ここでは中小企業診断士試験のH30年過去問をベースに試験対策情報をまとめています。
過去の問題で聞かれた内容や、その設問に関連する内容を同時にまとめています。過去問では答えの記号しか公開されていないので、過去問演習時の解説等にもお使いください。*見出しの()内に対応する設問ナンバーを記載しています。
また重要と思われる項目についてはオレンジ色or赤色にて、表記しています。印刷すれば赤の暗記シートとしても使えるので、是非ご活用ください。
- 1 賃金と労働生産性の推移(問1)
- 2 日本の総需要の推移(問2)
- 3 景気動向指数(問3)
- 4 物価指数(問4)
- 5 GDPに含まれるもの(問5)
- 6 貯蓄投資バランス(問6)
- 7 財市場分析(問7)
- 8 物価と実質GDP(問8)
- 9 IS-LM曲線:開放経済(問9)
- 10 生産者余剰(問10)
- 11 マイナスの効用の財(問11)
- 12 需要の価格弾力性(問12)
- 13 独占企業(問13)
- 14 労働市場の需要と供給(問14)
- 15 消費税と供給の価格弾力性(問15)
- 16 外部不経済(問16)
- 17 エンゲル曲線(問17)
- 18 等産出量曲線と等費用線(問18)
- 19 費用曲線(問19)
- 20 自由貿易(問20)
- 21 ゲーム理論(問21)
賃金と労働生産性の推移(問1)
・賃金 ・・・ 労働時間あたりの賃金は2000年以降低下傾向。
・労働生産性 ・・・(付加価値÷総労働時間等)*分母の取り方には労働者数等様々
2000年以降上昇傾向、リーマンショックで一時低下するも近年回復
・労働分配率 ・・・(人件費÷付加価値)
リーマンショック時には一時的に上昇するも近年は低下傾向
・営業利益 ・・・リーマンショックで一時低下するも近年回復
日本の総需要の推移(問2)
投資支出・・・1995年以降ブレが大きく、リーマンショック時に大きく低下している
消費支出・・・1995年以降、経年で変化は少ない。
政府支出・・・1995年以降、リーマンショック時は逆にやや増加。
景気動向指数(問3)
景気動向指数は総合的な経営状況を判断できる指標。
コンポジット・インデックス(CI)
・・・指標の変化率を合成した指数。景気変動の大きさやテンポを示す。指数の動きと景気の転換点はおおよそ一致する。
CI一致指数が100より上昇している時は景気の拡張局面、100より下降している時は後退局面とみることが出来る。
ディフュージョン・インデックス(DI)
・・・上昇を示す指標の割合を示す指数。
この割合が数カ月連続して50%を上回っているときは景気拡大、50%を下回っているときは景気が後退していると判断する材料
物価指数(問4)
ライパイレス型 ・・・ Σ(比較時の単価×基準時の数量) / Σ(基準時の単価×基準時の数量)
パーシェ型 ・・・ Σ(比較時の単価×比較時の数量 )/ Σ(基準時の単価×比較時の数量)
*各商材の生産量は年によって変わるため、加重平均の取り方も比較時か基準時かの2通りがある。名目GDP÷実質GDPとなるのはパーシェ型。
実質GDP ・・・ Σ(基準時の単価×比較時の数量)
名目GDP ・・・ Σ(比較時の単価×比較時の数量)
消費者物価指数
GDPに含まれるもの(問5)
✖:移転支出(生活保護費・年金・補助金の支払い等)=対価としての支払ではないため
〇:公的資本形成(政府が行う社会資本整備などの投資)
✖:財政投融資(財政投融資特別会計国債(財投債)の発行など日本国政府の信用に基づいて調達した資金を財源として、投資したり融資したりすること)=財政投融資自体はGDPに影響を与える要素ではあるが、GDPには直接含まれない。
〇:政府最終消費支出(政府による消費財への支払いや公務員サ-ビス(給料)のこと)
貯蓄投資バランス(問6)
経常収支 = 国内民間部門の貯蓄超過(貯蓄-投資) + 財政収支(税金ー政府支出)
経常収支が黒字で財政収支が均衡している → 民間部門は貯蓄超過
経常収支の黒字を民間部門の貯蓄超過が上回る → 財政収支は赤字
国内の純貯蓄がプラス → 海外の純資産は関係ない
財市場分析(問7)
*財市場:総需要×GDP
限界消費性向は、AD曲線の傾きである。これが大きくなると均衡GDPは大きくなる。
貯蓄意欲が高まると、均衡GDPは小さくなる。投資が増加すると、均衡GDPは大きくなる。
物価と実質GDP(問8)
物価が上昇すると実質貨幣供給は減少し、実質利子率が上昇するため、実質投資が減少して総需要が縮小する。よって総需要曲線ADは右下がりとなる。
また物価が上昇すると実質賃金率は低下し、労働需要の増加によって生産量は増加し、総供給は拡大する。よって総供給曲線ASは右上がりとなる。
また原材料価格が上昇した場合、AS曲線は左側シフトし、実質GDPが縮小する。
名目貨幣供給量が増加すると、AD曲線は右側シフトし、実質GDPが増大する。
名目賃金率の引き上げは、AS曲線の左側シフトし、実質GDPが減少する。
労働人口の増加は、AS曲線の右側シフトし、実質GDPが増加する。
IS-LM曲線:開放経済(問9)
IS-LM曲線は利子率×GDP
変動相場制の場合において政府支出が増加すると、IS曲線が右側にシフトするため、GDPと利子率が一時的に上昇するが、為替レートが増大することで純輸出が低下してGDPが低下することでGDPと利子率はもとに戻る。
変動相場制の場合において貨幣供給量が増加すると、LM曲線が右側にシフトするため、GDPが増加して利子率が減少する。そして為替レートは減少して純輸出が増加し、利子率が元に戻りGDPは増加する。
生産者余剰(問10)
生産者余剰=価格ー最低限回収しなければならない金額
マイナスの効用の財(問11)
中古品取引は、価格が正の範囲でお金を払って中古品を出すのは供給、お金を受け取って中古品を受け取る業者が需要。価格が負の範囲でお金を貰って中古品を出すのが供給、需要がお金を支払って中古品を受け取る業者となる。
価格がマイナスの場合は経済財ではない。
中古品リサイクル技術の進歩があると、需要曲線は右側シフトする。
需要の価格弾力性(問12)
価格が1%変化した時に需要が何%変化するかを表す。弾力性が大きいほど変化が大きい。また価格弾力性が大きいほど価格×需要の曲線は低くなる。需要曲線が直線で表される場合、価格弾力性は一定ではない。(価格弾力性は%あたりの変化率であるため、1単位増加の影響値が変わるため)
独占企業(問13)
独占企業が利潤を最大にするとき、完全競争を想定した場合と比較して、消費者余剰は減少する。この時、利潤が最大となる価格はMC(限界費用曲線)とMR(限界収入曲線)の交わる時である。
労働市場の需要と供給(問14)
賃金率×労働量のグラフ
労働供給が増加すると労働供給曲線は右側へシフトし、企業の余剰は増える。
消費税と供給の価格弾力性(問15)
供給の価格弾力性が無限大である時、(つまり供給曲線が傾き0の直線)の時、消費税により取引量は減少。この時、税負担は全て消費者の負担となる。(供給の価格弾力性が無限大の場合のみ。政府余剰分が、もともと誰の余剰だったか?によって負担は割り振られると考える。)
外部不経済(問16)
供給曲線は、私的限界費用曲線と外部費用を加えた社会的限界費用曲線で表される。両者に囲まれた部分は外部不経済としてマイナスの余剰で考える部分。
<試験における言葉の意味(分かりにくいので注意)>
資源配分が効率化する水準・・・余剰が最大化する水準。つまり、外部性による死荷量が生じない状態
外部不経済下の市場均衡 ・・・社会的限界費用曲線を無視した均衡点。つまり、外部性による死荷量が生じている状態
エンゲル曲線(問17)
エンゲル曲線は、所得に対する財の需要量を表す曲線。
所得が上がるほど需要が小さくなるのが下級財。所得が上がるほど大きくなるのは上級財。変わらないのは中立財(需要の所得弾力性0)。
等産出量曲線と等費用線(問18)
労働量と資本量の使用量を軸に、費用が等しい線と産出量が等しい曲線を描いた図。
生産要素の最適投入点においては、それぞれの資源1単位あたりの限界生産物が均等になっている。
*技術的限界代替率・・・等産出量曲線の傾きの大きさ。つまり、同じ生産量を保つために労働量を増やした時に資本量はどの程度減少するか?を示す。
費用曲線(問19)
・平均費用は、総費用曲線と原点を結ぶ直線の傾き
・限界費用は、総費用曲線の傾き
自由貿易(問20)
貿易創出効果・・・自由貿易締結前後のプラスの余剰
貿易転換効果・・・自由貿易締結前後のマイナスの余剰
*2国と貿易していて、片方にだけ関税が残っていて供給価格が高いケースの場合、特に記述が無ければ、価格が高いから輸入されなくなる→関税収入もなくなると考えてよい。
ゲーム理論(問21)
ナッシュ均衡 ・・・互いの戦略が一致する組み合わせ
最適反応 ・・・相手がどの戦略を取っても自分にとって最適となる戦略
<試験における言葉の意味(分かりにくいので注意)>
価格競争をして互いにメリットになる場合・・・双方の利潤が最大化する。(双方が高価格を付けた時の方が利潤が大きければメリットではない)
つまりパレート最適を示す表現。