「H30財務会計」過去問対応解説ノート:【中小企業診断士試験】

ここでは中小企業診断士試験のH30年過去問をベースに試験対策情報をまとめています。

過去の問題で聞かれた内容や、その設問に関連する内容を同時にまとめています。過去問では答えの記号しか公開されていないので、過去問演習時の解説等にもお使いください。*見出しの()内に対応する設問ナンバーを記載しています。

また重要と思われる項目についてはオレンジ色or赤色にて、表記しています。印刷すれば赤の暗記シートとしても使えるので、是非ご活用ください。

「3伝票制」(問1)

3伝票制では「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の3種類を用いる。入金取引は「入金伝票」、出金取引は「出金伝票」、それ以外の取引を「振替伝票」に記載する。

<例>

商品120000円のうち30000円を現金で受け取り、入金伝票に「売掛金 30,000」と記入した場合、振替伝票には「売掛金 120,000  売上 120,000」と記載される。

「固定資産売却損益と計上のタイミング」(問2)

減価償却は期末の決算整理時に計上されるが、期中に売却した場合、減価償却費は売却時までの分が期間割で計上される。

<例>

期首760,000千円、1年あたり40,000千円ずつ減価償却が行われる場合、半年経過後に725,000千円で売却した場合は、725,000 – (760,000 – 20,000) = -15,000千円が固定資産売却損となる。

「本店支店会計」(問3)

本店支店会計は、本店・支店間での取引(本店で支店側or支店で本店側の取引を立替た場合なども含む)を経費や資産として計上せず、代わりに本店・支店勘定を用いて計上。決算時に相殺する。

<例>

本店が支店の広告宣伝費30,000円を現金で支払った場合、本店側では「支店30,000 現金30,000」、支店側では「広告宣伝費30,000 本店30,000」と計上する。

「“のれん“と非支配株主持分」(問4)

他社の株式取得時、売却される側の帳簿上の純資産額と取得時における価格の差を“のれん“として計上する。なお株式の一部を残して取得する場合は、残りの部分については連結財務諸表には”非支配株主持分”として計上されるが、この非支配株主持分はそのまま簿価で計上される。

<例>

B社株式(簿価80円)の80%(簿価64円)を85円で取得した場合、“のれん“は21円となり、非支配株主持分は16円となる。

「ソフトウェア会計」(問5)

  • 自社利用目的のソフトウェアのうち、将来の収益獲得または費用削減が確実であるものについては、機械装置等に組み込まれたものを除き、その取得に要した費用を無形資産として計上する。
  • 市場販売を目的とするソフトウェアの研究開発活動の終了(最初に製品化された製品マスターの完成)までに発生した費用は、研究開発費として費用処理される。それ以降の費用は無形資産として計上する。
  • 受注制作のソフトウェアの会計処理には、工事進行基準と工事完成基準がある。工事進行基準では、ソフトウェア制作における進捗度に応じて収益や売上原価の計上し、工事完成基準の場合は完成時に収益や売上原価を計上し、それまでの間のソフトウェアの製作費は棚卸資産の仕掛品として計上。*中小企業の一般的には後者が多い。
  • 無形固定資産として計上したソフトウェアは定額法で減価償却される。会計上は市場販売目的は3年、自社利用目的は5年となる。

「ファイナンスリース取引)」(問6)

ファイナンスリース取引とは、中途解約できず、故障した時の費用も使用者が負担する必要がある取引。

Cf : オペレーティングリース取引:契約期間に応じたリース料を支い、故障した時も貸主がその費用を負担する

  • ファイナンスリース取引の場合、借手側はリース資産を資産計上し、リース債務を負債計上する。
  • 所有権移転ファイナンスリース取引では、この計上額はそのリース物件の貸手の購入価額等が明らかな場合はその価格、不明な場合はリース料総額の割引現在価値か借手の見積現金購入価額の小さい方となる。

また場合、リース資産の減価償却費はリース期間に限らず通常の資産と同一の方法で算定される。

リース資産は固定資産に属し、リース債務は1年以内のルールで流動負債・固定負債に計上。

  • 所有権移転外ファイナンスリース取引では、貸手の購入価額等が明らかな場合はその価格とリース料総額の割引現在価値の小さい方、不明な場合はリース料総額の割引現在価値か借手の見積現金購入価額の小さい方となる。(リース料総額の割引現在価値が小さい場合に優先的に採用される点で所有権移転ファイナンスリース取引と異なる
  • オペレーティングリース取引は、月々のリース料を費用処理する。所有権移転外ファイナンスリース取引も、同様の方法で処理することは認められている

「費用収益対応の原則」(問7)

期間利益額を算出する際に期間収益と期間費用の金額的な対応関係が成立するように、当期の発生費用額を当期の収益額に対応する部分と次期以降の収益額に対応する部分とに区分する。

実務では重要性が乏しい場合は例外的に処理をすることも多いが、試験では原則に則るべきである。

「部門別個別原価計算」(問8)

部門別計算では、製造間接費を部門別に集計し、それらを各製造指図書に配賦する。

会社の各部門は「製造部門(直接製造作業を行う部門)」と「補助部門(直接製造作業は行わない部門)」という原価部門に分けられる。

部門別計算では「第1次集計」で部門費の集計が行われる。部門費はどの部門で発生したかが明確に分かる原価である部門個別費と、特定できないものを適切な配賦基準によって配賦された部門共通費がある。(製造部門も補助部門も同様に行われる)

「第2次集計」で補助部門費の配賦が行われる。ここでは各補助部門に配分された原価を、適切な配賦基準によって製造部門に配賦する。

第2次集計の配賦基準

・直接配賦法・・・補助部門間の用役の授受を無視して計算するもの

・相互配賦法・・・補助部門間の用役の授受を1度だけ考慮してもう一度配分するもの

「公式法変動予算」(問9)

製造間接費の予算を設定するにあたって、変動製造間接費の予算と固定製造間接費の予算を別々に設定する事。

「有利差異・不利差異」(問9)

予算との乖離を示す。公式法変動予算の場合、当月の変動要因を加味した上で、実際の製造間接費が、予算上の製造間接費とどの程度乖離があるかを示す。文字の通り有利差異は、予算より費用が少ないこと、不利差異は予算より費用が多いことを示す。

「生産性分析」(問10)

・付加価値率 ・・・付加価値÷売上高

・労働生産性 ・・・付加価値÷従業員数

・労働装備率 ・・・有形固定資産÷従業員数

・設備生産性 ・・・付加価値÷有形固定資産

・労働分配率 ・・・人件費÷付加価値

・付加価値  ・・・経常利益+人件費+賃借料+減価償却費+金融費用+租税公課

売上高―外部購入価値

CVP分析(問11)

Cost-Volume-Profitの関係を分析する手法

Costを変動費(Volumeに比例する部分)と固定費に分けて計算する

*関連:安全余裕率(経営安全率)・・・比率が高いほど売上高の安全性が高いと言われる指標。

=(売上高―損益分岐点売上)/売上高

 

キャッシュフロー計算書(問12)

・営業活動によるキャッシュフロー区分

(直接法)営業収入から様々な調整をすることで営業CFを求める。

(間接法)税引前当期純利益から仕入債務の増加分を加算したりすることで営業CFを求める

本業のCFまでを小計とし、小計の下に利息・配当金の受取、利息の支払、法人税等の支払額も営業活動によるキャッシュフローの合計に含めて表示する。

・投資活動によるキャッシュフロー区分

有価証券の取得や売却、利息・配当金の受取(営業活動によるキャッシュフロー区分での表示も可)

・財務活動によるキャッシュフロー区分

資金調達に関する収入や支出、貸付に関する収入・支出

 

債券価格の計算(問13)

社債価格=現在価値

毎年一定のクーポンレートであれば、債券価格=額面×クーポンレート×年金原価係数(償還期間)+額面×福利原価係数(償還期間)

デリバティブ(問14)

例:先物取引・オプション取引・スワップ取引など

・金利スワップ取引の代表的なものは、同一通貨における固定金利と変動金利を交換する取引

・先物取引では日々値洗いによって損益が計算され、証拠金に加減されている

・デリバティブの中で、スワップは店頭取引で行われ、その中では想定元本ベースで金利スワップが最も多い。通貨スワップはそれ程多くはない。

コールオプション・プットオプション(問15)

本質的価値:権力行使時の収支の価値

時間的価値:権力行使時までに現資産価格の変動で価値が生まれる可能性の価値

*混乱しやすいので確認要

・コールオプション・・・一定額で買う権利

・プットオプション・・・一定額で売る権利

―プット:置く=お店の前に並べるイメージ コール:買い付けの注文をするイメージ

ポートフォリオ(問15・16・17・18)

システマティックリスク ・・・マーケットリスクの動きに連動するリスク(市場リスク)

非システマティックリスク・・・個別銘柄のリスクのこと(非市場リスク)

有効フロンティア    ・・・効率的ポートフォリオの集合(効率的フロンティア)

資本市場線       ・・・安全資産と効率的フロンティア上の点を結ぶ直線

・ポートフォリオのリターン・・・ 平均

・リスク         ・・・Σ(比率×標準偏差)^2+2×(比率×比率×標準偏差×標準偏差×相関係数)

為替予約の処理(問19)

・為替予約とは、先物為替レートで将来の為替の予約をすること。

・独立処理(原則)

ヘッジ対象とヘッジ手段を別々の取引として処理する方法。

ヘッジ対象は直物為替レートで、決算時・決済時にそれぞれ為替差損益を計上。

ヘッジ手段(為替予約)は予約時点では仕訳無し先物為替レートの変化分を決算時・決済時にそれぞれ為替差損益を計上。

振当処理

ヘッジ会計の特例:為替予約等をヘッジ手段とした場合の特例(実務上利用率は高い)

ヘッジ手段(為替予約)を予約時点で、直々差額(ヘッジ対象の取引時の直物為替レートと予約時の直物レートとの差額)を為替差損益として計上。またヘッジ対象は直物為替レートの変化分を計上する。直先差額(予約時の先物為替レートと直物為替レートの差分)が生じるため、前受収益等で計上。

決算日、上記の前受収益の内、期間に応じて当期に属する部分を計上。(為替差損益と相殺)

決済日、残りの前受収益は為替差損益として処理される。

・繰延ヘッジ

ヘッジ会計時の原則:

ヘッジ手段の損益は、ヘッジ対象の損益が認識されるまで損益計算書を通さずに純資産の部にて“繰延ヘッジ損益“勘定を使って繰り延べる方法

為替予約時には仕訳なし。決算時には、ヘッジ手段である為替予約は、先物為替レートの変化分のみ、為替予約が資産or負債計上、繰延ヘッジ損益が純資産に計上される。

・時価ヘッジ

時価ヘッジとはヘッジ対象の資産または負債にかかる相場変動を損益に反映させることにより、その損益とヘッジ手段にかかる損益とを同一の会計期間に認識する方法 

市場の効率性(問20)

・資本市場における取引上の効率性:手数料、税金、精度、法律等の面で取引を円滑に実施するための取引システム全般が機能していること。

効率的市場仮説:情報が即座に価格に織り込まれることを通じて、市場では効率的な価格形成が達成されているとする仮説。以下の3種類がある。

ウィーク型仮説:現在の株価は過去の株価、取引高などを織り込んでいる結果、過去のデータから将来の株価の変動を予測することは不可能であるという仮説

セミストロング型仮説:価格情報に限らず、全ての情報が即座に、完全に証券価格に反映されるという仮説。この場合、ファンダメンタル分析ではその結果が既に反映されているため有用ではないとされる。

ストロング型仮説:上記に加えて隠されたインサイダー情報さえも瞬時に価格に反映されるという仮説。この場合、インサイダーですら超過収益獲得の機会がないとされる。

ROAとROE (問21)

ROA・・・事業利益÷総資産

ROE・・・事業利益÷総資本

分子の事業利益には経常利益や純利益、営業利益、営業利益+受取利息等、色々と置き方がある。

NPVとIRRの投資評価(問22)

NPVとIRRではしばしば投資案の結論が異なる場合がある。「再投資における収益率の相違」によるものである。(IRRは効率性が高く、NPVは規模が大きい)

投下資本に制約があればIRR、制約が無ければNPVを優先するのが良い。

その他、A案とB案の差額投資案A-Bを計算して内部収益率・正味現在価値を計算することで意思決定を行うことも可能。

*中小企業診断士試験においては、基本的にはNPVがより重要と言われている。

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少額からの資産形成で人生を豊かにする

初めまして、雪だるま投資マンです

かつて高度経済成長を経験した日本ですが、今は会社も成長しなければ、給料も上がらず、おまけに年金もあまり期待できないというかなり苦しい状況です。

日本人は将来に向けて資産形成をしなければなりませんが、①お金の勉強をする環境がないこと ②投資へのハードルが高いこと を背景になかなか投資が進まない環境にあると思っています。

そこで、このサイトでは金融リテラシーの向上&自分の身を守る資産形成をテーマにして、少しでも役立つ情報を発信していきたいと思います。

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