品差別化は、他社との競争を可能な限り回避できる自社市場構築の手段となる。
・標準的な製品から差別化した製品で出来るだけ多くの顧客を対象とすると戦略上矛盾が生じる。
・スイッチングコストが発生する状況では、買い手側は現在使用する製品と代替的なサービスと価格・機能が同じでも別のものとみなす

コストリーダーシップ戦略(29-8,1-7)

規模の経済:産出量の増大に伴って平均費用が低下する。中小企業でも戦略次第では不可能ではない。シナジーは別物(範囲の経済)。
経験曲線効果:累積生産量を増やして単位当たりのコストを下げる。競合企業を上回る市場シェアを継続的に獲得する事が有効。製造業のみならずサービス業でも競争優位の源泉となりうる。

*クリティカルマス:商品やサービスの普及率が一気に跳ね上がる分岐点。市場普及率16%。

マイケルポーターの業界構造分析(30-5,1-6)

*衰退業態
マーケットが縮小をしている業界。
①出来るだけ早く投資を回収して撤退する②縮小した業界においてリーダーの地位を確保することが重要な戦略とされる。

*成熟業界
マーケットが殆ど成長していない業界。
新製品開発の可能性が少なく成長が鈍化するため、企業間のシェア争いは激しくなる。

*多数乱戦(市場分散型)業界
多数の小・中規模企業が存在し、市場シェアの大部分や主要技術を占有するような企業がない業界。
規模の経済が効きにくい業界ではあるが、革新的な手法で規模の経済を獲得することでリーダーになれる可能性もあるので不可能ではない
ニーズが多様であり人手によるサービスが中心であることが特徴。集約・統合戦略も適した戦略の一つである。

*顧客のスイッチングコストの高い業界
製品市場での競合が緩和され、業界全体の収益率は高くなる

*成長業界
業界の成長率が高いと、製品市場での競合が緩和され、業界全体の潜在的な収益性は高くなる(成長していない場合に比べて)

*固定費が高い業界・退出障壁が高い業界
競合が激化し、業界全体の潜在的な収益性は低くなる

*多様場バックグラウンドを有する企業が事業を展開する業界
競合が激化し、業界全体の潜在的な収益性は低くなる

社内ベンチャー(1-10)

社内ベンチャーは、新事業に関する「学習装置」としての機能を果たす。
本業や既存事業の思考様式にとらわれない発想を生み出し、本業や既存事業とは異なった事業への進出や根本的に異質な製品開発を目的として設置されることが多い。そのため、社内の意思決定プロセスとの整合性よりも、自律性を重視した独立企業の様な運営が望ましい。
ハンズオフ型のベンチャーキャピタルに比べると親企業の関与の程度は高い

社内分社化(29-5)

事業部制:  独立採算主義の方式。事業部ごとに利益を追求するが、意思決定には本社が介入する。

カンパニー制:独立採算主義を徹底させた形態。研究開発から販売、人事、予算までの機能を包含している。法的には同じ会社ではあるが、資金調達や借入金などは別々で管理している。
本社の承認なく意思決定を進められるため、意思決定が早い。しかし分権化によってコントロールが効きづらく、事業間のシナジーや事業再編が困難になる。個別最適を許容するとカニバリゼーションの助長に繋がる。

純粋持株会社:自ら事業は行わず、株式を所有する他の会社の事業活動を支配することのみを事業目的とする持株会社で子会社からの配当が売上。個々の事業運営はグループ企業に任せ、グループ全体の戦略策定を行う。それぞれの事業会社に対して合った労働条件・雇用形態を設定できる。

cf :事業持株会社:自らも事業を行っている会社。

垂直統合と機会主義の脅威(30-6)

売り手・買い手に対して有利か否かで、その会社にとって垂直統合度を高めるか否かが決まる。材料調達・販売先がともに取引先が少ないほど機会主義の脅威は高く、垂直統合度は上がる。逆に自社が独占している様な状態では垂直統合度を高める必要性は小さい

部品開発・生産(30-7)

完成品メーカーと部品メーカーの取引関係や図面の所有権

承認図方式:部品メーカーが部品の設計を行うため、図面の所有権も品質保証責任も部品メーカーに帰属する。

貸与図方式:完成品メーカーが部品の設計を行い、図面の所有権も品質保証責任も完成品メーカーに帰属する。

委託図方式:最終図面は組み立てメーカーが設計するが、詳細設計は部品メーカーが行う。最終図面の所有権と部品の品質保証責任は完成品メーカーに帰属する。(上記2つの中間)

デザインイン:完成品メーカーと部品メーカーが共同して詳細設計を行っていく。

イノベーションと変革(30-8)

企業内起業家制度は、組織内で自律した位置づけと経営資源を与えられるベンチャー・チームを活用することがあり、イノベーションを生み出す起業家精神、哲学、組織構造を内部に発展させようとする試みとなる。

企業の戦略的な優位を達成するために、製品・サービス、戦略と組織構造、組織文化、技術の変革に取り組む必要があるが、これらの個々の変革は他と切り離して実行できず、各々の変革の結果は相互に関連している。

製品イノベーションを戦略的に達成するには、水平的連携・バウンダリースパンニングが必要となる。水平的連携は、新製品にかかわる各々の部門が連携を持つことである。バウンダリー・スパンニングは、外部環境と連携することである。

リエンジニアリング:業務プロセス・組織・戦略をゼロから根本的に再構築すること。これは、事業プロセスの急激な設計変更に伴い、組織文化、組織構造、情報技術に対して同時変化を引き起こす。

ベンチャーキャピタル・資金提供(29-9)

投資事業法人有限責任組合:
業務執行を伴わない組合役員:その出資額を限度として組合の債務を弁済する責任を負う有限責任組合員
業務執行を伴う組合役員:組合運営に関し全責任を無限に負う無限責任組合員

ベンチャーキャピタル:
株式を公開していない経営課題を抱える中小企業に対して、新株と引き換えに事業成長のための資金を潤沢に提供することを通じて中小企業の企業価値を高める、
役員派遣や経営のモニタリングをすることで、有望な中小企業に投資した資金を新規株式公開やM&Aを通じて回収する可能性を高める.
有望な中小企業に対して本体や他のベンチャーキャピタルが運用するファンドを通じた投資と本体の自己資金を原資とした投資のスタイルで中小企業の企業価値を高める。

イノベーションの進化(30-9)

<イノベーションの促進要因>
・技術システムが不均衡状態にあることが、技術開発への努力を導く不可欠な力になる。

<イノベーションの阻害要因>
・優れた技術が事業の成功に結び付かない理由の一つとして、ある技術システムとそれを使用する社会との相互依存関係が、その後の技術発展の方向を制約する経路依存性がある。
・製品の要素部品の進歩や使い手のレベルアップが、予測された技術の限界を克服したり、新規技術による製品の登場を遅らせることもある。

<イノベーションのパターン>
・技術進歩のパターンが経時的にS字型の曲線を辿るのは、時間の経過とともに基礎となる知識が蓄積され、資源投入の方向性が収れん(1か所に集まっていく)するからである。
・連続的なイノベーションが成功するのは、斬新的に積み上げられた技術進化の累積的効果が技術進歩や普及を促進するからである。

製品開発のプロセス(30-10)

オーバーラップ:開発プロセスの上流タスクの完了前に下流のタスクを先攻してスタートさせる方法。事前の綿密な設計は不要だが、その都度両タスクの内容を綿密に設計する事が必要である。この手法は開発プロセスの上流タスクと下流タスクの相互信頼が強い場合には効果的である。

開発前半に速いスピードで解決できる問題を集中させることで、開発後半での手間や費用の掛かる設計変更などの反復回数を減らすことは、開発期間の短縮に効果的である。

コンピューター支援エンジニアリング(CAE)では、コンピューター上でシミュレーションしながら製品の完成度を評価できる。しかし、実物試作が不要になるわけではない

フロントローディング:開発初期の段階に負荷をかけるという意味で、初期段階で品質の作り込みを綿密にするいうこと。(設計の変更は、下流の工程になるほどコストが大きくなるため、それを小さくする狙い)

スリー・サークル・モデル(30-11)

経営承継の際によく用いられる手法。経営理念の核となる家訓の維持を重視するファミリービジネスに適用できる。

オーナーシップ・ビジネス・ファミリーの3つの観点から課題を分析する。ファミリービジネスの限界が何に起因するのかを知る等、個々のファミリービジネスで異なる経営の問題解決に有用である。その他、内在する複雑な相互作用の分析の助けとなり、企業内外の人間関係における対立*、役割上の困難な問題を理解する際に、それらが何に起因するかを知るのに役立つ。

*ファミリービジネスの中小企業に関わる全ての利害関係者はこれらの組み合わせの中のいずれかに位置付けられる。

*直系血族の経営から従兄弟などを含む広い意味でのファミリービジネスへと変化していくような際にも、3次元から課題を分類・分析できる。

*対立を回避するためのものではない。

技術開発型ベンチャー企業の障壁(30-12,29-10)

3つの障壁とそれぞれの対策

デビルリバー  :(研究段階→製品開発段階)基礎研究からニーズ志向の研究に至る際の障壁
→基礎研究技術や高い要素技術を必要とする領域は大学に任せ、TLOを活用して積極的に連携することで回避を試みる

デスバレー   :(製品開発段階→事業化段階)応用研究と商品開発・事業化との間に存在する資金や人材に不足
→所有している特許権等の知的財産権のうち、一部の専用実施権を第三者に付与したり、社内プロジェクトメンバーの担当の入れ替え、メンバーの権限付与の見直しなどによって回避を試みる

ダーウィンの海 :(事業化段階→産業化段階)開発商品を事業化して軌道に乗せる際、既存商品や他社企業との激烈な競争に直面すること
→大手企業とのアライアンスやファプレス生産に取り組み、生産・販売・マーケティング・アフターサービス等が一体となった体制などによって回避を試みる

コレントエンジニアリング:設計から製造にいたるさまざまな業務を同時並行的に処理することで,量産までの開発期間の短縮が期待できる。

ステージゲート法:多くの製品や技術開発テーマを効率的に絞り込んでいく方法論。数の候補アイデアを対象とし、研究開発から事業化・商品化に至るプロセスを各ステージに分割し、次のステージに移行する間に評価を行う関門(ゲート)を設け、そこで評価をクリアしたものだけを次のステージに進めるという方式。最終的に残ったテーマを事業化・商品化する。

<その他>
*新規製品の事業化では、顧客や市場の評価を早期に把握して開発活動にフィードバックし、開発段階が後戻りすることを許容する方が新製品の迅速な立上に有利に働くこともある
*技術や市場が新規の製品の開発に取り組む場合、現場で培った経験や知識は開発期間やコストを節約するとは限らない

製品アーキテクチャ(1-11)

インテグラル型:構成要素が相互に密接に関連していて、一部分の変更が他の箇所に与える影響が大きいもの。具体例:乗用車、大型旅客機、コピー機
モジュラー型: 構成要素の相互の関連が薄く、一部分の変更が他の箇所に与える影響が小さいもの。具体例:PC
*乗用車の製造工程でモジュラー化といった用語は出るため、一定のモジュラー化は進んでいるものの製品アーキテクチャとしてはインテグラル型。

リーンスタートアップモデル(1-12)

コストをそれほどかけずに最低限の製品や、最低限のサービス、最低限の機能を持った試作品を短期間で作り(詳細まで詰める必要は無い)、顧客に提供することで顧客の反応を観察する方法。
流れとしては、「構築」→「実験」→「学習」→「再構築」
検証実験によって実験段階の製品・サービスが失敗に終わった場合、ビジョンを実現するためにはそれまでの開発コストが無駄になっても、戦略の方向転換が必要である。実験回数は制限すべきではない

情報処理モデル(1-13)

情報処理の必要性は、不確実性の除去に関わるものと、多義性の除去に関わるものがある。
・多義性 :課題について組織内で多様な解釈が並立・衝突してしまう状態。
・不確実性:課題が明確にされたうえで、解答を導き出すための情報が不足している状態。

多義性の除去が必要になるときは、リッチなコミュニケーション(対面での会話)などを増やす必要がある。
逆に不確実性の除去は必要になる時は、リッチではないコミュニケーション(文書)などを増やす必要がある。

*環境の質的な変化は、組織部門間での多義性の除去の必要性を増加させる。

パーソナリティモデル(1-18)

~ビッグファイブ~

個人のパーソナリティの多様性は次の5つの特性の強度によって説明される。
ー外向性:社交的、話好き。管理職や営業職のように対人関係が重要な職務においては、職務の成果と正の相関を持つ。
ー神経症性向:心配性、傷つきやすい。これが強いほど、職務満足は低くなる傾向にある。
ー開放性:創造力豊か、好奇心が強い。唯一、職務満足と優位に関係が無い。
ー調和性:協力的、温和。
ー誠実性:計画的、責任感が強い。全ての職務の成果と正の相関を持つ。

ステイクホルダーと協調戦略(1-19)

協調戦略の例
・企業とステイクホルダーとの間の資源交換をめぐって協定を締結する事
・ステイクホルダーの代表を企業の一員として政策決定機関に参加させる
・組織の共有目標を達成するために複数の書式が資源やリスクを共有しながら共同作業を行う
・特定の目標を達成するために複数の組織間で公式の調整機関を設置する事。

イノベーションのタイプ(29-11)

インクリメンタルイノベーションビジネスモデルに小さな改善を加えるタイプのイノベーション。システムの複雑性の対処するため、専門横断的に共有される知識が重要。
セミラディカルイノベーション;技術かビジネスモデルのいずれかに大きな変化を起こすイノベーション。
ラディカルイノベーション:新しい製品やサービスをまったく新しい方法で提供するイノベーション。破壊的なイノベーション。組織内の専門知識よりも、ユーザからの評価や市場の情報を活用することが重要。

モジュラーイノベーション:部品の組み合わせの変化は何もないが、部品自体の機能を向上させるイノベーション。モジュールが大きく変わるので、既存の知識やノウハウは活かしにくくなる
アーキテクチャルイノベーション:部品事態の機能には変化がないが、部品の組み合わせを変えるイノベーション。構成要素の専門知識だけではなく、組み合わせに関する新しい知識が求められる。

災害への対応(29-12)

クライシス・マネジメント:企業活動の継続や企業自体の存亡を左右する危機的状況が起きた場合に被害を最小限に抑える活動のこと。
コンティンジェンシープラン:災害や事故など想定外の事態が起きた時のために、事前に定めておく対応策や行動手順。事業インパクト分析までは行わない。
事業継続計画(BCP):事業停止の影響度を評価分析し、業務の中断が許される許容期限を把握して業務の復旧優先順位を導くために事業インパクト分析が実施される。

*カフェテリアプラン:従業員に一定額の補助金(ポイント)を支給し、従業員はその支給されたポイントの範囲内で用意された福利厚生メニューを選択・利用できる福利厚生の運営形態。突発的な災害などの支援に活用できるメニュー等もないとは限らない。

グローバル戦略(30-13,29-13)

<東南アジアの新興国に進出する場合に考慮すべき戦略的課題>

リバースイノベーション:新興国で生まれた技術革新や、新興国市場向けに開発した製品、経営のアイデアなどを先進国に導入して世界に普及させるという概念。この場合、研究開発機能の新興国への統合が必要。

マスカスタマイゼーション:一品一様のカスタム製品を大量生産の生産性で実現する概念や仕組みのこと。

電子製品や自動車などでは、現地生産の進展に伴い、系列を超えた域内取引が拡大しているため、日経サプライヤーにとっては現地での開発力や柔軟な生産対応能力の強化が重要となる。

海外直接投資(海外で経営参加や技術提携を目的に行う投資)による資産の所有は、市場の成長への対応を促進する

<本国親会社と海外子会社の関係>

*現地の習慣や文化への配慮の必要性が高く、グローバルな統合の必要知絵は薄い⇒海外子会社が独自に製品開発やマーケティングに取り組み、現地に対応した戦略をとるべき。
*製品開発の固定費が大きく、現地市場への適用の必要性が低い⇒全社方針のもと複数の国に共通する製品需要を吸い上げ、集中的に生産拠点と販売拠点を整備して供給することで全体の生産性を高めるべき

組織構造のデザイン(29-14)

*機能部門化:機能ごとに部門化する
*組織横断的なコミュニケーションを可能にする情報ネットワーク技術があっても指揮命令系統は必要。
*職務の専門化:分割された作業の専門性を高めること
*職務の標準業務手続の公式化:職務の進め方に対する個人の自由裁量は小さくなる
*集権化:迅速な組織的な行動が可能になる
*分権化:環境変化へのチア応力を高める

コントロール・システムのデザイン

フィードフォワード・システム
目的に対し周囲から情報・アイディアをあつめて次の活動を決めていく方法。未来に向けた前向きな解決策を出すことが出来るが、実績からかけ離れる可能性もあ、アウトプットの性能の保証がしづらい。
オープンループ・システム
事前に決められたルールを基に次の活動を活動を決める方法。成果の望ましさを評価するメカニズムを備えておらず、管理者は組織構造のプログラム化された側面を評価する必要がある。
フィードバック・システム
過去の経験等から学んだことを基に次の活動を決めていく方法。情報が正確に把握できるとも限らず、短期間で修正が可能なケースが多いとも限らない。

チーム(30-14)

<色々なチーム>

バーチャルチーム:メンバーがそれぞれ物理的に離れた場所にいて直接対面する機会が少なくても、ITツールなどの活用により一つのチームとして機能している集団。直接面識がある方が、リスク志向性が低く、社会的・感情的情報交換が多くなる。cf : 物理的に近い~リアルチーム

タスクフォース:一時的に設置される機能横断型チーム。緊急性の高い課題解決に効果を発揮する。

<チームの性質>

遂行すべきタスクに必要なスキルや経験の多様性が低い場合、チームを組むメリットがない

チームで業務を遂行する場合、一般に多くの時間と資源を必要としコンフリクトが顕在化する傾向にある

チームメンバー間の信頼性が確立されていると、リスク志向性は高くなる。

動機づけ(30-15,29-1,1-166)

マズローの欲求段階説:5段階に欲求が分けられる。(高次のものから順に、自己実現欲求・承認欲求・社会的欲求・安全欲求・生理的欲求)このうち、自己実現欲求と承認欲求までが内発的動機づけに、以下が外発的動機付けに分類される。〈マズロー〉低次の欲求がある程度満たされると1段階上の欲求が出現し、同時に満たされるわけではない。

マクレガーのX理論・Y理論:X理論=人は仕事がしたくない。強制や命令でしか動かず責任を回避したがる。Y理論=仕事は嫌いではい。条件次第で自ら責任をとろうとする。Y理論に基づいてより高次の欲求を満たすべき。

マクレランドの三欲求理論:従業員の行動には次のいずれかの動機が存在する。①達成動機(欲求)達成したい権力動機(欲求):他の人々を動かしたい親和動機(欲求):友好的・密接な対人関係を結びたい
(4つ目も追加されている。➃回避動機(欲求):批判・失敗を回避したい。

ハーズバーグの二欲求理論(衛生理論):高次の欲求を満たすための満足をもたらす要因(動機づけ要因)不満足をもたらす要因(衛生要因)独立している

ブルームの期待理論:モチベーション=努力が目標を実現する確率×報酬の魅力(どちらも主観)

ホーソン効果:注目を浴びることで、相手の期待に応えたいという心理的行動によって好結果を出す効果〈メイヨ―とレスリスバーガー〉

フロー経験: 特定の作業に没頭する中で自身や環境を完全に支配出来ているという感覚が生じる事。こういった経験はフィードバックや報酬とも無関係である。(スポーツにおけるゾーンと同じ)〈チクセントミハイ〉

コンピテンス概念(有能性概念):環境と相互作用する有機体の能力自体が「うまくいった」という内発的な動機付けの源泉となる。〈ホワイト〉

自己決定理論:報酬のためにやらされているのではなく、自分の隙にやっているという自己決定が内発的動機付けに重要である。〈デシ〉

目標設定理論:成果(パフォーマンス)を引き出すためには適切な目標設定の理論。
困難さ(適度な難易度)、明確さ(内容が明確。報酬は不問)、フィードバックが重要。

組織コミットメント(29-17)

組織コミットメント:個人が特定の組織に継続して参加する動機の強さ。以下の3つがある。
感情的コミットメント:組織に対する愛着や同一化している度合い。(個人が目指す目標・価値観との一致やメンバーに対する好意・誇り)
存続的コミットメント:現時点で組織を去ることは自分にとって損である、という損得勘定から組織 に留まるというもの。(技術や知識が他の組織に転用できない)
規範的コミットメント:コミットすべきという忠誠心から(道徳的な正しさ)

*個人の専門分野や職業に対する心理的愛着はコミットメントを高める要因とはならない。

リーダーシップ:条件適合理論(30-16,1-17)

パス・ゴール理論

リーダーが取りうる行動には4種類のスタイルがあり、それぞれ有効な状況が異なる。リーダーは部下と環境の特徴から、補完する役割を担うべきである。

指示型 方法や工程を具体的に示す 職場内に深刻な価値コンフリクトが生じている
部下の自律性や能力が高くない
支援型 部下の状態を気遣い配慮を示す 構造化されたタスクルーチンワーク
参加型 部下の意見を取り入れて活用する 従業員が行動の決定権が自分にあると感じている
達成志向型 高い目標を示す 困難で構造化されていないあいまいなタスク

フィドラーのコンティンジェンシーモデル

どんな状況でも有効な唯一最適なリーダーシップが存在するのではなく、環境や部下の状況などで適切なリーダーシップは変わるという理論。

:状況がリーダーにとって非常に好意的であるか、または非常に非好意的である場合には、タスク志向的リーダーシップが有効。
・状況がリーダーにとって好意的でも非好意的でもない場合には、人間関係志向的リーダーシップが有効。

SL理論

リーダーシップの有効性を高めていく使い分け方法理論。

リーダーの指示的行動が低い(仕事志向が高い) リーダーの指示的行動が高い
リーダーの支援的行動が高い 参加的
タスク志向が低く、人間関係志向の高いリーダーシップ

部下がさらに成熟度を高めてきた場合
説得的
タスク志向が高く、人間関係志向の高いリーダーシップ

部下が成熟度を高めてきた場合
リーダーの支援的行動が低い 委任的
タスク志向も、人間関係志向も低いリーダーシップ

部下が自立的な行動が可能な場合
教示的
タスク志向が高く、人間関係志向の低いリーダーシップ

部下の成熟度が低い場合

リーダーメンバー交換理論(LMX)

リーダーとメンバーを様々な取引関係からなると考える理論。その取引関係の質が高いほど、集団は高い成果を生み出す。リーダーとフォロワーの関係は、取引的・公式的な相互作用の中で時間の経過とともに段階的に発達していき、①他人的関係、②知人的関係、③成熟した関係、という順序で深まっていく。

組織の変革の方針・手段(1-20)

Off-JTのワークショップやセミナーを利用し、真実を明らかにしたからといって不利な立場に立たされることはない、という態度を経営者が率先して組織メンバーに身に着けさせる。という方法も有効な手段。
(*試験問題自体は読解問題)

メンバーを追従させるパワーの源泉(30-17)

リーダーがメンバーを追従させるパワー。

専門力 リーダーが専門亭なスキルや知識を有している、あるいは専門家からのサポートを得ている
正当権力 組織から公式に与えられた地位・権限
同一視力 自身の望ましい資質や個性を備えたリーダーに羨望する力
報酬力 メンバーの昇給など、好意的な労働条件を与える権限がある場合は、メリットを求めて指示に従うようになる
強制力 集団内での不利益を与える、恐怖心に裏付けられた力

組織学習(30-18,1-14)

組織の慣性:組織内の人々や役割が規定され、その成果によって評価されるために、環境の変化に対応した新しい知識を獲得しても、それを直ちに個人や組織の行動の変化に反映できないことがある。慣性の高い組織では、環境が変化しても継続してルーティンを活用してしまい、結果的に適応できなくなる可能性が高くなる

低次学習:漸進的な学習。既存の制約条件・枠組みのなかで行う学習。マクヌレガーのX理論に基づいて管理手法を採用するとこちらが促進される。
高次学習:断続的な学習。組織全体に影響を与えるような学習

シングルループ学習:行動をした結果から学習して改善を行う事。基本的には単純ミスの修正。(=低次学習の一つ

ダブルループ学習 :結果からこれまでの前提(価値観や規範など)を見直して、改善を行う事(=高次学習の一つ

*明確なコンテキストのもとである行為の結果に関する大量の情報を処理し、その行為の有用性を評価することは、既存のルーチンから外れることは無いため、高次学習とはならない。

組織が安定的な段階での学習パターン

迷信的学習   :学習は行われ、個人が組織の行動に影響を与えるが、組織の行動は環境に何ら作用しない。組織の行動とそれが環境に与える効果の因果関係が分かりにくい場合に起こりやすい。(低次学習の一つ)
傍観者的学習  :個人の学習成果が組織の次の行動に生かされず、個人が傍観者と化している状態のこと。部門間を緩やかな結合関係にするとこの可能性は高まる。

コンフリクト(1-15)

組織内の部門間コンフリクトは、共同意思決定の必要性が高ければ高いほど、また予算等限られた資源への依存度が大きいほど発生する可能性は高まる。
組織内のスラック(=余剰資源)が豊富に存在すると、部門間で資源の競争が減り、部門間コンフリクトは発生しにくくなる。
命令の一元性が確保されていると、部門間の目標や知覚の同化が進むため、部門間コンフリクトが起きる可能性は低下する。
目標が共有されている部門間でコンフリクトが生じた場合、その基準を満たす解決策を探索するために解決策を模索するようになる。
目標が共有されていない場合に、バーゲニング(交渉)や政治的工作の使用可能性が高くなる。

組織文化(29-19)

内的志向 外的志向
自由裁量 クラン文化(家族的文化)
1人の強いリーダーシップではなく、組織メンバー全員が関与・参加ができるようなリーダーシップが必要。
アドホクラシ―化(起業家的文化)
変化する環境下で直面する課題に即興的に対応する。
イノベーションと創造性が重視され、リスクを進んで取っていくリーダーシップが求められる。
統制的 ハイアラーキー文化(構造的文化)
信頼性の高い製品やサービスを提供するために、規則や手続きを遵守するリーダーシップが必要。
マーケット文化
規則や手続きなどの組織内プロセスよりも、市場シェアの向上など結果を重視し、現実的なリーダーシップが必要

職能資格制度(1-21)

職務の遂行能力によって社員の等級を分け、賃金の管理を行う制度。ポストや職務が社内で用意できなくても、能力次第で等級を上げる事も可能
評価は会社で独自に決められた基準で行われる。人事管理の基盤になるわけではないが、結局は年功序列になりやすい。
人ごとに職務遂行能力の定義が行われているため、従業員の職種をまたぐ異動やゼネラリスト育成にも適している。

SECIモデル(29-20)

知識変換モードを4つのフェーズに分けて考え、組織として戦略的に知識を創造し、マネジメントすることを目指すモデル。

共同化:経験を共有することによって、メンタルモデルや技能などの暗黙知を創造するプロセス。暗黙知を共有するには経験をなんらかの形で共有する“共体験”が重要。(実践を繰り返すことで他社にも伝えていく)

表出化(Externalization):暗黙知を形式知として明示的にしていくプロセス。対話(ダイアローグ)・共同思考によって引き起こされ、帰納法や演繹法といった論理思考も形式化の有力な方法論。(新製品のイメージなどが具体的な言葉で新製品コンセプトとして表現されていくようなプロセス。)

連結化(Combination):異なる形式知同士を組み合わせてひとつの知識体系を作り出すプロセス。データベースとネットワークを用いて情報を体系的な知識へと変換することが典型例。

内面化(Internalization):形式化された知識が、新たな個人へと内面化されることで、その個人と所属する組織の知的資産となる。(研修など)

組織アイデンティティ(29-21)

他社から自社がどう見られているかを映し出すとともに自社のイメージを他社に印象付け、組織文化に埋め込まれると同時に組織文化の理解を表したもの。

・組織アイデンティティを意識することはコンフリクトの解消につながる。
・業界内の自社の競争上のポジションなどを認識することを通じて確立されるものではなく、主体的に確立されるもの
・トップマネジメントの意向だけが反映されるもでもない。
・組織の外部からの影響を受けて変化する可能性が少ないとは言えない。
・複数の組織アイデンティティを持つと、外部環境のへの適応の間口は広がるが環境への過剰適応を生み出すということはない。

レヴィンの組織変革プロセス(29-22)

フェーズ1:解凍
「従来のやり方を変える必要がある」という現状認識と組織の直面する危機感を社内で共有し、「新しい考え方・やり方で改善していく」雰囲気を醸成するプロセス。
・新しい事を学ぶだけではなく、その人のパーソナリティや社会関係と一体化していることをやめることも含まれる。
・変わろうとするモチベーションを起こさせる事が重要。

フェーズ2:変化
新しい考え方、やり方を「学習する」プロセス。
・模範的な役割を演じるロールモデルや信頼のおける仲間たちとの同一視、そうした人々の立場から新しいことを学ぶことが必要。

フェーズ3:再凍結
学習したものを定着化・慣習化させるプロセス。
・新しい行動様式を身に着けた人にとって重要な他者達から、その行動や態度を認めてもらうかどうかを試す機会を持たせる必要がある。
・新しい役割や行動が、その人のアイデンティティにあっているかどうか、パーソナリティと矛盾しないかどうかを確認する機会を持たせる必要がある。

非正規社員の基幹化(29-23)

量的基幹化

前従業員に占める非正社員の数や割合が増えること。

質的基幹化

非正社員が判断業務や管理・指導業務に携わるようになり、仕事が高度化する現象。
(質的基幹化のリスク:機密事項の漏洩・職場の一体感の低下・正社員との賃金格差に対する非正規社員の不満・長期的な視点での正社員育成)

インセンティブ制度(30-19)

固定給+歩合で賃金が決まる場合、固定給の割合が小さいほど組織改装の下位にいる従業員にとってはハイリスクハイリターンとなり、階層の上位で利益責任を負う管理職にとってインセンティブを高める制度となる。また環境リスクが小さい場合は、歩合給の割合が小さいインセンティブ制度が望ましい。また業績の測定が難しいとインセンティブの計算に明瞭性が欠けるため、インセンティブ制度は好ましくない。

オープンイノベーション(30-20,1-8)

オープン・イノベーション:社外から新たな技術やアイデアを募集・集約し、革新的な新製品(商品)・サービス、またはビジネスモデルを開発するイノベーション。基盤技術の開発などのコラボレーションというよりも、事業化レベルのコラボレーションを促進する。

ネットワーク外部性がある製品を開発している企業同士が共有の規格を採用している場合、イノベーションが促進されづらい

*非効率な業務のアウトソース等は含まれない

*製品アーキテクチャーがモジュラー化するほど水平分業が進むため、企業間の水平的連携を通じたオープンイノベーションが重要になる。オープンイノベーションとは、水平分業型研究開発モデルである。

組織のライフサイクル(30-21)

起業者段階 創始者の創造性や革新性が重視され、管理活動は相対的に軽視される段階。創業者が創造力の高い技術志向の経営者の場合、起業者段階では従業員は非公式で非官僚主義的なコミュニケーションで管理されることが多い。初期の市場が成長し、従業員が増加すると財務管理などを含めた、組織全体を統率するリーダーシップを持った経営者が必要になる。
共同体段階 持続的な成長を迎え、組織の内部統合を作り出す段階。従業員は自身が共同体の一員であると強く感じるため、職務の割り当てが専門家され、階層かが進むとともに中間管理職への権限移譲が必要になる。
公式化段階 職務規則・評価システム、会計制度など様々な規則・手続きが導入され、組織は次第に官僚制的になっていく段階。戦略的意思決定や業務的意思決定をトップマネジメントに集約する必要は少なくなる
精緻化段階 官僚制のもたらす形式主義的な弊害を克服するため、組織は多数の部門に分類され、小規模組織の利点を確保しつつ、プロジェクトチームなどによって、柔軟性を得ようとする段階。場合によっては公式のシステムを単純化し、チームやタスクフォースを活用して小企業的な価値観や発想を維持するために組織全体に絶えず新しい挑戦や努力を推奨する必要が生じる

キャリア(29-18)

キャリア発達:職業的自己概念(職業に関する自分の興味・能力・価値観)を発達させていくプロセス
人の職業に対する好み・能力は時間と共に変化し、職業的自己概念として社会的に学習されていく。私生活の満足やパーソナリティにも影響される。
職務満足は、この職業的自己概念を適切に表現する場を見つける程度によって決まってくる。
職業に必要とされる能力とパーソナリティには独自のパターンがある。

キャリア・アンカー(30-22)

キャリアアンカーの特徴:個人がキャリアを選択していく上で絶対に譲れない軸となる価値観や欲求、能力などを人生のアンカー

・現状を否定する学習も行われる
・個人のキャリアアンカーは職種や企業ごとに類似していくとは限らない
・しっくりこないという経験を通じて自らのキャリアアンカーを反省し、転職や働き方の変化につながる
・人々は人生の環境によって変化していくキャリアアンカーに従って職業を意識的に選択する
・キャリアアンカーは拠り所が変化することはあっても基本的に一つであり、矛盾するキャリアアンカーが共存することは無い

ストレス管理(30-23)

・克服しているという事は、トラウマとして呼び起こされないということである。
・従業員がストレスを抱えていることを知られることで不利益を被る可能性もあるが、現場の管理者がストレスの一因になっている場合や、改善の要素となる場合もあるため、ストレス管理における介入プロセスには必要に応じて現場の管理者を関わらせる
・ストレス管理における介入が従業員の更なるストレスになる可能性もあるが、ストレス管理における介入を知らせ援助していく姿勢を示すこともストレス解消に向けた施策となる。
・ストレス管理の対象となる従業員を、介入案の策定や実施プロセスに積極的に関わらせ、自身のストレッサーを自覚させるようにするのが良い。

労働契約(30-24,29-24)

<労働条件の明示義務>

採用時に書面で明示すべき内容

(1)労働契約の期間(労働契約を更新する場合の基準も設ける場合は含む)
(2)就業の場所・従事する業務の内容
(3)始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項
(4)賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項
(5)退職に関する事項(解雇の事由を含む)

口頭での共有でも良い内容

(6)昇給に関する事項
~前述の5つとここまでが必ず明示すべき内容。これより下は設ける場合は必須な内容~
(7)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払時期に関する事項
(8)臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
(9)労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
(10)安全・衛生に関する事項
(11)職業訓練に関する事項
(12)災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
(13)表彰、制裁に関する事項
(14)休職に関する事項

*所定労働時間を超えて労働させる程度についてまでは明示義務はない。
*労働者に適用される労働条件が規定されている部分を明らかにした就業規則を労働契約の締結の際に交付した場合、明示義務を果たしたことになる

<労働契約の内容>
・期間の定めのない労働契約を締結している労働者については、基本的には定年年齢まで解雇できないが懲戒免職などで解雇することはある。
・期間の定めのある労働契約の場合、原則3年を超える労働契約は締結できない
・上記の例外として、満 60 歳以上の労働者や、高度専門職(医師・薬剤師等)との間に締結される労働契約の期間は、最長 5 年である。

年次休暇(1-22)

働き方改革の一環。

・使用者は年次有給休暇を10労働日以上付与される労働者に、付与した日(基準日)から1年以内5日について、時期指定して年次有給休暇を取得させなければならない。(既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、時期指定をする必要は無い。これは有給消化率を高めるための施策。)
・使用者は雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した週所定労働日数が5日である労働者に10労働日の年次有給休暇を付与しなければならない。8割未満である者に対しては、付与しなくて良い
・労働基準法第41条に定められた「監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」については、一般の労働者に適用される労働時間、休憩及び休日に関する規定(法定労働時間等)の適用から除外される。年次有給休暇については適用される
・労働者本人が時季を指定して年次有給休暇の取得を請求した場合、事業の正常な運営を妨げる場合はこれを変更することが出来る

労働安全衛生法(1-23)

常時50人以上の労働者を使用する事業場については産業医の選任が必要となる。
・医師による面接指導に係る事業者の義務は、産業医の選任義務に限らず、全ての職場に適用される
・事業者は医師による面接指導の結果に基づき、当該労働者の疲労の蓄積の状況等の厚生労働省令に定められた事項及び医師の意見を記載した当該面接指導の結果の記録を作成して、これを所定期間保存しなければならない。
・事業者は医師による面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。
・事業者はその使用する労働者について、週40時間を超えて労働させた時間が1月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者であって、当該労働者が申し出た場合、医師による面接指導を行わなければならない。

解雇に関する定め(29-25)

労働基準法 第20条

通常労働者を解雇する際には30日前に予告するか、予告に代えて30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。 しかし、入社して14日以内の試用期間中の労働者に関しては、それが必要ないという特例が認められています。(試用期間でも14日を超えた場合は適用される)日々や雇い入れられるものについては基本対象外だが、1か月を超えて引き続き使用された場合は予告の対象となる。

<労働者の責に帰すべき事由での即時解雇の場合>
使用者が労働者を即時解雇する意思表示をし、当日諸葛労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日以降にその認定を受けた時でも、その即時解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした時に発生する。

妊娠・出産・育児休業(1-24)

・あらかじめ就業規則に女性労働者が妊娠したことを退職理由として定めてはならない
・事業主が雇用する女性労働者に講じなければならない「職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置」について、派遣先事業主は、派遣労働者に対して、そのような雇用管理上及び指揮命令上の措置を講じなければならない。
・妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止措置のうち、育児休業制度の利用を阻害するものについては、当該育児休業制度を利用しようとする、又は利用している労働者に適用される。(女性に限らない
妊娠中及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とされる。ただし、当該解雇が妊娠又は出産に起因しない事由により労務の提供ができないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したことを理由とする解雇であることを事業主が証明したときは、この限りでない。

労働保険・社会保険の保険料納付(1-25)

事業主は、労働保険の継続事業における一般保険料については、その概算保険料(増加概算保険料、追加徴収、延納を除く)を、保険年度ごとに概算保険料申告書に添えて、その保険年度の6月1日(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、当該保険関係が成立した日)から40日以内に納付しなければならない。
社会保険の被保険者(健康保険の任意継続被保険者を除く)及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の2分の1を負担しなければならないが、事業主は使用する被保険者負担分を報酬から控除することができなかったとしても、使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う
社会保険の被保険者の毎月の保険料は、翌月末日までに納付しなければならない。ただし、健康保険の任意継続被保険者に関する保険料については、その月の10日(初めて納付すべき保険料については、保険者の指定日)までに納付しなければならない。
労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託している中小事業主(当該保険年度において10月1日以降に保険関係が成立したものを除く)は、当該事業主が申請することにより、その継続事業の概算保険料を、年3回に分けて納付することができる。

賃金の支払いに関する定め(29-26)

賃金支払の5原則
(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています。

・通貨⇒銀行口座への振込によって支払う場合、労働者の同意を得なければならない。
・年俸制⇒毎月1回以上一定の期日を定めて支払う必要があるが、定額に割り振る必要までは無い。
・未成年者に対する賃金⇒親権者・後見人に対してではなく、独立した人格として本人に支払う必要がある。(労基法59条)
・一定期日⇒毎月末日払いはOK、特定週の曜日指定は不可

労働基本法(30-25)

深夜労働:2割5分以上の割増賃金を払う必要がある。

休日労働:3割5分以上の割増賃金を払う必要がある。完全週休2日制の企業の場合、日曜日と土曜日の両方の労働があった場合、どちらかの給料を3割5分としなければならない。(法律では週に1日が法定休日となっているため)

年俸制 :年俸制であっても年俸額が通常の労働時間の賃金に相当する部分と時間外労働による割増賃金に相当する部分とに明確に区別されているケースでは、割増賃金に相当する部分が実績を下まわる場合は、差額を支払う必要がある。

割増賃金:割増賃金の算定基礎からは①家族手当②通勤手当③別居手当④子女教育手当⑤住宅手当⑥臨時に支払われた賃金⑦1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナス等)の7種類が除外される。これらに該当するか否かは名称が違っていてもその実態に基づいて判断される。

就業規則の作成や届け出・周知(30-26)

常時10人以上の労働者を使用する事業場の使用者は、就業規則を作成・変更した場合、過半数組合または労働者の過半数代表者からの意見書を添付し、所轄労働基準監督署に届け出る必要がある。ただし、期間による制限はなく、承認の必要性はない。ここでの常時10人以上の労働者について、その大半がパートタイマーだった場合も届け出の必要がある。就業規則を作成した場合は、常時事業場の見やすい場所に掲示・もしくは書面交付等をして周知する。また就業規則について、過半数組合または労働者の過半数代表者からの意見を聞く必要はあるが、同意を得る必要まではない

懲戒(30-27)

・懲戒となった行為について、重ねて懲戒する事は出来ない
・自己都合によって退職した直後に、解雇に相当する懲戒事由が発覚した元従業員に対し、労働規約に記載があれば懲戒解雇基準を準用して退職金を不支給とすることが出来る。
・就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合において、その減給は一回の額が平均賃金の半日分の額を超え、総額が 1 賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
・懲戒処分によって出勤停止を命じた従業員に対する賃金は、出勤停止期間が適切な範囲のものである限り、その出勤停止期間に対応する文は支給しなくてもいい。

変形労働時間制・裁量労働時間制(29-27)

<裁量労働制>
労働時間計算の例外制度。割増賃金などは計算するが一定時間数働いたとみなす。
専門業務型裁量労働制
業務の性質上、労働者の裁量に委ねる業種に対して裁量労働制を認める事。デザイナーや証券アナリスト等の専門職に認められる。適用される労働者の個別の同意は不要
企画業務型裁量労働制
企業の中核を担う部門で企画立案などを自律的に行うホワイトカラー労働者に対して、みなし時間制(実際の労働時間に関係なくあらかじめ決めた時間労働したものとみなす事)を認めること適用される労働者の個別の同意が必要

<変形労働時間制>
法定労働時間の例外制度。労働時間を月単位・年単位で調整することで、繁忙期等により勤務時間が増加しても時間外労働としての取扱いを不要とすることが出来る。法定労働時間を超えた分については残業代は発生する。
1カ月単位の場合、平均して週40時間以内となる様にする。1日について8時間を超えた分1週間については40時間を超えた分それ以外で法定労働時間の総枠を超えて労働した時間割増賃金となる。
フレックスタイム制
変形労働時間制の一つ。1日の出退勤時間を労働者の判断に委ねることを要件としている。労働時間自体は実労働時間で計算し、これを月単位で集計して給料に換算する労働時間制度。

流通チャネル(30-29)

インターネット上の仮想ショッピングモールでは、テナント店舗数が増加し、取扱商品の幅と奥行きが拡大すると、購入者数と流通総額が増加する効果がある。しかし、消費者の探索効率が高まらない限り、その効果には限界がある

オムニ・チャネル・リテイリング:店頭販売やネット販売などの流通チャネルを統合し、どのような経路でも購買できる体制を整えること。

<ECサイトの形式>

マーケットプレイス型プラットフォーム:インターネット上のモールに出品できる形式。プラットフォームを介した流通総額は、利用者の売上となり、経営主体の下位上場の売上高は出展料や手数料となる。プラットフォームのユーザー数がサービスの利便性を高めるため、ネットワーク外部性が発生しやすい。

マーケティング計画(30-30)

RFM分析;購入金額の規模によって顧客をいくつかのグループに分け、それぞれのグループ顧客による売り上げや利益への貢献度を測定する。

系統的抽出法:通し番号をつけた名簿を作成し、無作為に最初の調査対象を選び、2番目以降の調査対象を一定の間隔で抽出する方法
層化抽出法:母集団の規模とその構成比が事前に把握できる場合、その比率に応じた標本抽出を行う手法

2次データは内的データと外的データに分類され、小売業者のPOSデータなどの販売データは内的データである。

キャズム理論(1-9,30-30)https://www.4900.co.jp/smarticle/wp-content/uploads/2017/06/7193-00141-3.jpg

市場をマニアマーケットと大衆マーケットに分けて市場の顧客層の質的な違いに着目する理論。

この理論では、大衆マーケットを構成する流行に敏感な層(アーリーマジョリティ)にいかに受け入れられ、その需要を喚起するかが課題となる。(=キャズムを超える)

製品開発(30-31,29-31,1-28,1-32)

製品アイディア:企業が市場に提供する可能性のある製品
製品コンセプト:顧客の立場から考え、その製品が誰にとって、どのような時に、どのような問題解決をするものであるかを表現したもの。
これによって買い手が製品やサービスを購買したいと思うになるもので、顧客を含む企業外部に対する分かりやすさが重要。製品コンセプトに先駆けた探索的調査も有用。
(既存顧客や潜在顧客ではない新規顧客への開拓にも使われる)

*開発中の製品、既存製品などを対象に消費者の知覚マップをつくり、開発中の製品が空白領域に位置付けられたとしても、その製品に消費者ニーズや市場性があるとは限らない。
*アイディアスクリーニングの候補が多い場合、あまり時間はかけずに検討するのがよい。
*新製品アイデアのスクリーニングの次に、アイデアを具現化させるための試作品開発段階である「プロトタイピング」に移る。

新製品開発には、市場から考えるニーズ型と自社の経営資源から考えるシーズ型がある。
(*試験上の紛らわしい知識:ニーズに基づいた開発は革新的な製品アイディアを導くための定石とまでは言えない
マーケティング志向型だからといってシーズ型の開発が行われない訳でもない。)

クロスセル分析:関連する商品を同時に販売するための分析
ホワイトスペース戦略:ビジネスモデルを革新しなければ成功できない事業領域のこと。新製品とサービスを組み合わせた新たなビジネスモデルで顧客を囲い込む事等はこれにあたる。
PEST分析:政治的環境経済的環境社会的環境技術的環境の4つの面から外部環境を把握する分析
SWOT分析:内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を把握する分析手法
有効市場:ある製品・サービスに対する十分な関心を持ち、購買に必要な水準の収入を有しており、かつその製品・サービスにアクセスすることが出来る消費者の集合の事。
相対的市場シェア;自社を除く業界他社のうち、最大手と自社のシェアの比100%を超えていればリーダー企業

・製品開発の出発点は新製品のアイディアを創出する過程にあるが、そこでは社内外双方での情報収集が行われる。社内におけるアイディアの源泉は、研究開発部門や経営トップに限らない。
・幅広く奥行きの深い製品系列を有する消費財メーカーは、それを経営資源として活用し流通業者から有利な取引条件を引き出せる可能性をもっている。

~プロダクトライフサイクル~

導入期や成長期において市場の業界標準が成立する場合、これに準拠するまたは対抗するなど、成立した業界標準に対応したマーケティングを実行することが望ましい。
成熟期に入ると市場はより多くの消費者に支えられるようになるため、特に技術的に高度な製品は求められない。
導入期には他社に先駆けていち早く市場の主導権をとることが重要で、資金を投入して競合他社から明確に差別化された製品やサービスを導入期に投入することが望ましい。
導入期の主要顧客は自ら決断して問題解決のための製品を導入できる層(アーリーアダプター)なので、このような消費者が抱える問題を解決できる製品・サービスを投入することが望ましい。

ライフサイクルエクステンション:プロダクトライフサイクルの成熟期から衰退期にかけて、売上のためにマーケティング戦略を再構築すること。
市場の修正:新たな市場への移行や競合企業シェアへの浸透などを図る
マーケティングミックスの修正:製品・価格・流通。プロモーションを見直す。(別個に価格の修正、製品の修正などとも表現)

調査(1-32)

~データ収集~

観察法:実験的条件下の調査対象者の行動を観察する方法や、調査者自らが体験しその体験自体を自己観察する方法が含まれる。
グループインタビュー:グループに対するインタビュー調査。司会者は、複数の参加者と均一な距離を保つことが求められる。
デプスインタビュー:1人1人に対して考え方や価値観、行動スタイル、嗜好などを聞くインタビュー調査。一人当たりの調査コスト(金銭および時間)は高い。
リード・ユーザー法:リードユーザーを製品開発過程に積極的に取り込むこと。市場の規模や競合に対する競争力を確認するために、主としてアイデア創出で用いられる。

~分析手法~

異なる性質を持つ対象が混在しているとき、クラスター分析で似ている対象から構成される相互に排他的なグループに分類することが可能
順序尺度で測定された回答の集計では、中央値は出るが平均値は出ない。
相関係数では因果までは分からない。

BtoBマーケティング(,1-29,1-27)

特定少数顧客を対象にするがブランディングは重要。
BtoCとは違い、複数の寡占企業と取引出来る場合などに極めて高いシェアを維持し・獲得することも可能
BtoBマーケティングでは、常に購買に関する意思決定は当該購買に関する意思決定者の技術的専門知識に基づいて行われるとは限らず、慣習や担当者の感情なども影響するため、このような購買者を想定したマーケティングが求められる。よってBtoBマーケティングにおいては組織的な購買が行われることが多いが、購買担当者の個人的特性に基づく市場細分化が有効な場合がある。

競争の次元(29-32)

ブランド競争:類似した製品やサービスを同じ顧客層に同じような価格帯で提供する企業を競合他社とみな。(缶コーヒー同士の競争)
産業競争:類似する製品を供給する企業全てを競合他社とみなす。(缶コーヒーや緑茶・紅茶・炭酸飲料など間の競争)
形態競争:同じサービスカテゴリを供給する製品の製造業者全てを競合他社とみなす。(缶コーヒーとコンビニやファーストフード店が提供するコーヒーなど間の競争)
一般競争:同じ消費者の財布を争う企業全てを競合他社とみなす。(缶コーヒーとスイーツや外食などとの競争)

消費者の購買意思決定(29-33)

購買行動類型

ブランド間の知覚差異も大きい ブランド間の知覚差異も小さい
関与水準が高い <複雑な購買行動型>
製品の比較・検討を多く繰り返す。PCなど。
<不協和低減型>
行動や認知が先行して購入に至るため、購入後に不安に陥りやすい。アフターフォローが大切。宝石など。
関与水準が低い <バラエティ・シーキング型>
消費者が一つの製品に固執せず様々な製品を購入するようなもの。顧客の囲い込みが課題。ドレッシングなど。
<習慣購買型>
いつも通りの製品を選ぶ。新規購入が課題。

意思決定の方略

連結型:代替品の評価で挙がった各属性全てが基準を満たしている製品を選択するタイプ
態度参照型:過去の購買経験,使用経験から好意的な態度を持つブランドを選ぶタイプ
加算型:製品属性の全ての効用を数値として評価して、その合計点の高いブランドを選ぶタイプ
辞書編さん型:消費者が重視している属性から順に最高レベルの製品を選択するタイプ
逐次削除型(EBA型):消費者が重視する属性から順に、許容できる水準でない製品を選択肢から除外していくタイプ

チェーンストア・オペレーション(30-32)

出店、商品計画、仕入れ、宣伝、採用などを本部で集中的あるいは部分的に管理することによって効率的に他店舗展開を行う経営手法のこと。業務マニュアルやスタッフの研修を行い、サービスを工業化・標準化することが不可欠。地域特性に応じて若干の違いを持たせる事はあっても、チェーン本部が相当程度の中央統制を行う。

コーポレート・チェーン:同一の所有の下で経営されている

フランチャイズ・チェーン:チェーン本部と契約し、加盟店として契約する

サービス・マーケティングの7Ps:マーケティングの4Pに加えて3Pが追加される
Personnel(人・要員):サービスを提供する全ての要員
Process(業務プロセス・販売プロセス):サービスを提供する様々な方法
Physical Evidence(物的証拠):安心・安全保障を顧客に提供するもの。店舗のロゴやサービスマークも含まれる。

CREDO:自社の行動規範を分かりやすくまとめたカード。調理・接客技術の向上に直接的に有効ではないが、間接的には寄与する。

バウチャー:クーポンのこと

直接流通の経路の拡大:店舗の増加など、提供機会の増加を意味する。

マーケティングの概念(30-33)

ソーシャルマーケティング:社会との関わりを重視するマーケティングの考え方
ソサイエタルマーケティングコンセプト:コトラーによると「標的市場のニーズや欲求利益を正しく判断し、消費者と社会の幸福を維持・向上させる方法をもって、顧客の要望に沿った満足を、他社よりも効果的・かつ効率的に提供する事」が営利企業の役割であり、これをコンセプト化したもの
・NPOにとっても価格要素は重要である
・Promotion(販売促進の修正)は4Pの中でも比較的容易に可能である。
<4Pを顧客視点で見た4C>
・Product
・Place/Convenience
・Promotion/Communication

価格に対する消費者の反応(30-34,29-2,1-31)

~価格の役割~
品質のバロメーター :品質の良さ
プレステージ性   :購入者の社会的地位の高さを証明する効果

コモディティ化:市場参入時には高付加価値を持っていた商品の市場価値が低下し、一般的な商品になること。
マーケティング努力によってブランドイメージを向上させることによって需要曲線を上昇させることが出来れば、数量プレミアム・価格プレミアム、その両方が発生する機会が生じる。

*他の上位企業と相談し価格に関する意思決定をすることは、競争の公平性を阻害する。

~価格の弾力性~
*正負に注意
・需要の価格弾力性:同じ製品の価格変化が販売量にもたらす影響。(ーAの需要変化率÷Aの価格変化率
・需要の交差弾力性:別の製品の価格変化が販売量にもたらす影響。(Bの需要変化率÷Aの価格変化率

<価格に関する法則>
・松竹梅の法則:3つの価格帯があった場合、中価格帯が最も選択されやすい。
・端数価格:切りのいい数字より若干安い価格。反応しやすいとされる。
心理的財布:購入する商品の種類ごとに心理的に複数の財布を持っているという概念
テンション・リダクション効果:大きな買い物をした後に財布のひもが緩むこと。

<価格戦略>
クロスバイイング:関連する製品を同時に購入すること
ダンピング:不当廉売(競争を度外視した安売り)
ブラウジング:インターネットで商品情報を参照すること
フリーライディング:タダ乗り。他社で情報探索させて、自社で買わせる等もこれにあたる。
プライス・ライニング戦略:低価格の普及品から高価格の高級品までのバリエーションを提供すること
スキミング価格:新製品導入にあたり、価格に敏感ではない熱狂的なファンに対して一時的に高価格を設定するなど。
・抱き合わせ価格:複数の商材を合わせて販売する事
キャプティブ価格:付随製品を相対的に高く売るために主製品に設定する安い価格

ターゲティング(29-30)

市場と製品の投入数での市場選択パターン

選択的専門化;複数のセグメントにそれぞれ別の製品を投入する戦略
製品専門化:複数の市場に特定の製品を投入する戦略
市場専門化:特定の市場に複数の製品を投入する戦略
集中ターゲティング:特定の市場に特定の製品を集中的に投入する戦略
フルカバレッジ戦略:全ての市場に製品を投入する戦略

新or旧軸のの市場選択パターンと施策

既存市場 新規市場
既存製品 顧客内シェアの向上 既存製品の新用途開発
新規製品 新製品で顧客信仰 親戚品の市場開拓

プロモーション(30-35,1-30)

・身内を対象とした職場見学会を実施する企業が出てきている、これらの活動はPRの一環ととらえることが出来る。
・広告には購入後に消費者が感じる認知不協和を減らしたりする効果もある。
*商品購入に対して矛盾する二つ以上の認知(購入すべき&購入しないべき)があるとき、購入後に購入したということを肯定させる効果
・企業やマーケターが顧客と接したり会話したりする「タッチポイント」は、店舗などの物理的空間だけに限定せず、オンライン上にもさまざまな形で設定される。
・口コミには、経験しないと判断できない「経験属性」に関する情報が豊富に含まれている
・消費者同士がオンライン上で交換したクチコミ情報が蓄積される場所は、分類すると「アーンドメディア」である。

<試験上の表現>
*”広告活動”と言うと有料の広告の活動を示す。パブリシティは広告活動には含まれないと考えてよい。

コミュニケーション効果(29-34)

<消費者の意識>

・説得的情報は、意識的な場合、先入観を持ってその情報内容について吟味するため、情報がそのまま記憶に追加される可能性は低い。
・消費者は事前に有していた知識や態度と合致した情報を受け入れる傾向にある。
ポジティブな外部要因があると消費者の好ましいムードを醸成し、情報の受入れに大きな効果があり、説得的情報に向けられる消費者の注意は上昇する
・接触回数の多さは対象の評価や選択確立を高めるが、マーケティング成果を高めるためには、消費者に製品や製品情報に接触したことを意識されないよう工夫することが望ましい

<統合型マーケティングコミュニケーション>

あらゆるメディアを通してメッセージやブランドイメージを伝えていくマーケティング手法。消費者とブランドの多様な接点の統合的な管理を目指す。顧客の視点に立ち、受け取るメディアが違っても統一されたメッセージが発信されていることで、企業や商品のインパクトを高め、効果を最大化することを狙いとしている。
消費者生成型の映像コンテンツでも、広告コミュニケーションには金銭的・時間的負担はかかる。

集団と消費者行動(29-35)

・準拠集団:人の価値観、信念、態度、行動などに強い影響を与える集団のこと。自分が属するか否かが問わない
・オピニオンリーダー:集団の意思決定に関して、大きな影響を及ぼす人物。世論形成者。イノベーターよりアーリーアダプターに多い。
・人の目に触れる場で使用される製品の方が、ブランド選択における他者集団の影響が大きい。
・消費者間ネットワークを用いて広くマーケティング情報を伝えたいと考える時、消費者間の弱いつながりが重要な役割を果たす。

製品・サービス(29-36)

・消費体験を通じて、顧客は各製品に価値を見出すため、サービス自体には価値の一部しか埋め込まれていない。
・デザインや品質・特徴の検討よりも製品の提供価値を重視すべき。
・ホテルや鉄道業はサービス業である。
・マーケティング視点におけるコスト設計でも、コスト低減だけではなく品質や顧客への提供価値様々な観点から検討することが必要。

サービス財(1-33)

サービス財の特徴
①無形性   :形が無い事
②品質の変動性:誰がいつ提供するかで品質が変わる事
③不可分性  :生産と消費が同時に行われる事
➃消滅性   :在庫が持てない事
⑤需要の変動性:需要量が時季・時間帯などで大きく変わる事。

美容室のように人が顧客に提供するサービスは、「無形性」「不可分性」を有するため、在庫を持つことや生産場所から他の場所に移動させることが困難である。

・サービストライアングル:顧客・サービス提供者・企業の3者の関係性。三者間のバランスをとることが重要
・サービス・プロフィット・チェーン:従業員満足度が顧客満足度につながることで事業の収益性が高まることに注目し、企業が従業員に目を向けることが重要。
・逆さまのピラミッド図:マネジャーは現場スタッフを支援する立場にあること。
真実の瞬間 :顧客が製品やサービスの真価を決める瞬間
サーブクォル(SERVQUAL):サービス利用前と利用後の 2 時点で評価を計測し、それらの差を確認するサービス品質の計測尺度

リレーションシップマネジメント(30-36,1-26)

・関係性にはレベルがあり、顧客が他者に広めてくれるかどうかは関係性のレベルの高さを判断するための手段となる。
・パレートの法則をビジネス界に当てはめると、売上の80%が20%の優良顧客によって生み出される
・対象商品の購買において、クロスセルやアップセルがあったかどうかは、優良顧客の識別に重要である。
・RFM分析:Recency(直近購買日)Frequency(頻度) Monetary(購入金額)で優良顧客を識別する。
・関係性が構築されると、特定顧客における同一製品カテゴリ内の自社製品が占める割合、顧客シェアの拡大が見込める
行動ロイヤルティ:ブランド・ロイヤルティ(同一製品を再購買する傾向。再購入率で測定される)
態度的ロイヤルティ:ブランド・コミットメント(ブランドに対する愛着の程度や心理的距離)
・上記の二つは、片方だけが高く片方が低い場合もある。
顧客生涯価値:顧客が過去・未来含めて生涯にわたり購入する価値の事。
・顧客を満足させるには、顧客の事前の期待値を上回るパフォーマンスを提供する必要がある。次回購買時には前回のパフォーマンスのレベルが期待値になるため、さらに高いパフォーマンスを提供することが望ましい。
・消費者は惰性、サンクコスト、所有効果により製品やサービスを今利用しているものから変更しない傾向があり、これが真のロイヤル顧客の識別を難しくする
・ロイヤルティ・プログラムは、全ての企業にとって採用可能な、経営効率の高い施策とは限らない。
・顧客との関係構築を重要視するマーケティングの考え方に、BtoCのルーツの違いなどはない

ブランドマネジメント(30-37)

ブランド・リポジショニング:ブランドはそのままで市場を変えること
ブランド・拡張戦略:製品を投入したことが無いカテゴリにおいて、実績のあるブランド名を用いて投入する事
ダブルチョップ戦略:流通業者とメーカーの両方のブランド名を使うもの
ダブルブランド戦略:メーカー名などを冠した統一的なブランドと個々のブランドを組み合わせたブランド名を用いて複数の製品を展開すること
マルチブランド戦略:同じ製品カテゴリーに複数のブランドを展開すること
ブランド間の知覚差異は大きいが、製品自体やその購買への関与度は低い場合採用されやすい
プライベートブランド:独自の商品名が付けられる場合(主に流通業者による)
ナショナルブランド:メーカー名が付けられる場合(主にメーカーによる)

ブランドカテゴライゼーション(30-38)

想起集合(=考慮集合):消費者が真剣に購入を検討する対象。消費者は保持するブランド情報を均等に検討する訳ではない。異質性を持たせることが重要という訳ではない。
保留集合       :比較検討し、判断した後に購入が先送りにされているもの

関与(1-34)

関与は、製品カテゴリ―ブランドに対する消費者の関心度、重要度の程度のこと。
関与の水準は、消費者によって異なり、移り変わることもある。
高関与な消費者に対しては、商品の金銭的・社会的リスクや専門性を知覚させることで、企業は自社が行うマーケティング・コミュニケーション活動への反応を高めることができる。
低関与である場合、消費者は購買したり、利用したりする前に、製品に対する慎重な評価を行わない