βとは?
CAPM理論に基づいた時、βは株価変動を決定する因子となります。
ざっくり言うと、βと株価変動は線形関係にあります。
(※詳しくは株価とCAPM理論をご覧ください)
具体例で説明していきます。
【前提条件】市場:β=1.0 株式X:β =1.2 株式Y:β =0.8
①市場全体のリターンが5.0%の時、株式Xのリターン=6.0% で 株式Yのリターン=4.0% です。
②市場全体のリターンが△4.0%の時、株式Xのリターン=△4.8% で 株式Yのリターン=△3.2% となります。
整理するとこのような感じです。
市場β=1.0 | β=1.2 | β=0.8 |
5.0% | 6.0% | 4.0% |
-4.0% | -4.8% | -3.2% |
このように、βとは「個別銘柄が市場変動とどの程度関係しているか」を示しています。
(※市場は全銘柄の為、β=1.0となります。)
では、βはどのように計算するのでしょうか?
βの計算式は
となります。
これは後で解説する資本コストと等しいのですが、このβを算出することで、個別株の期待リターンを算出できるようになります。
WACCとは?
WACCとは、株主や債権者に対する企業の活動コストを示したものです。
何いってるんだ?? と言われそうですが具体的に説明していきます。
まず、企業活動のコストは次の2つの部分に分けられます。
- 資本コスト
- 負債コスト
の2つです。
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資本コスト
まず、企業は株主のものであり、企業の最終利益も株主のものです。
株主は株式を購入する際、利益を見込んで株式を購入するはずです。
この株主の期待リターンを「資本コスト」と呼んでいます。
あなたが、5%の利益を見込んで株式を購入したのであれば、資本コストは5%となります。
なので、突き詰めると、この株主の期待利益=「資本コスト」は株式市場の個別株の期待リターンと同義です。
従って、先ほど算出したβを用いて(CAPM理論に基づき)算出していきます。
(※詳しくは株価とCAPM理論をご覧ください)
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負債コスト
こちらは資本コストに比べて単純です。
簡単に言ってしまえば、企業の借金に対する金利部分がこの負債コストにあたります。
従って、企業の支払利息と借入金から推測して、負債コストを求めます。
単純化すると、「借入金*金利分の支払利息」を支払っていると言えそうですね。
これらの「資本コスト」と「負債コスト」の加重平均がWACCとなりますので、計算式はこんな感じになります。
具体的に計算してみましょう。
資産 | 株主資本 | 負債 | 資本コスト | 負債コスト | 税率 |
1,000 | 200 | 800 | 5% | 2% | 30% |
ようやくWACCが出たといった感じですね。
正直かなり面倒ですが、WACCを算出するメリットは大きいです。
WACCを算出したら?
WACCの計算は上述の様にかなり面倒です。
では、WACC算出したらどのようなメリットがあるのでしょうか?
実は、WACCを計算することにより、DCF法による企業価値評価が可能になります。
(※詳しくはDCF法をご覧ください)
DCF法で計算できるようになると、マルチプル法等による企業価値評価が適正かどうかを見る目安にすることが出来ます。
というのも、企業価値評価の切り口数が増えるので、相対的に見れるということです。
一方で、WACCの資本コストや負債コストは推測の域を出ませんので、間違っている可能性も十分にあります。
なので、間違った企業価値評価を防止するためにも、ある銘柄AのWACCを計算した後に、同業種の他銘柄に対してもWACCの計算を行うようにしましょう。
もし他銘柄のWACCと大きく異なっている場合、どちらかのWACCが間違っている可能性もあります。
間違ったWACCに基づき企業評価を行い投資するのは非常に危険ですので、確認することをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
WACCはDCF法他で企業価値を算定する際に必須の項目ですので、企業価値評価を行う切り口が増え非常に有用です。
ただし、先ほども書きましたが、WACCは算出できても推測の域をでないので、全面的に信用するのは危険です。
なので、他の企業価値評価方法による価値算定との整合性を図るという意味で、組み合わせて使うと良いかもしれません。
何にせよ、繰り返し実践してみると身につくので、やってみてください◎
>>βとWACCの例題&解答はこちらからどうぞ