富士フィルムHDの分析、株価予測

【株価分析】イメージ事業とヘルスケア事業で躍進する富士フィルムHD(4901)の分析と株価予想

今回は、フィルムメーカーから医療品などの複数事業会社に事業転換をしたことで有名な富士フィルムHDについて分析してこうと思います。

お正月のCMは毎年見るのが楽しみでした。

富士フィルムHD(4901)の概要

富士フィルムHDは日本を代表するフィルムメーカーでしたが、デジタル化によるフィルム市場の縮小に直面し、 現在は医療機器や再生医療、印刷材料などの多彩な商品群を扱う企業へと大きな事業転換を果たしました。

フジフィルムHDの概要

現在の富士フィルムグループは大きく3つの事業領域から成り立っています。

  • イメージング ソリューション
  • ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
  • ドキュメント ソリューション

 

それぞれの詳細は下記の通りです。

  • イメージング ソリューション

カメラや写真アルバム、テレビカメラ用のレンズなど、撮影に関連する商品を扱う事業領域です。

結婚式などでよく使われるインスタントカメラ『チェキ』もこちらの事業領域で扱っています。

2019年3月期の売上は3,869億円で、全体の約15%を構成しています。

 

  • ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション

医薬品や再生医療、X線画像診断システムなどの専門医療から日常使いの化粧品やサプリメントまで扱うヘルスケア部門と、 印刷材料やデータアーカイブシステムなどを扱うマテリアルズ部門が属する事業領域です。

2019年3月期の売上は10,390億円で、全体の43%程度を占めています。

 

  • ドキュメント ソリューション

オフィス向けの複合機やコンサルティングなどを行なっている事業領域です。

富士ゼロックスもこちらの領域に含まれています。

2019年3月期の売上は10,056億円で、全体の42%程度を構成しています

※参照:富士フィルムHD事業領域

次に、富士フィルムHDの業績推移を確認していきましょう。

富士フィルムHD(4901)の業績推移と分析

  • 業績推移

過去の財務データから、富士フィルムHDの業績推移を見ていきます。 富士フィルムHD業績推移

参考:富士フィルムHD決算短信より管理人作成

 

  • 業績分析

デジタル化が進んだ主力のフィルム市場が大きく衰退したにも関わらず、現在も2兆4000億円もの売上を達成していることが非常に印象的ですね。

既存の技術を活用して医療分野に進出して成功していると言え、富士フィルムの事業展開の手腕が優れていることが分かります。

 

富士フィルムHD(4901)の業績分析と株価予想

現在までの業績推移を元に富士フィルムHDの業績を予測していきます。

まずは業績推移を元に簡単な分析を行っていきます。 富士フィルムHDの分析   平均EPS成長率がかなり高いのが印象的な一方、平均ROEが低い数値なのが気になります。

 

これらの数値を元に株価の予測をしていきます。   (※株価は9月11日時点の終値(4,752円)を基準にして計算しています)

現在までの業績水準を100%反映しているのが【妥当】で、【妥当】×80%したものが【保守的】の数値になっています。

富士フィルムHDの株価予測

 

上表の通りとなりますが、 現在から8年後、【妥当】レベルで約262%、【保守的】レベルでも108%の投資利回りが確保できそうという予測ができました。

この予測株価におけるPBRは【妥当】レベルで0.4倍、【保守的】レベルでは0.3倍となっており、かなり低めの数値となりましたが 【PER12倍】とかなり低めの数値で計算したのが原因かもしれません。

 

なおPBR:1倍の場合は【妥当】レベルで利回りが約750%、PBR:0.7倍の場合は【妥当】レベルで利回りが約350%という予測になります。

9月11日時点でのPBRの実勢値は0.98倍となっており、PBRが0.7倍でも約350%の投資利回りが確保できそうということで、このままの成長率が継続できればかなり魅力的な銘柄と言えそうです。

 

結論

富士フィルムHD(4901)は買うべき銘柄

 

富士フィルムHDの魅力は何と言っても成長率の高さにあると思います。

たった10年前までは今の利益の1/10しかなかったことや、事業転換してまだ日が浅いことを考えると、この高い成長率を生む事業力、組織力、経営力が凄まじいという他ありません。

気になる点としては、ROEが他社と比較して低いことが挙げられます。

最近は6%近くまで改善されているものの、過去も含めた10年間の平均ではたった3.3%となっており、市場平均の8%程度に対しては、比較的低い数値です。

今後、このROEが改善されればより大きなリターンが見込めそうです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

富士フィルムHDは上手に事業転換を行い、その後も躍進し続けてきた企業と言えそうです。

フィルム市場が1/10になったにも関わらず売上を維持し、現在まで至った事業展開力は凄まじいと思います。

不安が残るROEに関しても、発表資料では営業利益率を8.6%から9.7%にする計画となっており、改善していく意志が感じられます。

2020年3月期も過去最高の営業利益:2,400億円、当期純利益:1,550億円と過去最高の決算を見込んでいるとの記載もあり、来季の決算を楽しみにしたい銘柄ですね。

 

どのような企業に投資をする際にも、今回のような分析は必須です。

今回は簡単な業績分析から株価を予測してみましたが、管理人が財務分析などの定量分析をする際は下記のような方法で行なっています。

>> 金融知識を学ぶ【企業分析】

>> 財務分析の方法 〜基礎編&実践編〜 

 

また、今回は定性分析は行なっていませんが、定性分析をする際はこのような手法で行うことが多いです。

>> 企業の定性分析 〜定性分析の手法:3つのフレームワークで分析してみる〜 

 

分析や投資判断の参考にして頂ければ嬉しいです!

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